能ある爪は鷹を隠す
「能ある爪は鷹を隠す」
ホークラウンがそうつぶやいた。
その瞬間、俺らに向けて放り投げられた付け爪がいきなり煙をあげた。その煙から現れたのは体長2m以上ありそうな巨大な鷹だった。
三匹の鷹は至近距離から現れたため俺と刹那は避けれずもろに突進を受けてしまった。
シロノは通常状態でも鬼目の力を引き継いでいるため身体能力、判断力は俺らの何倍もあるので軽々とかわした。
「まぁ!私のトリックプレーをかわすだなんてあんたセンスあるじゃん。私の団に入らない?」
ホークラウンが驚いたように言う。
「断る。お前らと馴れ合いをしている暇なんて俺にはないからな……悪いが一気に方を付けさせてもらう!」
そう言った瞬間シロノは目にも止まらぬ速さで動き出しホークラウンに向かって行った。
これで勝負は終わった。
と思えたが……
「馬鹿ねえ……」
ーーザククッ!!
ホークラウンの目に前にいたシロノだが背後という死角から向かって来た大型の鷹に気付かず背中を掻き切られた。
「さっきの言葉訂正させてもらうわ、あなたナンセンス……」
ホークラウンが吐き捨てるように言った。
シロノが倒れた瞬間、鷹団の人員全員が立ち上がった。
「ホークラウンの姉貴、こいつらうざったいんで殺してもいいスカ?」
再び強盗をしようと店に入る者、倒れている俺らに危害を加えようと近づいて来る者に別れた。
「いや、私は全然うざったいって思わないね。あんたたちが弱いからそう思うのよ。うざいうざいってほざいてる暇があったらさっさと金目のものもってこんかい!!!」
「すっ、すいやせん姉貴ぃぃぃぃ!!!」
あまりの迫力に人員はその場から全力ダッシュで去って行った。
「可愛い子猫ちゃんたち、貴方達は私の部下になりなさい。貴方達がいればどんな物だって手に入るわー!」
俺は痛みで声を出せなかったがその一部始終を聞いていた。
せめて【究極痛み止め】を飲めれば……
(※【超痛み止め】という名前は適当すぎるので【アルティメットペイン・キラー(AP・K)】という名前に変更させて頂きます(笑))
ホークラウンに気付かれないようにそっと痛みでどうにかなりそうな体で耐えながらドクター高助からもらったAP・Kを取り出した。
そこからの行動は鷹にみはられているがバレるとかお構いなしに高速で飲んだ。
するとみるみるうちに痛みがひいていった。
いけるいけるぞ!
俺は再び立ち上がった。
「あら、まだ立てるの?見直したわ」
その瞬間、三匹の鷹が一斉に四方八方から俺に向かって来た。だがそんな状況でも俺は落ち着き体の内部から力をためた。
ーーシュウウウウウン……
「守護【ガーディアン・ソウル】!!!!」
ーードッガァァァァァン!!!
吹き飛ばすのにすこしの時間を有したがたかを戦闘不能にすることが出来た。
(体全体を覆うガーディアン・ソウルを覚えててよかった。四方八方どこからかかってきても平気だ。だが溜めの時間がリフレクト・シールドよりもだいぶ長いのが欠点)
一息ついたのもつかの間。目の前からつけ爪が飛んできた。
やべ……
ーーポワン…!
「守護【リフレクト・シールド】!!」
咄嗟に使ったので衝撃は軽減したが守護は破れ鷹の一撃を食らった。
だがAP・Kのおかげで痛みを感じない。
すかさず鷹には守護拳をお見舞いして、戦闘不能にした。
ホークラウンを攻撃しようにも次から次へと鷹がやって来てマーク・アローも撃てない。どうすりゃいいんだ。
こんな時に鬼目になれたらな……だめだだめだ戦いに集中だ。
「あなた意外にやるじゃない。あなたを生かしておいたら脅威になるかもね。だから、可哀想だけど死んでもらう!!」
ーーポイッ!
指につけているつけ爪を全て外し六個投げてきた。
ーーポワン
煙から鷹が現れた。
いきなりの事で溜めの時間がなく、四方八方から来ていたので防げず、鷹の鋭い鉤爪が俺の体を引き裂いた。あたりに飛び散る鮮血がその勢いを物語っていた。
俺はその場に倒れ込んだ。AP・Kの効果が効いているためか痛すぎてなのかは分からないが痛みは全く無い。だが体を動かそうにも感覚がなくその場に伏すしか出来なかった。
裂傷からは噴き出すように血が流れており血溜まりが俺を沈め、血なまぐさい臭いと生ぬるさを感じた。
「(はぁ……俺の人生は何だったんだ……なんでこんな所で死ななきゃいけないんだ……もっといろんな人と出会って語り合いたかった……蔓延る悪をブッ壊したかった……いや、まだ死ぬわけにはいかない。)まだ死ぬわけには……いかないんだああああああああああああああああ!!!!!!」
ーードゴォォォォォォォン!!!!