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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

今年は異世界で過ごします

作者: レージュ

「う、あ……」

体がだるい喉はカラカラ寝起きとしては最悪。

チカチカする眼を見開きながら起き上がろうとする

たしか、ミランダのパーティーで一年を祝ったはず…で、金髪のまあまあイケてる男の子とベットイン

ドラックとカクテル片手にまあまあ盛り上がったはず…なんだけど

知らないベットで目覚めるの慣れている。いつもならすぐに携帯とバックを確保してシャワーへゴー、運が悪ければもう一回戦といったところ

今日はなかなか見つからない


「…あーもうどこよ携帯!!」


…ここどこ?


今時貴族でも使ってない天蓋付きのベット

部屋中にはいかにも歴史ありますって感じの絵画などが飾られておりそんなかで女神さま(?)が微笑んでる

間違っても昨日というか今日ベットインしたまあまあ男の部屋ではないだろう

それにどう見てもラブホって感じでもないしホントここ何処?

叫びながら起き上がったまましばらく呆然としてしまった

まさか寝てる間に誘拐されたとか?ほら、私の家ってセレブなぶん恨まれてるかもだから

実は昨日の金髪男はドイツやらイギリスやらの貴族で趣味がとんでもなく古臭いという可能性もアリ


ああ、神様いくら私が毎日未成年飲酒してようとタバコを吸ってようとドラックに手を出してようと留学生の冴えないインドかどっかの女を奴隷みたいにこき使ってようと変態じみた趣味の男の家に誘拐されるなんて可哀想すぎる。

私はすっかり落ち込みモードにはいってしまった。もうどうしようここ何処よ?携帯もないしバックもないから化粧もできないじゃないというか私、裸なのよ?ブラやパンツの一枚や二枚ぐらい一緒に誘拐してくれてもよかったんじゃない?

ついブツブツと独り言を言ってしまう。


「…さっきからうるさいッッ!こんなのと一生寝室を共にするなんて我は嫌だッッ!!」

「ぎゃぁーーーーーーー!!!」

「うるさいと言っておるだろう!!」


誰これ誰これ誰これ!

今まで全然気付かなかったんだけどだだっ広いベットにはもう一人いた

髪は黒色、昨日の男は金髪

肌は白い、昨日の男はいい感じに焼けててココナッツの香りがした

髪型はろ、ロング?、昨日の男は…あーー思い出せるかッ!


のそりとそれは起き上がった

ああ、意外と筋肉が付いてるし顔はちょっと幼い感じがするけど今まで見た中でかなり高ランクにカッコいいかも?

もしかしてラリっちゃってる時に覚えてないだけで3Pかなんかして金髪男は私を黒髪男に私おいていっちゃったとか?それなら大丈夫多分誘拐じゃないし携帯はどっかに落としたのかも早く新しいの買わなくちゃ


「…おい、女。我を無視するとはいい度胸だな」


「あ、電話かしてくれないかしら?それと服。そうすればとっとと家に帰れるし。あとね、昨夜のことは誰かに漏らしたらバートランド家の権力であなたの一族郎党ホームレスになってチャリティー活動から恵んでもらうことになっちゃうから気をつけなさい。今日の昼にはあなたの個人情報なんて作文から自由工作まで手に入っちゃうんじゃないかしら?」


バートランド。

この一言で大抵の相手は黙るし黙らなかったら黙らなかったで潰してあげればいいだけの便利な言葉

私は一応表向きにはバートランド家の品行方正な一人娘として通ってるしあんまりゴシップが流れるのも困るのよね!


「…なにをいってるのかわからんが貴様が我を馬鹿にしているということはわかった。そして己の立場がわかってないということがな。馬鹿女め!」


その言葉に私はカチンときてしまった


「ちょっとどういうこと?まず私はあんたのことなんて馬鹿にしてないし私の立場ってなによ?バートランド家の名前を知らないわけ?もしかして私ニュースも聞いたことないような貧民か馬鹿かと寝ちゃったの?あと馬鹿っていったほうが馬鹿なんですからね?」


もう最悪。ちょっとでもかっこいいと思った私が馬鹿みたい!


