26. ガスパール — 閉ざされた席の新たな秩序
「閉ざされたテーブル」は、まず感謝を述べる段階から始まった。その場で、バルディーニ家がこれまで他のドンたちのどんな問題を解決してきたのか、私はかなりの情報を得ることができた。
上司に報告するには十分な材料を集められたと言っていい。
だが、一つ問題があった。
私がロザリア・バルディーニの護衛になった本当の理由は、ルカ・バルディーニに対する証拠を集めるためだったからだ。
ルカ・バルディーニは自分の偽の葬式のあと、姿を消していた。そして自分の持っていたすべて――表の資産も裏の資産も、すべてをロザリア・バルディーニの名義に移していた。
ここ数か月に行われた仕事の責任者は、実際にはルカではなくロザリアだった。
私が報告書を書くとき、上司はロザリア・バルディーニの名前を記録することになるだろう。
次は、問題を報告する段階だった。
ロザリアは全神経を集中させて話を聞いていた。ここにはノートもペンもない。すべての問題を細かく覚えておかなければならないからだ。
「ミラノで新しいグループが現れた。小さな連中だが、もう問題を起こし始めている」
ドン・リッツォがロザリアを見ながら言った。
「続けてください、ドン」
ロザリアは軽くうなずき、話を聞いていることを示した。
「主要な輸送の一つが港で消えた。荷物は税関には入ったが、それきり出てこない」
ドン・サレルノが、落ち着いた声だが不安をにじませて言った。
ロザリアの姿勢、そして話の聞き方はとても落ち着いていて、まるで何年も前からこの席を仕切ってきたかのようだった。
次に問題を話す番はロレンツォ・フォンターナだった。
だがロレンツォ・フォンターナは、問題を抱える側というより、むしろ問題を起こす側の人間だった。
「最近、カジノの調子が良くない。客の多くが他へ流れている。中で少し“商売”を許せば、また活気が戻るだろう」
ドン・フォンターナはロザリアのすぐ近くに座っていたが、わざと大きな声で言った。
ロレンツォ・フォンターナは、ルカ・バルディーニがいないこの状況を利用して、麻薬の売人たちをカジノに入れようとしていたのだ。
「ドン・バルディーニのルールは変えません」
ロザリアは静かだがはっきりした口調で言った。
「ドン・バルディーニのシャツを着たところで、ドンになれるわけじゃありませんよ、シニョーラ。
そのシャツはいずれ脱がされる。そうなれば、あなたに何が残るかは皆わかっている」
ドン・フォンターナは皮肉な笑みを浮かべ、挑発するように言った。
「次の方」
ロザリアは何も言い返さず、視線をテーブルの別のドンへ向けた。
閉ざされたテーブルでは、すでに変化が始まっていた。
ロレンツォ・フォンターナの嘲りと脅しの言葉は、まるで聞こえなかったかのように流された。ロザリアはまったく反応を示さなかった。
テーブルの視線が一斉に別の方向へ向く。
護衛たちでさえ、ドン・フォンターナへ向けられたあの軽蔑の笑みを隠そうとはしなかった。
次は「名誉の任務」の段階だった。
この段階は、狩猟小屋のバルコニーで、ワインと銃を手にして行われる。
ドンたちはそれぞれ護衛とともにバルコニーに立った。
この段階のルールは簡単だ。
順番が来たドンは、瓶の中から紙を一枚引く。
紙に書かれた内容を読み上げ、そのあと森の木々の中に設置された金属の的に当てれば、その任務を引き受けたとみなされる。
「ドン・ロマーノ」
使用人の一人が、任務が書かれたカードの入った瓶を持ってドンの前に進み出た。
ドンたちはそれぞれワイングラスを手に持ち、順番に並んでいた。
ロザリアは列の最後に立っていた。
この段階には、開始順や決まった順番はない。
使用人が順にドンたちの前に行き、瓶を差し出して紙を引かせるだけだ。
「まずはシニョーラからどうぞ」
ドン・ロマーノは穏やかな笑みを浮かべ、手でロザリアを示した。
使用人は軽く頭を下げ、ロザリアの前へ数歩進んで止まった。
ロザリアは瓶の中から一枚の紙を引き、内容を見ずにそのまま使用人に渡した。
これもまたルールの一つだった。紙を引いた本人が読むことはできないのだ。
「トリノとミラノの孤児院の年間費用」
使用人は紙を読み上げると、横に下がった。
任務を聞いたロザリアの顔に、一瞬の緊張が走った。
だがそれは任務の内容のせいではなかった。
ロザリアの視線は、銃が置かれているテーブルに向いていた。
バルコニーの端にある木のテーブルの上には、数丁の狩猟用ライフルが並べられている。
ロザリアはライフルを扱えないわけではない。
だが、それは普通の拳銃とは違う。
ライフルは重く、撃つときにはしっかりとバランスを取る必要があった。




