19. ガスパール — 処刑の夜を生き延びた者たち
何時間も働いたあと、ロザリアの顔には重い疲労がにじんでいた。それでも彼女は、私にハンドルを握らせようとはしなかった。
道中、彼女はほとんど口を開かなかった。
その顔には疲れ以外の表情もあった。――悲しみだ。
なぜなら今回は、行き先を確認しに行くのではなかったからだ。
規則を破った者に警告しに行くのでもなかった。
今回は、バルディーニ家の掟を破った者たちを処罰しに行くのだった。
その表情には、悲しみと怒りが入り混じっていた。
悲しみの理由は、また誰かを殺さなければならないこと。
怒りの理由は、また誰かがロザリアをそこまで追い込んだこと。
ルカ・バルディーニの愛は、まるで呪いのようだった。
だがその呪いを受け入ぶことを選んだのは、ロザリア自身だった。
ルカの呪いは、彼女をまったく別の人間へと変えてしまうことがあった。
家で子どもたちといるとき、彼女はかけがえのない母親になる。
いつも子どもたちのそばにいて、遊び、笑い、愛情に満ちた母親に。
だがルカ・バルディーニのそばにいるとき、彼が触れずにはいられないほど優雅な女へと変わる。
そしてルカ・バルディーニが身を隠さなければならなくなってからというもの、ロザリアは時に処刑人にもなった。
彼女はルカの愛を、魂のすべてで受け入れていた。
この愛を受け入れることで、この世で地獄を生きることを選んだのだ。
そして死後でさえ、自らに地獄を保証してしまった。
薬局に着くまで、そう時間はかからなかった。
外から見れば、小さくどこにでもあるような店だった。
中も一見すると普通の薬局だ。だが棚をよく見れば、埃をかぶった薬箱が並んでいる。
つまり、この棚も薬もすべては見せかけだった。
扉には「閉店」と札がかかっていたが、鍵はかかっていなかった。
ロザリアは木製の半分だけの扉を押し開け、カウンターの奥へ入った。
背後の大きな薬棚を横に押す。棚には車輪がついており、簡単に動いた。
その奥には扉はなく、ただ扉があるはずの空間だけがあった。
そこから広い階段が下へと続いている。
壁の薄暗い照明が、段差をかろうじて照らしていた。
ロザリアが先に進み、私は銃を構えたままそのすぐ後ろを歩いた。
今日は処刑のために来ている。
だからこそ、私はいつも以上に彼女を守らなければならなかった。
階段の終わりには、左右に二つの扉があった。
右の扉は開いていたが、厚いカーテンが入口を覆っていた。
「こんなこと、いつか大問題になるぞ。バルディーニ家に知られたら終わりだ。」
カーテンの向こうから、従業員の怯えた声が聞こえた。
ロザリアは足を止め、ただ耳を澄ませた。
「今はボスの妻が仕切ってるんだ。聞いたところで黙ってるさ。前と同じようにな。」
支配人が嘲るように答えた。
ロザリアは右手をカーテンに伸ばしたが、わずかにためらった。
軽くうつむき、目を閉じ、深く息を吸う。
それは単なる深呼吸ではなく、望まないことをしなければならない者のため息だった。
やがてカーテンを静かに開き、中へ足を踏み入れた。
その奥は広いホールだった。
支配人と従業員は入口のすぐそばに立っている。
いくつかの賭博台があり、そのうち一つだけが熱を帯びていた。
「シニョーラ……!」
支配人はロザリアの姿を見て凍りついた。
ロザリアはテーブルを囲む客たちを見渡す。
ファイルのブラックリストに載っていた顔ばかりだ。
ルカ・バルディーニがカジノに課した禁止令とブラックリストは、決して無意味ではなかった。
テーブルの男たちは麻薬の売人だった。
ロザリアは決して銃を抜くのを急がない。
今回も同じだ。
ゆっくりと腰に手をやり、銃を抜く。
抜く動作はゆっくりだが、撃つときに迷いはない。
支配人と従業員を撃ち倒すのに数秒もかからなかった。
だがテーブルの男たちも銃を抜いていた。
「後ろにいろ。」
ガスパルが低く命じ、ロザリアをかばうように前に出た。
最初の二人を撃ち倒した瞬間、他の連中も床に沈んだ。
ロザリアは私の背後、わずかに位置をずらしながら撃っていた。
銃声が止むと、ホールは静まり返った。
ロザリアは銃を腰に戻し、階段へ向かって数歩進む。
「待て。」
厨房のほうから、低くはっきりとした声が響いた。
扉のところに、恐怖で息を切らした少年が現れた。
十六か十七歳ほどだ。
「あなたは誰?」
ロザリアが驚きを含んだ声で尋ねる。
彼女は少年の正体よりも、なぜここにいるのかが理解できなかった。
ルカ・バルディーニの最も厳しい掟の一つは、若者を決してこの仕事に関わらせないことだった。
「待てって言っただろ!」
少年の背後から、同じ年頃のもう一人が姿を現す。
二人とも怯えていた。
銃声が止んだ隙に逃げ出そうとしていたのだ。
「誰なの?」
ロザリアが少し声を強める。
「近づくな!撃つぞ!」
少年は震える手でロザリアに銃を向けた。
後ろの少年の手にも拳銃があった。
ロザリアに向けられた銃口を見た瞬間、相手の年齢など私にはどうでもよくなった。
銃を構え、引き金に指をかける。
そのとき――
「やめて。」
ロザリアが左手を軽く上げ、私を制した。
彼女は少年の目をまっすぐ見つめ、静かに近づく。
「離しなさい。」
穏やかだが揺るがない声で言い、ひと動きで少年の手から銃を奪い取った。




