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乙会黙示録  作者: 一ノ瀬 湊
第一回放送
2/5

~開始前~

 学校の屋上、そこに俺達"幼馴染みが適当に駄弁る会"《OT会》の部室があった。

 俺は乙会なんて呼んでいるけど…ま、それはどうでもいいんだ。


 「な…なんだこれ?」


 ようやく出てきた言葉も、この状況では意味がない。

 昨日までは長机とホワイトボード、人数分の椅子しかなかったはずなのだが…ソレはその長机の上に鎮座していた。


 「あっ、お兄ちゃん…」


 俺が入口で突っ立っているのに気付いたのか、先に来ていた妹の鈴音が声を掛けてくれる。


 「リン、これは?」


 「えっと…多分会長さんじゃないかな」


 このブツを仕入れたのは誰か──さすが兄妹、俺の言葉足らずな質問にもちゃんと意図を察して答えてくれた。

 とは言え、いつもは乙葉お姉ちゃんと呼ぶ鈴音が「会長」と言っている辺り、彼女もまた困惑しているようだ。


 「そっか…乙葉姉か…」


 いや、そうじゃないかと思っていたけどさ…。

 乙葉姉はこの会の創設者であり、また最高権力者でもあった。

 いつも彼女の決定にメンバーが振り回されるのが日常だ。


 「ちーっす……て、なっ!?」


 「あらあら、大変なことになってますねぇ」


 席についたその約5分後、入口から唖然とした声が聞こえてきた。

 見ると、靖が間抜け面で口を空けており、心乃さんはいつもの微笑みを浮かべつつもそれなりに驚いているようである。


 「孝一…」


 「聞くな、分かりきったことだろう」


 「やっぱり、乙ちゃんだよね…」


 嘆息しながらソレを再び眺めて、心乃さんが続ける。


 「じゃあ、この放送機材はつまり──」


―――――――


 「ラジオ配信をするわよっ!」


 その後、陽菜、千佳ちゃん、乙葉姉とメンバーが揃ったところで、会長さまは宣言した。


 「あの、ちょっと質問が…」


 おずおずと手を挙げたのは千佳ちゃんだ。


 「ん、なに?」


 「それって、いつやるんですか?」


 そうだ、それは俺も聞きたいと思っていた所だった。

 こんな豪華な機材(経費はどこから出たのやら…)がセットされているのだから、やらない、といった選択肢はもう既に潰れていると言っていいだろう。

 それでも、心構えというか…そういったものに少なくとも1日は欲しいところである。


 「今日だよ?」


 「そうか、今日か……って、ちょっと待たんかい!!」


 思わずノリツッコミしてもうたやんけ!!

 なぜか関西弁になってしまった俺だが、周囲の空気も似たようなものだ。


 「い、いきなり言われても話題がないぞ!?」


 「大丈夫だよ、そんなに大事にするつもりはないし」


 慌ててストップをかけようとするが、時既に遅し。

 目前のパソコンには"開始5分前です"と表示され、マイクも既に入っているようだった。


 「はぁ、面倒臭ーい」


 陽菜は心底怠そうにしているが、それでも興味はあるのだろう。マイクに色々喋って、その声をヘッドホンで聞いたりなんかしている。

 みんなも既に諦めたのか、席について機材が動くかどうかチェックしていた。

 やると決めたらとことんやるのが乙会だ。


 「ったく…しょうがねーなー」


 嘆息して、俺もヘッドホンを首にかけた。


 皆様初めまして、まだまだ初心者ですが楽しんで頂けたら嬉しいです。


 人物関係は次話から掘り下げていく予定ですので、今回は一応紹介だけということで…


 それでは、よろしければ次話もよろしくお願いします。

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