#000「八月六日土曜日」
――コーヒーとスイーツは口臭の元なのか。それとは逆に、緑茶や和菓子、牛乳や林檎にはニオイを抑える効果があるんだ。
ヘェ。デートやプレゼントは地雷に気を付けないと、とんだ不評を買うんだな。
有名人でも、台本のないバラエティー番組が苦手な人は多いんだ。
あ! この人、離婚したんだ。もったいないことをするなぁ。
*
「お疲れ、土屋」
「お疲れさま、垣内くん」
「昨夜のゲリラ雷雨は凄かったな。臍を取られなかったか?」
「古風な俗信だね、垣内くん。落雷に遭わないように身を小さくしろってことを、比喩的に表現した教えだよ」
「そうなのか。夜に爪を切ると親の死に目に会えないというのと同じだな」
「今朝のトピックは、その手の話?」
「いや、関係ない。今日はグルメのトピックが多かった。フライド・チキン、ドーナッツ、たこ焼きの有名チェーン店で食べ放題があったり、カツ・サンドの名店が特集されてたり、コンビニ・カレーのクオリティーが高いと評判だったり。あとは、百円ショップで売られてる電子レンジ調理器具が人気なんだそうだ」
「スパゲッティーや、即席麺が茹でられたり、半熟卵が作れたり、お米が炊けたりするんだよね?」
「そうそう。時間短縮になるから便利だよな」
「でも、そういうグッズは、収納に場所を取るんだよね。いつも使う訳でもないし」
「毎日、朝に卵とご飯、昼にラーメン、晩にスパゲッティーって訳にもいかないものな。食べ放題については、どう思う?」
「一見すると魅力的だけど、元を取るために短時間で大量に食べるのは、必要以上に食べることになるし、長い眼で見ても不健康だと思う。仮に食べ放題で食べた量を普段の料金で食べると倍以上の値段がするとしても、日頃食べる量は、食べ放題で食べた量の半分以下だよね?」
「シビアな意見だな」
「あ! でも、カレーやカツ・サンドを買う気持ちは分かるよ。たまには、いつもと違う良質なものや、コスト・パフォーマンスが良いものを買いたくなるもの」
「費用と効用か。現代っ子だな。スマート・フォンの使い過ぎで、神経を駄目にするなよ?」
「大丈夫だよ。そこまでテクノロジーに依存してないから」
「そうか。今日は、このあと暇か?」
「特に予定は無いよ」
「それなら、俺の家に来いよ。一緒にホラー映画を観ようぜ」
「好きだね、怖がりなのに」
「怖いもの見たさって奴だ。どうだ?」
「いいよ」
「そろそろ、レジの交代だな」
「そうだね。戻ろうか」




