12.2. ガスパール — 写真が告げた危機
ロザリアは自分の車の鍵を私に渡した。初めて自分の車で行くというのに、運転は私に任せると言う。
今日は無理だ。赤いドレスが炎のように目を焼く。こんな状態で前なんて見えない。どうやって運転しろというんだ。
ハンドルを握った瞬間、手は自然とバックミラーへ伸びていた。道中ずっと、彼女から目を離せない。
「ルカ・バルディーニは何をした? その顔に浮かぶ光を受け取る資格があるのか?」
ガスパールの顎が強張る。
「ルカは何をした? その色を、彼のために選ぶほどに。」
指先に力がこもり、ハンドルをさらに強く握った。
「ルカは何をした? 彼に会うだけで、そんなにも幸せに輝く顔を向けられるほどに?」
胸が締めつけられ、首筋の血管が浮き上がる。
「君にふさわしいと胸を張れるほど、何をしたんだ、ルカ?」
ゆっくりと息を吸う。
「本当に、ふさわしい男であってくれよ。」
視線を道路へ戻した。
ホテルへ向かう前に、立ち寄るべきワインショップがあった。人通りのほとんどない細い路地にある店だ。
大きな看板も、派手なショーウィンドウもない。濃い木製の扉も、注意して見なければ通り過ぎてしまいそうだ。扉には金色の文字で店名が刻まれ、左側には小さな窓がひとつ。
「着いた。」
ガスパールは車を止め、降りる前に周囲を慎重に確認した。
ロザリアがベルを鳴らす。
「シニョーラ。」
扉を開けた年配の男が、穏やかに微笑んだ。
中へ入った瞬間、石造りの壁から漂うひんやりとした空気にロザリアの肌が震える。
店内は小さな地下蔵のようだった。濃い木の棚が天井まで伸び、空間には熟成したワインの香りが満ちている。壁には白黒写真が飾られていた。その中の一枚には、ルカ・バルディーニが父親と並んで写っている。
「どうぞ、シニョーラ。」
年配の男は、まだ封を切られていないワインボトルの入った古い木箱を棚の上に置いた。
今夜が特別な夜になることは、細部のすべてが物語っていた。ロザリアの隠しきれない幸福の表情がそれを示している。赤いドレス、そして謎めいた木箱に収められた熟成ワイン。それらは、この夜がただの再会ではないことの証だった。
木箱を抱え、私はロザリアより先に外へ出た。そのとき、外からバイクのエンジン音が聞こえた。
こんな狭い路地をバイクで通る者は少ない。不審に思い、私はロザリアの前に出て守るように歩いた。
白いバイクが店の前、車のすぐ近くに止まっている。運転している男はヘルメットをかぶっていた。エンジンをかけ直そうとしているのか、アクセルをふかしては止まり、しかし降りようとはしない。
突然、男がこちらに顔を向けた。そしてゆっくりと、革ジャンの内側へ手を入れる。
その瞬間、考えるより先にロザリアの前へ立った。
木箱を左腕に抱え込みながら。
右手を銃へ伸ばそうとした、そのとき――
男はジャケットの内側から一束を取り出した。
次の瞬間、バイクの男は写真をロザリアに向かってばらまき、走り去った。
数枚がロザリアと私の上に落ち、残りは車のボンネットと石畳の上へ散らばる。
一枚が、ロザリアの尖った靴のすぐ前に落ちた。
「ルカ!」
ロザリアはかがみ込み、写真を拾い上げる。
そこには、ルカ・バルディーニがホテルへ入る数瞬間の姿と、日付と時刻が写っていた。
写真を握るロザリアの指が震えている。彼女が怯えるのを、私は初めて見た。だがそれは自分のためではない。
ロザリアの幸福も、喜びも、悲しみも、勇気も、恐怖も――
すべてはただ、ルカ・バルディーニのためにある。
彼女のひとつひとつの呼吸でさえ、ルカのためだった。




