鬼目の脅威
「守隨。お前のおかげで鬼目になれた、感謝する。だが俺の力を試したい、相手になってもらうぞ」
「当然だ。俺も貴様相手にどのくらいやれるか試してみたい」
鬼目同士の戦いが始まった。
二人はお互いの距離を一気に詰めた。そのスピードは林刹那と同等それ以上と言ってもいい。
二人の拳が重なった時、とてつもない衝撃波で周囲の木々や芝が吹き飛びそこは人間の住む世界ではなく鬼の住む地獄のような場所となった。
ここが市街地であったのなら多くの生命が失われていたのだろう。
拳や蹴りが交差するたびに鼓膜を引き裂くような轟音を轟かせ、何もかも吹き飛ばすような衝撃波が発生する。
「なかなかやるな。守隨」
「貴様もな」
鬼目状態ではない大翔ではシロノにかなわなかったがお互いが鬼目になると実力の差は同等となった。
「シロノ。悪いが守護を使わしてもらう」
大翔はこのままではらちが明かないと判断し決着をつけるため守護を使うことを宣言した。
「守護【マーク・アロー】!!!」
テブンに使ったマーク・アロー程ではないが人間の体を吹き飛ばすには十分過ぎる程の大きさのマーク・アローを大翔は放った。
だが、シロノはギリギリのところで高速移動でかわしこっちに向かってきた。鬼気迫る。
「守護【リフレクト・シールド】!!」
守護を出すスピードも鬼目では格段に上がった。何とか間にあいシロノはそこを殴った。
力と力の押し合いだ。守護が破られそうになったが踏ん張った。シロノもなかなか吹き飛ばない。
十秒ほどその状態が続き大翔は全意識を守護にぶつけた。
「吹っ飛べぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
ーーグワァァァァァァン
シロノは粘ったが結果的には吹き飛んだ。バランスを崩し地面に叩きつけられたシロノを見て大翔はすかさずマーク・アローを放った。
戦いは終わった……
お互いの鬼目は自然に解けた。
「シロノ。お前強いなぁ!」
「いや、お前の方が圧倒的に強かった。ただ、いつかお前を越えてみせる。」
「そうか。俺もお前に越えられないよう頑張るからな。一緒に強くなろうぜ!」
俺は倒れているシロノを起こし、お互い固い握手を交わした。
「よし!病院まで走って競争だ!」
シロノがそう言うと病院の方向へ一目散にダッシュをした。
「ちょ待てよ!!」
俺とシロノは病院まで走って向かった……
鬼目状態の守隨大翔の髪色は赤です。
シロノの髪色は青です。