第六話 Good(Bad) afternoon 押し掛け勇者アヤキ君
遅くなって申し訳ありません!!
いろいろとドタバタしていて、なかなかPCが開けず・・・。
ってあれ?どなたも待ってない?失礼しましたぁ!
ライアン君が情緒不安定な気もしますが気にしない。気にしない。
「・・・!・・・・っ!しっ・・・ろ!」
遠くで誰かの声がする気がする。
聞いたことがあるな、この声?
どこで聞いたんだっけ?中学校の頃の同級生かな?
「おい!起きろ!アヤキ!しっかりしろ!」
「はっ!」
「よかった!死んではいないと思ったが、目を覚まさなかったらどうしようかと思った!」
目を開けるとそこは異世界だった。
「こ、ここは?」
「あ、アヤキ?」
うん?誰だ?こいつ。
「まさか記憶喪失!?アヤキもあのちっこいのに記憶を抜かれたのか!?」
あのちっこいの?
なんか引っかかるような・・・。
「あ。」
そうだ。俺、死んで異世界に来たんだった。忘れてたわ。
「ど、どうした?」
「あ、いや。わるい。寝惚けてたみたいだ。」
「はぁ。紛らわしいことすんなよ!ビックリするだろうが!」
ライアンが呆れ顔でぼやいてくる。
辺りを確認すると、もうすっかり日が昇りきり、昼時くらいであろうと言うことが解った。
ん?待てよ?
「ライアン、記憶がどうのってどう言うことだ?」
「あ?ああそれか?あのちっこいの、ファボスだったか?あいつと戦おうといた記憶はあるんだけど、その先の記憶がなんか無くてな?」
あ、ああ。もしかして・・・。
「ライアン、もしかして自分が龍になったこと覚えてないのか?」
「は?」
「いや。だからな?昨日・・・で、いいのか?まあいいや。にな?ファボスの言ったことにキレて、四枚羽根のドラゴンになったんだよ。」
「はい?」
「まあいきなり言われても解らないよな。まあとりあえずそう言うことだ。」
「いや!どう言うこと!?」
ライアンが詰め寄ってくるが、無視無視。
そう考えながら立ち上がろうとすると、
カランッ。
足に何かが当たった。
「ん?」
見ると、鮮やかな緑色のチャクラムである。
「おお。そういえば・・・。」
そういった俺は屈んでそれを取り上げる。
「アヤキ、それは?」
「これか?お前が寝込んでる間に造った。」
「は!?俺どんだけ寝てたの!?」
「いや。魔力で生成したからそんな時間はかかってないはず。」
「へっ!?」
「そんなことより、マーズ達は見逃してくれたが、この国もう駄目そうだな。どうする?ファボスの話だと、王宮に向かっても意味ないみたいなこと言ってたけど。」
「あ。」
そう言って、ライアンは改めて周りを見回して、呆然としている。
どうやら、あまり周りが見えてはいなかったようだ。
辺りは昨日、俺が落ちてきたときとは比べようもない状態だった。
民家は焼け焦げ、崩壊し、所々まだ煙を上げている。街の中心にあったような謎の壁も半壊している。
ゴブリン達や、市民のものであろう人、兵のものと思われる死体が転がっている。
ゴブリンみたいに小さいもの以外は原形をとどめていて、仰向けのため顔が見えている。
遺体の状況としては、切り刻まれているものや、撲殺されているもの、オーク達にやられたのか、あまり見たくも表現したくもない状態でなくなっているもの。
生存者もちらほら見えるがたいていの人は放心状態か、泣き崩れていたり、応急処置を出来る範囲でやっていたりする人たちが見える。
しかし、女性が多いような?と言うか兵士以外で男性がいない。子どももいないな。
俺はもう一度ライアンに問いかける。
「それでも行ってみるか?王宮。」
「・・・・・。」
ライアンは黙っている。
「ライアン?」
返事はない。
「おいライアン!」
そう言って方を揺さぶると、ライアンの膝から力が抜けて、ライアンは尻餅をついてしまった。
まあ自国が半壊していたらそうもなるだろう。騎士にはなれなかったと行っていたので人が死ぬのも初めて見たのかもしれない。
が、ローブ一枚でそんなことすると見たくもないモノが見えてしまいそうでかなり困る。
「ライアン。」
俺は仕方なく、しゃがんでライアンと目線を会わせる。そして、ライアンの顔を両手で叩くように挟む。
パンッ!
