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GUARDIAN DEITY (ガーディアン デイティ)  作者: ミカオト
ロス・カルヴァレット戦
14/64

決着の時

刹那が氷漬けにされただと……


 ただ、氷漬けにされた子供たちも今は元気なんだ。

 俺は希望を捨てなかった。



 刹那が氷漬けにされたが妙に落ち着いていた。

 

 「俺が助ける!」



 だが、相変わらずロスは氷の粒を使い遠距離攻撃してくる。



 「このままじゃ、らちが明かないな」

 ロスが小声だが俺に届くように言った。


 すると、巨大な氷の塊を(てのひら)に創り投げ飛ばしてきた。


 全意識を前方に集中させ、何とか防いだ。

 だが、衝撃で庭からある部屋に吹き飛ばされた。


 そこには……










 氷漬けにされた高価な衣装を(まと)った大人がいた。

 もしかしてこいつがロスを奴隷にしていたやつか。




 そこにロスがやってきた。その部屋に入り大人を見るやいなや怒りをあらわにした。



 「こいつがお前を奴隷にしていたやつか?」

 俺が聞く。


 

 「あぁ、そうだ。見ていると腹が立ってくるから氷漬けにしてここに閉じ込めておいたのだ」


 俺はてっきりこいつを殺していたのかと思った。ただ恨んでいるやつを殺さないなんて変だ。


 そんなことを考えていたらロスが再び口を開いた。

 「ああ、俺はコイツに死ぬよりも辛い事をされたのだ。だから、殺すなんてそんな生ぬるいものなんかで済まさない……」


 「ただ、再びこいつを見たら抑え切れないほどの殺意が湧いてきた。殺してやる」


 すると、顔の部分だけを溶かし

 「最後に言い残すことはないか?」

 ロスが落ち着いているが殺意に満ちている声で言う。




 「ぷはぁ!ここはどこだ?おい奴隷!貴様、私に何をしているのか分かっているのか?」

 貴族がロスに向かい憎たらしい顔と声で言う。



 俺はそんな貴族に腹が立ち

 「お前、今の自分の状況を分かって言っているのか?」



 「お前が誰だか知らんが分かっているさ、この奴隷が私に楯突いているっていうことがな」


 その言葉を聞いた瞬間、俺は殴った。

 

 「いってーな!何すんだてめえ処刑すんぞ?!」



 その言葉を聞いたロスが急に激昂(げきこう)し鋭く尖った氷を貴族目掛けて飛ばした。





 その鋭利な氷を俺は守護を使わずに体で受けた。

 「ロス。こんな奴のためにお前がその手を(けが)す必要はない。人を殺すのが人、そんなの愚かだろ?」 



 「ただな……」



 

 「人を殺してはいけないが、死んだほうがいいやつならいる。それがおめぇぇぇぇぇだぁぁぁぁ!!!」


 守護をまとった拳で渾身の力で貴族をぶん殴った。

 氷を撒き散らしふっとぶ貴族。


 

 「こいつは死んでねぇ。殺してやりたいが、それはダメだ……」



 「さっ!続きしようぜ!ロス!」

 俺はこの貴族を見てなんのための戦いなのかが分からなくなった。(ロスはこんなに追い込まれてたのか……)



 再び庭に戻り戦いが始まった。

 何故か子供をさらったロスに対して怒りではなく同情の感情が湧いてきた。


 俺がもっと前にここにきていたのならロスを助けこんな事にはならずに済んだのに。そんな自分に無性に腹がたった。


 ただ、過去のことを悔やんでも仕方がない。今はロスを改心させるため、そして自分の為に戦うんだ。

 気持ちを切り替えた。


 

 「ロス!全力でかかって来い!」


 「そのつもりだ!!」

 ロスが全速力で向かってきた。


 そして腕を氷漬けにされた。

 「砕けて弾けろ!」




 


 赤い氷粒が飛び散った。












 「お前の腕を破壊した」










 「いやー。あぶねえあぶねえ。もう少しで腕が吹き飛んじまうとこだったぞ。氷に覆われた時はもうダメかと思ったが腕に意識を集中させたら腕の中から守護を出すことが出来た」(諦めないって大切だ。うんうん。)

 

 だが、腕からは大量に出血している。




 ロスは驚いた顔をしたが、真剣な顔になりこう言った 

 「貴様にはこの技を使えるかもな。この技を使ったら貴様らは死ぬが、楽しかったぞ礼を言う」

 と言い終えると分厚い四角形の氷がロスを取り囲んだ。




 このままじゃまずい気がする。あの氷を壊さないと。

 そんな気がした。



 