「ふん、異世界から゛光姫゛などというものを呼んだところでそこらにいる強欲な女と同じか…」


黒髪男がなぜか落胆したような声でつぶやいたのに私はなぜかなぜか悲しくなってしまう


心がズキズキと痛い

いままで悲しいことなんて『あの時』からなんかなんにもなくて楽しく過ごしてたはずなのにすごく胸が痛い

私はその痛みを抑えたくて直感的に黒髪男を励ましてしまった


「あんたが何言ってるか私には全然わからないし部屋の趣味もさいあ…古臭いと思うんだけどそこまで落胆することもないんじゃない?お酒でも1杯飲めば気分も良くなるよ」


慰めるために肩をとんとんとたたく

二人共裸ってのがシュールなんだけど


「…まず事情を説明しよう。我が名○※§▼によって命じるその者は応じよ」


せっかく慰めてあげたのに黒髪男は何も言わず無表情になってしまった

そのあとはなんだからわからないことをごにゃごにゃ言ってたが今度は私にもわかるよう言った


「女、その格好から着替える気は?」


「え、ええもちろんずっと裸なんて嫌だし…。できればお風呂に入りたいんだけど…」


「ならぬ。湯浴みは説明の後にしろ。我が名に○※§▼おいて命じる纏え」


またごにゃごにゃ黒髪男が言う


「ねぇ、さっきから我が名になんちゃらかんちゃらーってなにいってるの?いみがわからな、えっ!!」


…本当に今時、科学の時代にこんなことあっていいはずがない

私は裸から白いフリルがたっぷりついたワンピースのようなものに着替えていた

もちろん私は一本の指だって動かしてない

いつのまにか"着ていた"のだ。

そして黒髪男もロングの髪はきっちり首元でリボンで結ばれており白色のシンプルなパジャマみたいなものに着替えていた


「ちょ、これな「失礼します陛下!光姫様との婚姻おめでとうございます!」


問いただそうとするといきなり大きな扉が開かれ数人の人間が入ってきた

先頭にいるのは金髪に青い瞳の男性、黒髪男と同じくらいカッコイイかも

その後ろには3人の黒髪の男が続いていた、三人とも怖いくらいそっくりだ

その後ろにいるのが茶髪と銀髪の女の子、どっちもタイプが違うが可愛い


「いや〜めでたいですね!あの陛下のことなら余りにも嫌がって儀式中に扉を吹っ飛ばして出てくるかと思って扉の前に鉄の塊やら棚やら積んでおいたんですがね!無駄な苦労でした。」


そうやってペラペラ喋る男は一言で言うと映画の中の王子様みたいな顔立ちと声、金髪だし


「ふん、さすがの我でもこれだけには逆えん。ほらお前らのお望みの光姫とやらと儀式は済ましたこれでいいな」


「はい、陛下。臣下として主が光姫様を妃に迎えることが出来るなんて誇り極まり、といった感じですよ。」


なんだか王子男はちゃっちゃかちゃっちゃか喋る

そろそろ疑問に思ってたことをそっといってみる


「…あのなんだかよくわからないんだけどここ何処であんたたちいったい誰でなんなの?」


私が喋った瞬間シーンと静まり返った

黒髪男は変わらず無表情で王子男はぎょっとした目で私を見てのこり5名は入ってきた時から変わらず無表情無口で後ろに控えている


「…申し訳ありません光姫様。貴方は遥か遠く異世界からやってきたお方、まず最初からお話致しましょう。」


にっこりと王子男


なんだからすごく嫌な予感がする


「まず最初に貴方をお呼びした理由は…」

話が長いので割愛すると、つまりはこういうことだった

まず此処は私のいた世界とは違う異世界で女神なんとかかんちゃら様が収めてる世界らしい

だけど女神様も年には勝てないというかなんというか(ここらへんは私の独自解釈だけど絶対そうに決まってる)世界中に悪の毒みたいのが流れ出してしまって人々が争うようになり世界は荒れ果てていくらしい

それを止めるのが"光姫"らしい。なんでもその光姫がいれば消臭剤みたいに悪の毒が薄れていき平和になる。それでその光姫が私らしい。


「そしてこちらの世界に喚ばれた光姫様と陛下が御成婚なされるとより力が増し、皆が平和でっ!楽しいっ!暮らしができるわけですっ!!」


最後はなんだか強調された。

…はっきりいって口ポカーンな話だし今まで培ってきた世界をぶっ壊されていく感じだ

初めはこいつ嘘ついてるんじゃないか?誘拐犯なのでは?と疑ったがさっき私がさせられた早着替えは魔法らしくそれを実際に目にしたからには信じるしかなかった


「…仮に私が光姫だとしてもどう考えても魔法の力なんてなさそうだし悪の毒?なんて消せそうにないんだけど?」

「それにはご心配に及びません。文献によると光姫様はいろんなところに出向き生きればいいのです。そうすれば自然と悪の毒はなくなります」


「ちょっとまって、文献ってことは私の前にも光姫っていうのがいたの?」


「それはもちろん。悪の毒は不定期に各国から出ますから出現してしまった国が光姫様をお呼びして毒を消すのです。もちろん出現していない国も悪の毒の影響があまりに強かった場合光姫様をお呼びすることは自由なので今のこの世界中には貴女様を含めて6人の光姫様がいらっしゃいます。」


もう、なにがなんだかわからない

ラリってベットインしたら異世界だなんてドラックのしすぎて脳みそぶっ壊れたんじゃないのかな

だけど現実は非常なことにこの私、この私に光姫なんていう昔読んだ絵本に出てきそうな役をやれっていう。


「…その光姫ってのはわかったわ。だけどすっごく疑問なんだけどなんで私とこの陛下って呼ばれてる黒髪男が裸でベットに寝てたわけ?」


一瞬王子男は眉を動かしたがすぐに笑顔に戻った


「それはおふたりの婚姻を成立させるためですっ!」

「…は?」


コンイン?


「我が国のしきたりには未婚の男女は結婚する際裸で絶対に触れ合わないようにしベットの中で眠ると婚姻が成立します、なのでお二人は今日から夫婦となられたわけです」


はあぁぁぁーーー!?


「意味わからないんだけど!?会ったことも聞いたこともないやつと目覚めたら夫婦?そんなの不成立よ!」

「いいえ、おふたりは正真正銘夫婦です。そのために昨晩現れた光姫様と陛下をご一緒のベットでお眠りになられたのですから」


めちゃくちゃだ

それでいいのかこの世界は?というか黒髪男(陛下)は!?

助けを求めるように黒髪男に目線を投げた


「我とてこんな裸で現れるような女などと結婚などしたくなかったが国のためとなればしょうがない。」


とことん腹が立つ


「ちなみに光姫様が元いた場所に帰るには悪の毒を消すしかありませんのでご了承を。まあ、消している最中になんだかんだあってその国の王とくっついてしまうのが定番なのですが」


「……あぁ…」


もう叫び声も出てこない


「とりあえず一年頑張ってみてください!王妃様!」


お、おうひ…


嘘みたいで有り得ないしどう考えてもドッキリのような話だけど今年は異世界で過ごします(過ごさせられます)。










誤字脱字などがありましたら報告おねがいします!

次はもっともっと甘ったれなクズっぷりを出していきたいと思います!!

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