新たなる使い手
メニカと別れた俺達は知らない道を歩いていた。
しばらく歩くと目一杯の荷物を運んでいる人が歩いてきた。
旅をしているのかと思い挨拶したがその顔は血の気が引いていて怯えた顔をしていた。
なんかあったのかと聞いたが無視され小走りで去っていった。
どうしたのかな?
不審に思いながら歩いていたらまた一人また一人と荷物を持っている人が歩いてきた。全員大人だった。
俺はその姿を見て驚いた。
歩いている人みんなさっきの人と同じように怯えた顔をしていた。
俺は不思議に思いどこへ向かっているのかを聞いた。
「行くあてはない」
全員それと同じようなことを言う。
その言葉を言ったあとはみんな足早に去ってしまうのでしつこく大きな声で聞いてみた。
すると、一人の老人が話をしてくれた。
「わし達は皆同じ街で幸せに暮らしておったわけじゃよ。ただな、ある一人の少年が昨日街を支配したのじゃよ」
一人の少年が街を支配した?どういう事だ。
「その少年の名は【ロス・カルヴァレット】と言って、ある金持ちの家の奴隷だった訳じゃよ。街人は全員そのことを知っておった訳じゃがその家は権力を持っていて下手な事を言うと処刑されてしまうのじゃ。それに皆は恐れおののき黙っておることしか出来なかったのじゃ。ほんとに申し訳なく思っとる」
だいたい話の内容は分かった。ただ、少年が街を支配したってどうゆうことだ?
そのことを老人に聞いたら
「わしも驚いたわい。今でも信じられん。昨日の昼頃にな……」
「街が氷に包まれんたんじゃ!そしたら街中に響き渡るスピーカーを使いその少年が言ったのだ。【大人よ、命が惜しければ子供を置いてこの街を去れ】と」
だから子供が一人も逃げてなかったのか。でも子供を置いて逃げる親なんているのか?
「ああ、わしもそう思ったが子供には一瞬のうちに氷の膜が覆い助けることができなかったのだ」
なるほどな……
だが氷が街を覆ったってどうゆうことだ。
刹那が俺に向かい
「恐らくその、ロス・カルヴァレットというやつは【氷に関する使い手】なのだろう」
なに!?そんな使い手もあるのか……
こうしちゃいられん子どもたちと街を救うために今すぐ行かないと!
老人に場所を聞いたが答えてくれない。
「それは危険すぎる。君達は若いのに命を無駄にする気か!!!」
老人がどなり声あげた。
俺はすーっと息を深く吸い、
「今も苦しんでいる子供達が居るのに何もせず待ってろっていうのか!?俺は色んな人に見守られながら寿命で死ぬより誰かを救って誰かの役に立って死にたい!!だが……………俺は英雄になるまでは絶対に死なねえ…」
その言葉を聞いた老人は
「士渡網街だ。そこに子どもたちがいるだろう。絶対に死なないでくれ…」
老人は涙をこらえながら言った。
老人に感謝の言葉を伝えると、俺と刹那は地図を広げ士渡網街へ全力で向かった。