 氷に近づき守護拳を使いぶん殴った。

 ただ、この守護拳は手を守る事に()けた技なので通常のパンチよりほんの少し強い程度なのだ。分厚い氷など破壊できるわけがない。


すると、

 「準備は整った。さらばだ」

 

 ロスがその声を発すると辺り一面氷に包まれた。もちろん大翔も。



 「氷凍・【アイスダストブラッディー】」















 再び鮮血の混じった氷粒が辺り一面に吹き飛んだ。




 大翔は血にまみれ倒れていた。



 

 「な……あの金髪のやつが吹き飛んでないだと」


 あの金髪のやつとは刹那のことだ。氷漬けにされた刹那を橙色(とうしょく)の光が包んでいたのだ。その守護(ひかり)は大翔のものだった。


 


 ゴホッ!ゴホッ!





 苦しそうな咳が聞こえて来た。



 大翔だ。




 倒れていた大翔が顔を起こし刹那を確認した。

 「刹那、無事だったのか。良かった」





 「き、貴様。金髪にほとんどの力を使い貴様は最低限の力しか使っていないのか!?」

 驚いたような声で言う。



 「当たり前だ!俺は人を救えれば自分が死んでも構わない。ただな……」 






 「英雄になるまでは絶対に死なねえ!」

 というとゆっくりだが痛みをこらえ起き上がった。




 そしておぼつかない足取りでロスに向かって行った。


 ロスはすべての力を使い動けない。




ロスの前に着くと

 「これで勝負は終わりだ!ロス!!!」

 最後の力を振り絞り殴った。


 するとみるみるうちに氷が溶けていった。


 一番に刹那を見たら無事みたいだった。良かった。



 倒れたロスは弱々しい声で

 「金髪、コイツが命を張って貴様を助けたんだぞ」


 

 だから何だというように刹那は腕を組みその場で横を向いた。


 




 ロスは上を向きこう話した

 「俺は貧乏な家庭に生まれたんだ。もちろんのこと家には金がなかった。そして両親が金のために俺を奴隷としてさっきの貴族に売ったんだ。俺は家族を愛していたから仕方ないと思いどんなに辛くても頑張った。しかし、ある日俺は見てしまった。家族が貴族と楽しそうにしていた所を。そして俺は思った。なんの為に頑張っていたのだろうと。無力感に苛まれた俺はその日から睡眠時間という自由時間を削り体を鍛えた。そんな生活がどんなに続いただろうか。しかし、昨日貴族の召使からこんな知らせを受けた。家族が処刑されたと。その知らせを聞いた俺はこう思った。両親と貴族が仲が良かったら処刑したりなんかしない、無理をして貴族と仲が良さそうなふりをしていたのだと。そこから感情が高ぶり気付いたら氷凍の使い手になっていた。そこから今に至る」



 そんな過去があったのか



 「じゃあ、子どもたちに親が子供を捨てたと嘘をついたのは……」

 


 

 「それが一番子どもたちにとってショックだと知ってしたからだ……




 


 ただ、貴様に会ってなんてことをしてしまったのかと感じた……」

 ロスが涙を流した。






 上から観ていた子どもたちに向かって聞いた

 「そっちに食べ物はあるかー?」


 「いっぱいあるよー!」と言ったのですぐに上へ向かった。

 大量出血していて何度も階段を踏み外そうになったが一歩一歩確実に登った。

 

 そしてそこに着くなり子どもたちに向かいこう言った。

 「君達はお父さんやお母さんに捨てられてない!大事な用があって今はいないけどすぐに戻ってくるから」

 と。



 たくさんの食べ物を下に持って行って倒れているロスのすぐ横に食べ物を置いた。


 「これさえ食っときゃすぐ動けるようになるだろ」


 「子どもたちは両親が帰ってくるまでお前が面倒見てやれ」




 「じゃあな、ロス。」


 「どこへ行くんだ?」


 ロスが聞いてきたのでこう答えた

 「どこへって?世の中に蔓延(はびこ)る悪をぶっこわしにいくのさ!」


 「俺を殺さないのか?」


 「ああ、当たり前だろロス。お前と俺は












"友達"だからな!」


 「……………………」

 ロスが静かに涙を流した。


 「じゃあな!」






「(初めてだ……俺を友達と呼んでくれたやつは……)
















 大翔、ありがとう。」





 腕を組んで横を向いている刹那と階段を降り、王宮を後にした。







 階段を降りきったところで急に意識が飛び、倒れた。










 目が覚めたらそこは病院だった。



 

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