第1話―1
プロローグ
その昔、人間達は、神、鬼、悪魔など人類以外の生命体に侵略されている。人間達は対抗するために戦っているが、軍も自衛隊も歯が立たない日々が続いていた。そこで、人類はある選択をした。それは‥‥降伏だ。人類の降伏宣言によって、神達は争いを止め世界は平和になった。
ここは、とある場所。
「貴様の罪は重い。死刑が決まった。」
暗闇に、男の低い声が響く。
「まさか、貴方が人間を助けるとは‥‥」
さらに、女の声も響く。
「神ともあろうものが‥‥」
男の高く悲しい声も響く。男達の前には、縛られた男が一人いた。
「さぁ、時間だ‥‥神々の中で最強と呼ばれた存在よ‥‥さらば」
最初の男の声が聞こえると何かが男を貫く音が聞こえた‥‥
「くそ、くそがーーーーーーーーーーーー!!」
男の苦しい声が聞こえる。「まだ、死なぬか‥‥さすがだな。だが、これで終わりだ。」
低い声の男が光る。
『幾千の刺傷』
無数の刃が男に向かう。
「ぐわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‥‥」男の苦しい声は消えた‥‥
第一話
「う‥ううっ‥く‥うわあ」
俺は、ベッドから起き上がった。
「ハァ、ハァッハァッハァハァ、ハァ」
また、あの夢か‥‥ここの所多いよな。生活は至って変わってないのにな‥‥。俺は、伊神狂夜イカロス学園の中等部三年で今年から高等部一年になる。そして、今日は登校日で始業式がある。俺は変な夢のおかげで朝早く起きる事が出来た。その代わり爽やかって朝じゃないが‥‥
「狂夜ー!起きてるの?」「今、起きたー」
「朝ごはん出来てるから早く降りてきて!」
「ういっす!」
今、聞こえた声の人は俺の親じゃない‥‥俺の親は、昔神達と戦争をしている時に亡くなった‥‥らしい。その時俺はまだ8つになったばかりであまり覚えていないが、家の両親は暴走族と女番長だった。そこから来るせいか、変な名前は付けられるわ、毎日家に帰って来ないわといろいろ大変だった記憶がある。
今、俺が住んでいる所は幼なじみの家、両親がいなくなった後に幼なじみの家に引き取られたってわけだ。っと話はここまでにして、さっさと行かねーとまた声かけられそうだから
「狂夜ー早く来なさい、大事な話があるからー」
ほら‥‥って大事な話?何だろう‥‥
俺は、何の事か考えながらリビングに行った。
「あの‥‥大事な話って?」「まぁ、ご飯でも食べながら話ましょう。」
席に着くと、ご飯、味噌汁、漬物、納豆‥‥うーん和食だ俺、和食好き。
食べる前に一言。
「いただきます。」
箸を手にとりご飯を一口。うめぇ〜炊きたてだな。
そして、味噌汁を取ろうと手を伸ばす。
「実はね、旦那の転勤が決まったの。それでね、しばらく家を空ける事になるけどいいかしら?」
俺は、伸ばした手を引いて言った。
「いいですよ。」
「それは良かった〜」
再び手を伸ばし味噌汁を取る。
「ところで、どこへどれくらいいるんですか?」
味噌汁をすすりながら、
何気なく訊いてみた。
「えっと‥‥アメリカに三年位って言ってたわ♪」
ぶっ
一瞬吐きそうになった。
「い、いつ出発ですか?」「今日。だからもういくわ。」
「も、もう!?」
「じゃあ、萌香の事頼んだわよ♪」
それだけ言うと、おばさんは走って行った。
「まじかよ‥‥」
すると、おばさんが戻って来て、
「あっ!いい忘れてたけど生活費とかは送るから安心してね。」
とだけ言い残しまた走って行った‥‥
はぁ、これから大変そうだ‥‥
とりあえず、萌香を起こすか。
階段を上り、俺の隣の部屋の前に立つ。
そこには、ネームプレートに可愛く『萌香の部屋』と書かれ、空きには猫や犬などの動物が書かれていた。「萌香ー起きてるか〜?」部屋のドアを開けながら入ると、下着姿の萌香が‥‥「・・・」
「・・・」
しばし沈黙。
「キャー!何で入って来てるのよ!」
体を手で隠し頬を真っ赤にさせる萌香。
「すまん‥‥起きてるかな〜って思ったから」
俺は、顔を背け横目でチラチラと萌香を見る。
「ノ、ノック位してよ!」「悪かった‥‥」
「大体、何で狂夜なの?お母さんは?」
ん?こいつ知らねーのか。「出かけたぞ。」
「どこへ?」
「アメリカ。」
「ええぇぇぇぇぇぇ!!」
「やっぱり知らねーのか。」
「いつ出たの?」
「さっき…」
「さっき…って事は、これからは二人きりに‥‥」
おっ!
「そうなるな〜」
俺は、相づちを打って気付く。
「そんな‥うそ‥」
(そんな夢みたいな事が現実で起こるなんて‥‥毎日狂夜と二人きり‥‥なんて幸せなの。)
「どうかしたか?」
「う、ううん。何でも‥」萌香は少し顔が赤くなっている。あっ!そうか。
「気付いてやれなくて悪かった。」
「えっ、何が?」
「早く着替えて飯来いよ。」
俺はそう言うと、萌香の部屋を出た。
「着替え?ああっ!キャー」
萌香は、話している内に手を元に戻していた事を今やっと気付いたのだった。
☆★☆
「おーい、そろそろ行くぞ。」
「う、うん」
家からイカロス学園はすごく近い、歩いて5、6分くらいだ。
「これから大変だろうけど頑張ってこうな。」
「うん。一緒にね。」
(ああっ、言っちゃった〜)家系の決断をすると、後ろから声をかけられた。
「お二人さん、朝から熱いね〜」
ん?この声は‥‥
「暁!」
「よっ!」
こいつは、日野暁。萌香に続き幼なじみだ。明るくて頼りになるいいやつだ。
「萌香も久しぶり〜」
「久しぶり〜暁。」
俺達三人は、幼稚園の時からの中で仲がいいと思う。ちなみに、萌香の名字は、服部だ。
「あっ!そういえば、今日転校生来るらしいぜ。」
「へー、そうなんだ。」
「だ、誰!!男?女?」
俺が軽く受け流すと萌香が予想以上に反応した。
何で、こんなに反応するんだ?あ、そうか。そろそろ彼氏が欲しいのか。
「確か…女だったな。」
「何ですって!?」
暁が言うと、萌香の目がギラギラ光出す。
まさか萌香、女同士は良くないぞ。
(女〜!可愛くてもし、狂夜が好きにでもなったら…阻止、絶対阻止よ!)
萌香からは、何やら黒いオーラが‥‥
「おっ、見えてきた。久しぶりだな。」
暁が言った通り見えてきたイカロス学園。
「流石高等部、悪魔や鬼が沢山いるぜ。」
本当、沢山いるな‥‥ん?突然、俺達の目の前に誰かが現れた!