表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/11

5. ガスパール ― 家に潜む静かな脅威

バルディーニ家で迎える、初めての夜だった。

何年ものあいだ、私はこの一家、この屋敷について徹底的に調べてきた。

私の部屋は、ルカ・バルディーニと、彼が違法な取引を行ってきた場所、そして彼の最重要人物たちの写真や資料で埋め尽くされている。

ここ数年、私の人生はルカ・バルディーニを追うことだけで過ぎていた。


バルディーニ家の屋敷は、ずっと気になっていた場所だった。

そしてついに、その中へ足を踏み入れることができた。

だが、この家には誰でも入れるわけではない。


ルカ・バルディーニの違法な拠点に入るほうが、むしろ簡単だった。

この屋敷に入ることは、ほとんど不可能に近い。


この家に出入りできるのは、バルディーニ一族、ダンテ・パレルモ、ロッコ、そしてマッテオだけだった。

それ以外で入ることを許されていたのは、清掃や料理をする女性たちだけだ。


近隣の町から、日雇いで掃除や料理をするために女性たちが来ていた。

だが、この家に入った使用人全員が、無事に帰れたわけではない。

バルディーニ家の敵やライバルたちは、この屋敷に入れるのが使用人や清掃員だけだと知っていた。

彼らは金で彼女たちを買収し、バルディーニ一家を殺そうとさせていた。


屋敷に入る使用人は武器を持ち込めない。

だから彼女たちは毒を使った。

何度も料理に毒を混ぜ、幼いバルディーニ家の子どもたち――つまりルカ・バルディーニの子どもたちを殺そうとしたのだ。


子どもの数が増えるにつれ、ロザリア・バルディーニの負担も大きくなっていた。

マルティナ夫人とフェリシアが子どもたちの世話をしていたが、二人だけでは到底足りなかった。

そのため、料理や掃除のために外部の人間を雇うことは避けられなかった。


ルカ・バルディーニの違法取引や抗争のどこにも、ロザリア・バルディーニの名は出てこない。

だが彼女は、ルカとほぼ同じ数の人間を殺してきた。

ただし、その理由はまったく違っていた。


ロザリアは、子どもたちを死から守るために殺す。

ルカ・バルディーニは、自らの権力を守るために殺す。


この家に入るのがこれほど困難なのだから、ここでルカ・バルディーニに不利な証拠を山ほど見つけられるはずだと思っていた。

だが違った。

この屋敷は、バルディーニ家にとっての“聖域”だったのだ。


ルカ・バルディーニは、どれほど巨大なマフィアのボスであっても、妻と子どもを何より大切にする男だった。

だからこそ、家族が暮らすこの家には、誰もが入れるわけではなかった。


私には二つの任務があった。

一つは、ルカ・バルディーニの妻を守ること。

もう一つは、ルカ・バルディーニに対する証拠を集めることだ。


だが、二つ目の――本当の任務を果たすためには、まず一つ目を完璧にこなさなければならなかった。

一日中、ロザリア・バルディーニのそばにいなければならない。

彼女が眠っている間でさえ、近くにいる必要があった。


そのため、私には彼女の部屋の真向かいの部屋が与えられていた。


夜だった。

家の中は、異様なほど静まり返っていた。

内部はまるで二つに分かれているかのようで、左右それぞれに階段が伸びていた。

左側は子どもたちと乳母たちの部屋。

右側は、ルカ・バルディーニと妻の部屋だった。


全員が眠っていた。

ルカ・バルディーニは任務を与える際、夜は数時間ずつしか眠れないと言っていた。


この家で起きたことは、すべて細部まで知っているつもりだった。

それでも、私はこの場所に強い興味を抱いていた。


眠れず、外に出て屋敷の周囲を見回していた。

前庭に立つと、かつてガブリエル・ジョルダーノが、ルカ・バルディーニの家族を目の前で殺した光景が蘇った。

すべてが、映画のワンシーンのように脳裏に浮かび上がる。


屋敷を回り込み、裏庭へ出た。

夜でも、周囲に警備の姿はなかった。

マッテオの姿さえ見えない。


裏手には、かすかな灯りに照らされた葡萄畑が広がっていた。

ルカ・バルディーニとロザリアの結婚式は、この庭で行われた。


そのすぐそば、葡萄畑の端に小さな貯蔵庫が見えた。

ルカ・バルディーニはそこで、妻を刺した三人の男を――彼女の目の前で殺している。


「動かないで!」


ロザリアが、ガスパールの背中に銃を押し当てた。


「落ち着いて。俺だ、ガスパールだ。」


ガスパールは両手を上げ、静かに名乗った。


「ここで何をしているの?」


ロザリアは、銃を背中から離さずに尋ねた。


「屋敷の周囲を確認していただけだ。」


ガスパールは、手を上げたまま振り返らずに答えた。


「ガスパール、あなたの任務は家を守ることじゃない。

私を守ることよ。

それなのに、あなたは私がどこにいるかさえ把握していない。」


ロザリアは、ガスパールの背中から銃を下ろした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