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ユーリエサイド:1人で採集

薬草士ユーリエ、採集に行くの巻

「うーん、だいぶ少なくなってきてるなぁ…」


最近、しばらく採集に行ってなかったから、在庫の残りの少ない薬草が出てきてる。

これはそろそろ行かないとダメかな。

近場は1人で行けるとして、森の一番奥は誰か一緒に行ってもらった方がいいよね。

猟師さんたちの予定、あとで組合長さんに聞いておかなきゃ。






「ではワシの方から話を通しておくからの。

 ワシらもいつも助かってるし、いつでも言うてくれ。」

「それじゃ、よろしくお願いします。」

「ああ、いつも通り、朝一番に門のところで合流しておくれ。」


お辞儀して組合長さんのお宅を後にする。

ちょうど森に行く予定のある人たちがいてくれて良かった。

あとは明日の採集でいるものを準備しておかないといけないし、早めに用意して休んでおこう。






昨日早めに休んでおいたから、ちゃんといつもより早く目が覚める。

だいたいいつも同じくらいの時間だけ眠れるのは、あたしの特技みたいなものよね。

そのかわり夜更かししたら大変なことになるけど…

外に出かけるための装備に着替えて、昨日の晩に準備しておいたパンをお腹に詰めていく。

あとはカゴの中に、小分けするための袋と、お昼のお弁当を入れて背負えば準備完了。

街の門は、朝一番の鐘が鳴れば開くから、それまでに門まで行っておけば、時間短縮になるのよね。


門の前には、あたしのほかにも何組かの人と、馬車が2台いる。

朝一番から出る人は、そんなに多くはないけれど、いないってことは絶対ない。

さて、もうすぐ鐘が鳴るかな?

なんて思ってたら、ちょうど鐘が鳴る。

これが朝一番の鐘。

衛兵さんたちによって、門が開かれると待っていた人たちが順番に出発していく。

何か事件があったりしたときは別だけど、普段は出て行くときに厳しいチェックがされることはない。

あたしも順番に流れていく人の流れに乗って、街を出た。


しばらくは街道沿いに進むから、他に街を出た人たちと一緒に進んでいく。

集団でいる方が安全だから、こうやって街の外に出たりする人は、結構顔見知りだったりするし、旅に出たりするときは、知らない人同士でも割と会話が弾んだりする。


「へえ、薬草を採りに…大変そうだなぁ。」

「そうですか?

 あたしは行商とかのほうが大変だと思うけど…

 だって、ほとんど毎日街から街へと渡り歩いてるんでしょ?」

「まあそうだけどね、私はそれが苦にならない人だからね。」

「あたしもそうですよ。

 やっぱり自分にあってることをするのがいいんですよね。」


行商人さんとしゃべりながら進んでいくと、そろそろあたしの目的地が近づいてきた。

ここからは街道を少し逸れて、森の方へ行くことになる。

一緒に歩いてた人たちに手を振って見送ってから、森に向かっていく。

街道の近くは開けてるから、周りも確認しやすいんだけど、森に入ると視界が狭くなるから注意しないといけない。

さすがに魔獣なんかはどうしようもないけど、普通の動物たちなら人を避けようとすることが多いから、こっちの存在を示すために、ベルをつける。

歩く度にカラカラ鳴るから、音を聞いた動物たちの方が逃げてくれるんだよね。


「泉までしか入らないし、何にも会いませんように。」


何度も来ているところだから、迷うことはない。

少し森の中の方まで入ったところに、きれいな水が湧いてる泉がある。

そこから流れ出した水も、川に合流して街まで流れてくるんだけど、この湧水だけでも大したものなのよね。

重くて持って帰るのは大変だけど。

この泉の水が湧いてるところにしか生えない薬草も、今日の目的の1つだった。


「よかった、たくさん生えてる。」


ブーツを脱いで、裾を捲くって泉に入ると、水が冷たい。

でもこの水って季節が変わってもあんまり温度が変わらないみたい。

だからって寒い時期に入りたくはないけど。

水の上に出ている先の方の部分を丁寧に摘み取っていく。

全部引っこ抜いてしまったら、再生しなかったら困るからね。


ある程度の量が集まったから、泉から出て、集めた小袋をカゴの中へ仕舞う。

濡れた足を拭いて、ブーツを履いたらついでにその周りも探してみる。

泉のところは少し森が開けてるけど、そこから流れ出す小川の周りは湿ってて、キノコなんかも結構生えてる。

その中から、薬として使えるものと、食べられるものを探していくつか採っていく。

キノコの中には毒性の強いものもあるから、注意しないといけない。

素人さんが手を出しちゃいけないんだけど、毎年何人かはキノコの毒にやられてなくなってしまうんだよね。


そんなこんなで、いろいろ採った後、座るのにちょうどいい岩に腰掛けて、お昼ご飯。

干した果物少しに、パンを1切れ、それと目の前のおいしいお水。

あんまり時間もかけられないし、食べ過ぎるとこの後に差し支えるから、少ない目で十分なんだよね。


簡単にお昼をすませて一息ついたら、あとは小川に沿って森を抜けて川沿いに帰って行くだけ。

川沿いにもいろいろ使える植物が生えてたりするし、それを探して帰れば夕方前には街に戻れるはず。

あんまり遅くなると、採ってきたものを処理する時間がなくなるんだよね。

さてと、そろそろ出発しましょうか。

この後も、何にも出会わないといいなぁ。

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