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2. ガスパール ―ケーキの前の沈黙

物事というのは、本当に外見だけでは分からないものだ。

とても美しく見える人間ほど中身が醜く、とても純粋そうに見える人間ほど、実はひどく邪悪なこともある。

外見が人を欺くのは、人間だけに限らない。家もまた、同じだ。


長い間気になっていたその家に、ついにたどり着いた。

ここへ連れてきたのはロッコだった。


ロッコは車を家の前庭に停めた。

家は典型的なイタリア風ヴィラだった。外壁は明るいベージュと天然石の色合いで、壁は装飾が少ないが、どっしりとして堅牢そうに見えた。屋根は傾斜のある瓦屋根で、落ち着いた色をしている。


窓はそれほど大きくなく、長方形で木製の鎧戸が付いていた。正面玄関の扉は濃い色の分厚い木で作られており、その上には小さなアーチがあった。


玄関へ続く道は石畳で、庭には糸杉と背の低い低木が植えられていた。家の周囲にはぶどう畑が広がっている。春だったため、家の四方には色とりどりの花が咲き、甘い香りを漂わせていた。

車を降りた瞬間、真っ先に探したのは武装した警護の姿だった。だが、家の周囲には誰一人いなかった。


「ここが本当にルカ・バルディーニの家なのか?」

ガスパールは驚いた表情でロッコを見た。


「ついて来い。すぐに分かるさ。ここがルカ・バルディーニの家だってな」

ロッコは微笑み、玄関へ向かって歩き出した。


まだ中へ入っていないのに、二階の窓は開いており、家の中から子どもたちの笑い声が聞こえてきた。


ロッコが先に立って玄関の扉を開けた。その瞬間、オレンジケーキの香りが外へ流れ出した。

家の中も伝統的なイタリア風だったが、調度品は非常に洗練され、上品だった。居間に足を踏み入れた途端、差し込む太陽の光が目を眩ませた。大きな窓のおかげで、部屋はまるで天国のように広く、明るかった。中央には石張りの大きな暖炉があり、その上には家族写真がずらりと並んでいた。天井は高く、木の梁がむき出しになっている。


向かい合うように白いソファが二つ置かれ、中央には木製のローテーブルがあった。床は伝統的な織りの大きな白い絨毯で覆われていた。だが、その美しさを壊しているのが、部屋の隅々に散らばった子どもたちのおもちゃだった。


家に入ると、子どもたちの声はいっそうはっきりと聞こえてきた。ロッコは私をキッチンへ連れて行った。キッチンは居間に入って左側にあり、広い入口があるが、扉はなかった。中央には長い木製のダイニングテーブルがあり、その周囲に椅子が並んでいる。キッチンも天井が高く、木の梁が見えていた。テーブルの上には大きなシャンデリアが吊るされている。左右にはキッチンキャビネットが並んでいた。


正面の大きなガラス扉からは、外のぶどう畑が見えていた。床は石張りだが、ここにも美しい絨毯が敷かれている。


大きなテーブルの上座にはロザリア・バルディーニが座り、そのすぐ隣に中年の女性が座っていた。


「ボス……」

ロッコはガスパールを紹介しようとした。


「ちょっと待って、ロッコ」

ロザリアは彼を見もせず、指を立てて制した。


ロッコはロザリア・バルディーニに、私が誰なのかを伝えようとしていた。しかしロザリアは、隣の女性から目を離さぬまま、ロッコを止めた。


正直、彼女をこんなふうに想像してはいなかった。長い茶色の髪を簡素に後ろでまとめ、柔らかな生地で体に沿う短い黒のカーディガンを羽織り、黒のロングスカートを履いていた。ロザリア・バルディーニに色を添えているのは、茶色の瞳と、真っ赤なマニキュアを塗った短い爪だけだった。

ルカ・バルディーニのような強く、しかも魅力的な男が、なぜこんなにも平凡な女性を選んだのか、理解できなかった。ロザリアは醜くはないが、美しさで目を引くタイプでもなかった。


「どうぞ、召し上がって」

ロザリアはケーキの載った皿を、隣に座る女性の前に置いた。


ロッコと私は黙って立ち尽くしていた。


キッチンのテーブルの上には、オレンジケーキが三つも並んでいた。どれも焼きたてだった。香りがあまりにも良く、私でさえ食欲をそそられたほどだ。ロザリアはケーキを切り分け、その一切れを隣の女性の前に置き、食べるよう促した。


「ここは一体どういう場所なんだ? 本当にここは、イタリアで最も強大なマフィアのボスの家なのか? 女たちはケーキを食べ、子どもたちは笑って遊び、武器の代わりにおもちゃが溢れている……」

ガスパールはロザリアを見ながら、心の中でそう考えていた。


完全に場違いな場所に来てしまったと思ったその瞬間、異変が起きた。女性はケーキを食べようとせず、突然泣き出したのだ。


「お願い、やめて! 許してください!」

女性は椅子から立ち上がり、ロザリアの膝元に崩れ落ちて、必死に懇願した。


その時、何かが起きていることは分かった。だが、何が起きているのかは、まだ理解できていなかった。


「立ってください。お願いする必要はありません。まだケーキを召し上がっていないでしょう」

ロザリアは立ち上がることもなく、穏やかな口調で女性の腕を取り、立たせた。


女性は立ち上がり、再び椅子に座った。ケーキを見つめながら、泣き続けている。


ロザリアの前には、小さな白いキッチンタオルが置かれていた。その下から、拳銃の先端がわずかに見えていたが、ロザリアはその銃に触れようとはしなかった。


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