第八希望 お姉ちゃん!お姉ちゃん!お姉ちゃん!
「なんですかそれ?」
アユは不思議そうに首を傾げた。
「そうか、津川はこれやんの初めてかまあくっそしょうもないやつだぞ。」
「しょうもないとは失礼な!」
俺は木製の棚から青とピンクの箱を長机に置いた。
「まず、じゃんけんをして誰がやるか決めるんで青の箱には誰にやるか、そして!このピンクの箱には何をするかが書かれている!」
「おぉ!なんか面白そうですね!」
「だろだろ!?やっぱわかってんなわが妹は!」
「妹じゃないですけどね。」
「こまけーことは気にすんな!じゃあいくぞ!じゃーんけーん・・・」
『ポン!!』
(俺、幸生、アユ)チョキ、(委員長)パー
「え、なに初手ひとり負け?なんなの?委員長の頭もパーなの?」
「帰る。」
「わー!!!嘘嘘!かしこくかわいい委員長!KKI!」
「・・・しょうがないわねぇはやく箱持ってきなさいよ。」
「・・ちょれぇ。」
「なんか言った?」
「イエナニモ」
俺はやれやれと箱を委員長様の前に置いた。
「あれ、せっかく自分じゃなかったって言うのに先輩なんか残念そうですね」
「ああ、あいつはむしろ自分がやりたいんだよ罰ゲームっていう名目で自分が我慢してたことを堂々とできるからな」
「それ、ゲーム成り立たなくないですか?」
「だから言ったろめんどくさいって」
幸生とアユはそろってはぁとため息をついた。
「じゃあ引くわよ」
「どうぞ」
「何よそのテンションの落ちよう腹立つわね・・・はい」
「ん~何々?」
委員長に渡された紙を広げた。紙の真ん中に書いてあったのは・・・姉、姉か~姉!?えっ姉!?
「どうしたーなんて書いてあんのー」
「はい!紙に書いてあったのは姉!お姉ちゃん!エビバディセイッ!お姉ちゃん」
うわぁと露骨に幸生が嫌な顔をする。
「ちょっと、大丈夫なの?さっきも言ったけどお姉ちゃんは暇じゃないのよ?」
「大丈夫だよ、さすがに無茶な奴は陽平もパスさせてくれると思うし」
「ならいいけど、じゃあ次はピンクの箱ね・・はい」
さっきと同様に引いた紙を俺に渡す、何かなー軽いのは呼び出すだとして一番いいのはーなんだろ俺も全部把握してないからなぁ、あ!あれだ妹として接する!凛子さんが委員長に妹扱いされるとかなにそれ誰得!?はい、俺得です。よっしゃぁ来いよ妹プレイ!
ペラリと念を込めて紙を開くとそこには
『電話する』
電話する?デンワスル?
「ふざけんなよぉぉ!!誰だよこんなしょうもないの入れたの!」
「なんて書いてあったの?」
地面にたたきつけた紙を委員長が拾った。
「電話する、いいじゃないこれならそんなに迷惑もかからないし」
「あ、それ俺だ」
「お、ま、え、か!!!」
興味なさそうにアユと畳でトランプをやっていた幸生が自首した、つーかお前らやってんのババ抜き?二人でババ抜きとか何考えてんだ。
「じゃあ電話するわよ・・・あ、もしもしお姉ちゃん?いや特に用はないんだけどー」
何これただ電話してるだけじゃん、凛子さんの声も聞こえないし何も面白くない。
「委員長交代」
「え、罰ゲームって言ってもそんな大したことはないし」
「交代!」
「大丈夫だって心配しすぎ」
「・・・ふんっ!」
「あっちょっと!」
面白くもなんともないから委員長の携帯をぶんどる。
「あ、もしもし凛子さん俺ですおれおれ」
『ん?誰だ貴様』
貴様って初めて聞いたよ、このいかにもクールな声の主が凛子さんやたら叫んだり感情をむき出しにする妹と違ってめっさクール、外見も高橋先生に負けず劣らず大人っぽいしかも高橋先生の中身があれなだけに凛子さんのほうが大人に感じる。
「誰って俺ですよ陽平、もー凛子さんが来ないからさびしくて電話しちゃいましたっ!」
「きもいぞ陽平」
畳から幸生が横やりを入れてくる
『陽平?知らんな初めて聞いたすまんが学校は関係者以外原則立ち入り禁止なんだが』
おいおい、関係者も何もこの学校の生徒だよ。
「凛子さん冗談きついですよー!幼馴染の萩村陽平です!」
『萩村?ああ萩村のきもいほうか』
「・・思い出してもらえて何よりです」
凛子さんは家族単位で関わりのあるため委員長もだが俺以外にも兄と弟とも面識があり基本名前で呼ばない、兄のことは萩村のでかいほう、弟は萩村の小さいほう、俺は萩村のきもいほう・・・こんなの絶対おかしいよ。
「凛子さん、恥ずかしがらずに昔のように陽きゅんって呼んでくれても構わないんですよ?」
『貴様の妄言はさておき私の妹をだいぶ困らせているようだがそれは殺してくださいって意味だと捉えていいんだな?』
「やや、やだなーちゃんと同意の上でちょっと遊んでただけですよ」
妹困らせたら殺されるとかどういう思考回路だよシスコンか?ああこの人はシスコンか。
「ちゃんと部活にも来てくださいね、じゃ!」
これ以上ボロが出る前に委員長に携帯を返す、昔仲が良かったのは本当なのに。
少し何か姉と話していると俺のほうをチラチラ見てきたのでOKサインを送るとそれじゃあと言って委員長は電話を切った。
じゃあ次いこっか・・・