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第五話 An encounter 魔王幹部

今回も(最初と比べて)あまり長くありません。


≪ショウガナイ。アマリ魔力ヲ無駄使イシタクナイケド、「ひーとぷれっしゃー」。≫


「うがっ!?」

「ぐっ!」


俺たちは、不可視の何かに押さえつられたように地面にたたきつけられた。


≪ドウダイ?コレガサッキ教エタ圧力ノ魔法。風魔法ト火魔法ノ融合技。風魔法デ枠ヲ作リソノ中ノ空気ヲ火魔法デ暖メテ膨張サセルものサ。≫


 なるほど。仕掛けは圧力鍋みたいな感じか。

 なんて言ってる場合じゃねぇ!!

 重い!熱い!潰れる!!


≪面倒クサイナ。遅レルト怒ラレチャウシ、熱量ヲ上ゲヨウ。楽シンデル暇モナイカラナ。≫


 熱い!不味い!皮膚が燃えそう!


「た・のし・・む?」


 ライアンが辛そうながらも何かを呟いた。よくしゃべれるな。


≪ハ?マダ死ナナイノ?一般人ノクセニヨク持ツネェ。≫


 どうにかしてライアンの顔を見ると、ライアンの瞳孔が縦に裂けているように見える。

 はっ!?

 えっ!?何それ!?格好いいんだけど!?


≪赦セネェ!ブチ殺シテヤル!!≫


≪何?非力ナ人間ニ何ガデキルッテ?≫


 ライアンの変化に気がつけないのか、ファボスはあざ笑うようにライアンを見下ろしている。


 ドクンッ!


 地面が脈動したように感じられる。


 ライアンの周りが揺らいで見える。


≪ヒトノイノチヲモテアソビヤガッテ!≫


 バリッ!!


 ライアンの背中がはじけ飛び、そこには大きなコウモリのような、でも違う翼が一対、生えている。


「ら、ライ・・・ア・・・・ン・・・・?」


≪グルルルル・・・・。≫


≪ハ?イ、一般人?ナンダ?ソレハ?ナンノ冗談ダ!?≫


 ファボスが狼狽えている。


 そりゃそうだよな。翼生えて、さらに立ち上がったからな。


≪(コ・ロ・ス)≫


 ライアンの口がそう、動いたように見えた。


 次の瞬間、ライアンの姿はダイモスよりも大きい、5m近いドラゴンに変わった。


≪「ハァ!?」≫


 俺とファボスの声が重なった。



≪ナナナナナナッ!?何ダソレハ!?≫


 ファボスが、めっちゃ焦ってる。面白いくらい。術の維持を忘れるくらい。


 解放された俺は・・・。


 ライアンに見取れていた。


 ライアン(ドラゴン)の姿は、綺麗な赤茶色。額には大きな一本角。角は鮮やかな銀色。瞳は黄金。鋭く、輝くような牙や爪。長めの首に、自分を包めそうな二対に増えた翼。たくましい手足と、長く鋭い尾。


 そのライアン(ドラゴン)は、首を動かし、結構なスピードで、ファボスに食いついた。


 狼狽えていたファボスはろくな抵抗も出来ずに、ライアン(ドラゴン)に咥えられた。


≪タ、助ケテクレ。マダ死ネナインダ。助ケテ下サイ。まーず様。≫


 ファボスはライアンに咥えられて、命乞いを始めた。


 ライアンは首を高々と上げ、そのままかみ切ろうとした。


 しかし、途中で動かなくなってしまった。


「!?」


 俺はライアンに呼びかけようとして声が出ないことに気付いた。

 体も動かない。

 目だけを動かして現状を把握しようとしたら、体に炎で出来た鎖が巻き付いているのが見える。ライアンも同じだ。

 熱くはない。なんだこれ?いつの間に?


【ふぁぼす。】


≪≪「!?」≫≫


 俺の後ろから声がする。

 くそッ!頭を動かせないから見れない!


【ナンダコノ状況ハ?私ハ早ク帰ッテコイト言ッタハズダガ。ズイブント楽シソウダナ?】


 そう言いながら俺の横を歩いて行くのは、ウェーブのかかった真っ赤な髪に炎をちらつかせている身長180cmくらいでやせ形の男だ。朱色のマントをたなびかせ、颯爽と歩いている。


≪モ、申シ訳アリマセンまーず様。勇者ドモニ足止メヲ。≫


「!?」

≪グル!≫


 マーズ!?こいつが!?


【ホウ。ツマリコノ龍族ノものガ勇者デアルノダナ?】


 こっち!俺!俺だから!声が出ねぇのがもどかしい!


≪まーず様。ソノ、ソチラノ人間デ御座イマス。≫


【ム?ナルホド?コッチカ?】


 なぜ全部疑問系!?泣くぞコラッ!


 って、いつの間にかファボスがマーズの手に吊されてる!?


≪モ、申シ訳アリマセンガ、ハイッテマス。≫


【ム?デハ罰ノ一ツダト思ッテ受ケロ。】


≪ゴフッ!≫


 あ、吐血した。

【ア。マ、マア、イイカ。デハ勇者ヨ。コノ度ハコレデ失礼サセテモラウ。】


 そう言って、マーズは立ち去ろうとする。


「ま・・・・ち・・やがれ・・・っ!」


 くそっ!こんな拘束、勇者パワーでほどいてやる!

 うおーーーーー!勇者は伊達じゃない!!


