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#001「八月七日日曜日」

――金メダル候補か。こういう予想が、選手に余計なプレッシャーを与えるんだけどねぇ。五輪には魔物が棲んでいるって言うし。

ごつい金属アクセサリーは、女性から安っぽい男性だと思われるんだ。まぁ、硬派には見えないけど、ここまで毛嫌いする必要あるのかなぁ。

ヘェ。このアニメのキャラクターは、昔はこんなタッチで描かれてたんだ。もはや別人だ。

  *

「お疲れさま、垣内くん」

「お疲れ、土屋。乳幼児に優しい製品があるってことは、裏を返せば、大人用が粗悪品だってことになると思わないか?」

「垣内くんって、たまに鋭い指摘をするよね。学校の勉強には活かされてないみたいだけど」

「悪かったな、共産主義で。それで、どうなんだよ?」

「ウゥン。大人用を子供用と同じ品質にしても、費用対効果が望めないんじゃないかなぁ。不必要に高性能な家電が売れないのと一緒でさぁ」

「電化製品と来たか。土屋は、本屋と電器屋が好きだもんな。たまには服屋にも行けよ。今日、着て来た私服は、いつ買ったものだ?」

「まだ着られるんだから良いじゃないか」

「秋物が売れ出し始めてるんだ。これから夏物が安くなるぞ?」

「夏が終わりに近づいてるからね。それに、シャツを一枚買うお金で、ハード・カバーの本が二冊は買えるよ?」

「それとこれとを天秤に掛けるなって。――今朝のトピックは何だ?」

「原爆関連だと思うんだけど、二十世紀の戦争によって、今なお人間が住めない場所が取り上げられてたよ」

「二十世紀か。懐かしいな」

「いや、僕たちが生まれる前の出来事じゃないか。同い年なんだから」

「土屋。実は俺は、過去からタイム・リープしてきた人間なんだ」

「嘘ばっかり。目線が右に走ってるし、足がドアのほうを向いてるよ?」

「突然の告白で驚いただろうが、受け止めて欲しい。第二次世界大戦中、連合国に極秘裏で開発されていた時空転送装置によって飛ばされた」

「もう、いいよ」

「他人の話を最後まで聞けって」

「ほら。不必要に長い説明や、感情的になって主導権を握ろうとするところも、嘘をついてる証拠なんだよ?」

「乗りが悪いなぁ」

「ところで今日は、このあと予定はある?」

「ない。何か提案でもあるのか?」

「たまには真面目な映画を観ようと思ってね。原爆にまつわる映画を借りたんだ」

「おいおい。日曜日くらい、勉強は抜きにしてくれよ」

「まぁ、そう言わずに。ピザを御馳走するから、僕の家においでよ」

「食べ物で釣られるのは癪だな」

「嫌なら断ってくれても」

「行く」

「オー・ケー。――それじゃあ、ゴミ出しに行こうか」

「おぅ」

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