「っ!?」
「いいか、ライアン。こんな状況で、ショックなのは解るが、ここで絶望していても何も始まらないぞ?」
「あ・・・。」
ライアンはやっと俺の目を見た。
「とりあえず、有事の際に人が集まる場所は?」
「お、王宮。でも・・・。」
「なるほど。王宮だな?じゃあ行こう。」
「で、でも王宮は・・・。」
「生きてる人は集まってくるだろ?そこでこれからどうするのか決めないと。」
「あ、ああ。そうだな。」
そう言って俺は立ち上がりライアンに手を貸そうとすると。
「こんな所にいたのか、罪人。」
「げ。」
俺の後ろから、俺があまり聞きたくない声が聞こえてきた。
「ほう?罪人のくせに私に見つかって、げ、とはよく言うじゃないか。」
「でたなインテリ系。」
「いんてりけい?私の名前はレイイチ・アイロムだ。“いんてりけい”とやらではない、覚えておけ。」
振り向くと、俺の言葉に眉間にしわを寄せている、人物が目に映った。
その隣には、ローブ君もいる。インテリ系がレイイチなら、こっちのローブ君の名前はアレンか。
「で、そのレイイチさんは俺に何の用で?」
「ふむ。戦いを手伝ってくれたのでな。よし、手を出せ。」
そう言って、ポケットに手を入れるレイイチ。
なんか気味悪いが、大人しく従っておくか。
そう思い手を出すと、
カシャンッ。
「って、おい!」
俺は手錠をされた。
「ん?何だ?」
「いやいや。俺頑張ったから!ダイモス倒したから!報酬ならわかるがなぜ手錠を!?」
「ほう?あのダイモスを?貴様ごときが?それは本当だな?嘘だとしたらより罪は重くなるぞ?」
「んなっ!?上等じゃねぇか!ならこっちに死体があるからついて来い!」
「ほう。」
そして俺たちは、壁伝いに、ダイモスト戦ったところまで歩いて行った。
★☆★☆★☆
「で?これはどう言うことだ?」
「あ、あれ?」
目的地周辺まで来た俺たちであったが、確かに壁が崩れていたり何だりはするが、あのダイモスの巨体が見当たらない。
「おかしいな。ここら辺のはずなんだが。」
ライアンもそう呟いている。
「ふむ。これはどうなってもいいという現れだな?」
そう、レイイチが聞いてくる。
「ま、待ってくれ!・・・・そうだ!マーズがきっと回収してったんだ!」
俺は、確かマーズがそんなことを言っていたな。と思いだし、そう言うが、
「言い訳とは見苦しいな。死体が無いのだ。何を言おうとこの事実は変わらん。」
レイイチが冷たい目で見てくる。
うっ。確かに自分で言っといて何だけど確かに嘘をつくときのような言い訳だな。ライアンも諦めたようにこっちを見て首を横に振ってるし。
ぐぅ。悔しい。でも、言い返せねぇ。
「あ、あの!」
そのとき後ろから、救いの女神の声もとい、女性の声がした。
そちらを向くと、そこにいたのはライアンの彼女・・・じゃなかった、先ほどライアンにローブを持ってきてくれた人だった。
「どうしました?」
ライアンがイケメンスマイルで声をかける。
どうでもいいが、裸ローブで格好付けてもかっこよくはないぞ?
「あ、あの、探してるのって、あのときの、巨人のこと・・・ですよね?」
どうやら話を聞いていたようだ。
「何か知っているのか?」
レイイチが女性に冷ややかな目線を送っている。声が少し震えているように聞こえるのはきっと気のせいだろう。
「あ、あの、その・・・お二方が去ったあともしばらく身を隠していたんですけど、特にゴブリンやオークなどの声とかも聞こえ無し、物音もしなったので、移動しようと思ったんですよ。」
どうやら彼女はライアンの言いつけを守り、身を隠していたらしい。
「で、ですが、そしたらお二方が行かれた方から、よく分からないんですが、す、すごく怖いものが近づいているような、背中が冷えるような感覚がありまして。そ、それで怖くて、もう一度隠れたんです。そしたら、空から、赤い人が来て、その人が巨人を魔法か何かでしょうか?消し去ってしまって、その人もどこかに消え去ってしまいました。」
「ふむ。」
レイイチは思案顔をしている。どうやら本当にマーズが連れて行ってしまったようだ。
「どうやらマーズが回収してったみたいだな。」
俺が勝ち誇って様な顔で言うと、
「だがこの娘が本当のことを言ってるとは限らんぞ。」
語尾が少しうわずったような・・・。
「えっ!あっ・・・。」
女性がショックを受けたような顔をしている。目尻に涙も浮かんでいるし。
「あー!いけないんだー!女の子泣かせたー!」
「んなっ!?」
俺がはやし立てると、レイイチは焦りだした。
「あ。いえ。わ、私はっ・・・大っ、丈夫、です・・・。」
いやそのしゃべり方、明らかに泣いてるよね?