 体からすごい勢いで何かが抜け出していく。


 ピシッ!


 俺を縛る炎の鎖から、そんな音が聞こえてきた。


 よし!いけ・・・る?


 解け始めた拘束の中で、俺は地面に倒れてしまった。


 何で!?


【ホウ?私ノ拘束ヲトクカ。サスガハ勇者ダナ。シカシ、魔力ノ扱イガワルイ。無駄遣イノシスギダナ。】


 な・・に・・・・?


 俺は薄れゆく意識の中で、マーズのそんな言葉を聞いた。


【マタ会オウ。弱キ勇者ヨ。ハハハハハハッ!】


 そこで俺の意識は途絶えた。




★☆★☆★☆




「っは!?」


 俺は目を覚ました。

 場所はマーズと会ったところから動いていない。


 くそッ!体の節々が痛い。


 周りを見回すと、夜が明けていた。

 街は焼け野原になっていた。そこら中に騎士や、ゴブリンどもの死体がある。


 っそうだ!ライアンは!?


 そう思って昨日ライアン(ドラゴン)がいた場所を見ると、裸の状態のライアンがうつぶせで倒れていた。


 よかった。二重の意味で。いてよかったし、仰向けだったらアウトなところだった。

 とりあえず、上着・・・は、嫌だから、何か替わりになりそうな物はっと?

 あ、ライアンの服の切れはし。これでいっか。腰巻きぐらいしかないけど。これ掛けてっと。

 ライアンが起きるまでの間になんか替わりの服探さないとな。


 そう思いながら立ち上がると、


「あっ!」


 どこからか、女性な声が。


 どこだ?


 と思ったら、すぐそこの瓦礫の影に女性の影が。あれは。昨日オークに襲われてた、そしてそのあとの戦いのときライアンといい感じになってた女性じゃないか。チッ!


「あっ、あのっ!」


「あ?」


「あ、いえ。なんでも、ない・・です。」


 やばっ!なんかドスの効いた声になっちゃった!


「あ、いや、わ、悪い。何だ?」


「あの、良ければ、これをあの方に。」


 そう言ってその女性は大きめの煤けた、ローブみたいなものを俺に渡してきた。


「これを、ライアンに?」


「はい。あの、先ほど見に来たらお召し物を着ておられなかったので、家の、燃えていなかったものを持って参りました。」


「そうか。ありがとう。ライアンが起きたら改めてお礼を言わせるよ。」


「い、いえ。そんな。必要ありません!」


「そうか?」


「は、はい!で、では、こ、これで失礼させていただきます!」


 そう言うが早いか、その子は走って行ってしまった。


 あ、瓦礫に足引っかけて転びそうになってるし。何をそんなに急いでいるのか。

 あとなんか俺のこと怖がっていたし。そんな怖い顔かね。


 そう思って顔を触ってみると、


「いてっ!そういえば顔、切られたんだっけ。」


 気が付かなかったけど、左側が確かに見えていない。


 なれるまでが、大変そうだな。


「さてと。」


 昨日俺は、ファボス、マーズ両方の魔法に対抗できずにやられてしまった。何かしら、魔力に対抗そる(すべ)が必要だよな。

 どうしたものか。あの拘束の魔法は何とかすれば外せそうだったが・・・。


 ん?


 あのときマーズは確か、魔力の無駄遣いがどうのと言ってたな。でも、魔力は誰よりも多いはず。それなのに足りなかった?あと今更だが、気を失った理由って魔力の枯渇か。


 となると、どこでそんなに魔力を使ったのかだが、思い当たるのは・・・。


 盾と、スキルかな。


 まず盾は何も無いとこから造り出したから、結構使ってるはず。

 スキルも、水とか爆発とか作ってたからそれなりに食ったんだろう。


 まずいな。スキルの連発で見事な快進撃をっ!とか考えてたけどこのままだと毎日気絶することになるな。基礎を鍛えないと。


 盾造ったときは神(仮)に手伝ってもらって作ったけど、俺一人でもなんかできないかな。


 そう考えながら、ライアンの上に、受け取ったローブっぽいのをのせて、ライアンから少し距離をとって、地面に座った。


 では手始めに、チャクラムを。


「ふんぬ!!」


 手の先に魔力を込めて、リングを作る感じに!

 大丈夫!出来るはず!な○うに出てくる某主人公達だって、人形作ったり、腕作ったり、城(?)を建造したりしてんだ!俺に出来なくてどうする!あいつらのようにモテモテハーレム主人公になりたいんだろ!!


「信じる心が奇跡を起こす!未来を変える!うおぉぉぉっ!」


 おお!盾造ったときみたいに光の粒子が集まって綺麗なリング状に!このままいけば!!


 カラン!


 出来上がったリングが地面に落ちた。ちゃんとチャクラムっぽくなっている。よし!


 と、思ったら視界が傾いた。


 あ、あれ?また?


 そして俺は、また気絶するのだった。



 距離とっといて良かった。ライアンの上に倒れるところだった。


誤字・脱字などあったらご指摘ください。

違和感・誤表現などもあったらご指摘下さると感謝です。


 マーズ達は、「様子見」をしろと、魔王に言われて、勇者を見に来ているため、殺してしまったら命令違反です。だから見逃されました。

 また、オーク達はあまり頭が良くないため、命令を誤認して、襲いかかりました。ダイモスは調子に乗っていたからです。

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