5. ガスパール ― 家に潜む静かな脅威
バルディーニ家で迎える、初めての夜だった。
何年ものあいだ、私はこの一家、この屋敷について徹底的に調べてきた。
私の部屋は、ルカ・バルディーニと、彼が違法な取引を行ってきた場所、そして彼の最重要人物たちの写真や資料で埋め尽くされている。
ここ数年、私の人生はルカ・バルディーニを追うことだけで過ぎていた。
バルディーニ家の屋敷は、ずっと気になっていた場所だった。
そしてついに、その中へ足を踏み入れることができた。
だが、この家には誰でも入れるわけではない。
ルカ・バルディーニの違法な拠点に入るほうが、むしろ簡単だった。
この屋敷に入ることは、ほとんど不可能に近い。
この家に出入りできるのは、バルディーニ一族、ダンテ・パレルモ、ロッコ、そしてマッテオだけだった。
それ以外で入ることを許されていたのは、清掃や料理をする女性たちだけだ。
近隣の町から、日雇いで掃除や料理をするために女性たちが来ていた。
だが、この家に入った使用人全員が、無事に帰れたわけではない。
バルディーニ家の敵やライバルたちは、この屋敷に入れるのが使用人や清掃員だけだと知っていた。
彼らは金で彼女たちを買収し、バルディーニ一家を殺そうとさせていた。
屋敷に入る使用人は武器を持ち込めない。
だから彼女たちは毒を使った。
何度も料理に毒を混ぜ、幼いバルディーニ家の子どもたち――つまりルカ・バルディーニの子どもたちを殺そうとしたのだ。
子どもの数が増えるにつれ、ロザリア・バルディーニの負担も大きくなっていた。
マルティナ夫人とフェリシアが子どもたちの世話をしていたが、二人だけでは到底足りなかった。
そのため、料理や掃除のために外部の人間を雇うことは避けられなかった。
ルカ・バルディーニの違法取引や抗争のどこにも、ロザリア・バルディーニの名は出てこない。
だが彼女は、ルカとほぼ同じ数の人間を殺してきた。
ただし、その理由はまったく違っていた。
ロザリアは、子どもたちを死から守るために殺す。
ルカ・バルディーニは、自らの権力を守るために殺す。
この家に入るのがこれほど困難なのだから、ここでルカ・バルディーニに不利な証拠を山ほど見つけられるはずだと思っていた。
だが違った。
この屋敷は、バルディーニ家にとっての“聖域”だったのだ。
ルカ・バルディーニは、どれほど巨大なマフィアのボスであっても、妻と子どもを何より大切にする男だった。
だからこそ、家族が暮らすこの家には、誰もが入れるわけではなかった。
私には二つの任務があった。
一つは、ルカ・バルディーニの妻を守ること。
もう一つは、ルカ・バルディーニに対する証拠を集めることだ。
だが、二つ目の――本当の任務を果たすためには、まず一つ目を完璧にこなさなければならなかった。
一日中、ロザリア・バルディーニのそばにいなければならない。
彼女が眠っている間でさえ、近くにいる必要があった。
そのため、私には彼女の部屋の真向かいの部屋が与えられていた。
夜だった。
家の中は、異様なほど静まり返っていた。
内部はまるで二つに分かれているかのようで、左右それぞれに階段が伸びていた。
左側は子どもたちと乳母たちの部屋。
右側は、ルカ・バルディーニと妻の部屋だった。
全員が眠っていた。
ルカ・バルディーニは任務を与える際、夜は数時間ずつしか眠れないと言っていた。
この家で起きたことは、すべて細部まで知っているつもりだった。
それでも、私はこの場所に強い興味を抱いていた。
眠れず、外に出て屋敷の周囲を見回していた。
前庭に立つと、かつてガブリエル・ジョルダーノが、ルカ・バルディーニの家族を目の前で殺した光景が蘇った。
すべてが、映画のワンシーンのように脳裏に浮かび上がる。
屋敷を回り込み、裏庭へ出た。
夜でも、周囲に警備の姿はなかった。
マッテオの姿さえ見えない。
裏手には、かすかな灯りに照らされた葡萄畑が広がっていた。
ルカ・バルディーニとロザリアの結婚式は、この庭で行われた。
そのすぐそば、葡萄畑の端に小さな貯蔵庫が見えた。
ルカ・バルディーニはそこで、妻を刺した三人の男を――彼女の目の前で殺している。
「動かないで!」
ロザリアが、ガスパールの背中に銃を押し当てた。
「落ち着いて。俺だ、ガスパールだ。」
ガスパールは両手を上げ、静かに名乗った。
「ここで何をしているの?」
ロザリアは、銃を背中から離さずに尋ねた。
「屋敷の周囲を確認していただけだ。」
ガスパールは、手を上げたまま振り返らずに答えた。
「ガスパール、あなたの任務は家を守ることじゃない。
私を守ることよ。
それなのに、あなたは私がどこにいるかさえ把握していない。」
ロザリアは、ガスパールの背中から銃を下ろした。