「う・・・。だ、だが、こいつは罪人であって、そう簡単に話を信じる訳には・・・。」
レイイチ、超たじたじになってる。
もしかして女性が苦手?
「大丈夫です。泣かないで下さい。貴方が見たことは本当なんですね?」
ライアンのイケメンモードが発動してる。
優しく女性の肩に手を置いて慰めながら、優しく彼女に語りかけるライアン。
こ、これか!これをしなくてはいけなかったのか!?
「は、はい。」
慰めてくれたライアンに、涙に因るものだけではなさそうなキラキラした目を向けて固定の返事をする女性。
ちっ。リア充めっ!(ギリッ
「だそうです、レイイチ様。いかが致しましょうか?」
ライアンがレイイチに問いかける。
そういえばすっかり忘れてたけどレイイチってライアンより位が上なんだな。
ライアンのほうが人が出来てる気はするが・・・対女性面では特に。
「む・・・。」
レイイチは眉間に右手の指を当てて考え込んでいる。どっちかって言うと、眼鏡を押さえる感じだが。
そういえばこのレイイチ。どこかで似たようなキャラを見たような・・・。
眼鏡と言い、青みがかって銀髪と言い。どっかの乙女ゲーで教師やってなかったか?
と、俺がくだらないことに頭を悩ませていると、
どどどどどどどどどどどっ!
「ん?」
なんかが駆けてくるような音がする。実際に聞くのは初めてだが、、アニメなどでよくある馬の嘶きのようなものも聞こえる。
何事かと、ライアンと俺が身構えるが、レイイチと、すっかり存在を忘れていたアレン君が急に焦って姿勢を正し、その場に跪きだした。
「どうした?」
俺が眉根を寄せながら問いかけると、ライアンも何かに気付いたのか、急に姿勢を正し、
「アヤキも跪いとけ!!」
と、俺に向けて行ってくる。そして、剣を自分の前に差し、その場で跪いた。
「はぁ!?」
いきなりのことで訳が分からない。とりあえずライアンは、裸ローブで跪くべきではない。
女性も何が起こったのか解らずにいるがとりあえずライアンの隣に跪いた。
何それ。なんか夫婦みたいな距離なんだけど。べ、別に、うらやましくなんて、無いんだからね!?
そもそも俺は勇者の筈なのに扱いが雑すぎると思う。
アレン君は可愛いけど男の娘だし、この女性はライアンと出来てる感じだし。
異世界・チートと来たら次はハーレムだろ!?
ハーレムどころかメインヒロインすらいねぇよ!!
なんていう俺の思考は最後まで続かなかった。
「見つけたぞ!!!」
この場の人のものではない怒声。
「お待ち下さい王子様!!」
さらに他の人の声。少し距離があるのか声が遠い。
ドゴシャッ!!!
ドンガラガラガラガッシャーーーーーン!!
突如俺の目の前に焼けてもろくなった家の壁が迫ってきて、俺の体に襲いかかってきた。
俺の周りを地面夜空がめまぐるしく回り、って俺が吹っ飛ばされてんじゃん!?えっ!?
「ブルルル・・・。」
土煙が立ちこめる中、背後から馬の嘶きが聞こえる。
「これはどう言うことだ!!説明しろ!レイイチ!!」
さっきまでいた道路(?)のほうから、叫び声が聞こえてくる女性の声のようだ。
しかしこんな声の人いたか?
「すみません王子様。私がいながらこのような事態を招・・・」
「謝罪を聞いているんじゃない!何があったかを聞いているのだ!!」
何とか瓦礫の山から抜け出し、馬を放置して、声のするほうを見ると背中の中程まで伸びた銀髪を一つにまとめている美少女がいた。
ドクンッ
恋に落ちる音がした。
やばい。どストライク。
誤字・脱字・誤表現・違和感等何か御座いましたら、ご指摘下さると感謝です。
この作品は、KENZENで出来ております。
決してBLなどは御座いません筈です。