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にゃん鬼行  作者: てふ
三夜の夢
22/34

三夜城家 夢の終宴 15話 後編

▶子。

ある時、三夜(みやは、

“神託を聞いた事はあるか?”と、

突然尋ねた

”知らない”と応える。

何を聞かれているのかその時はわからなかった。


満月の明けた香の宮。

宴は終わり、静まり返った香の宮は

私と三夜だけだ。

あまりにも月が美しいので、

奥の宮へ戻るのを明日にのばした。


三夜と2人、のんびりと過ごす。

うとうとと眠りについた、


"・・・あり・・・たつとききたり。・・・よ"


聞いた事のない声で、目が覚める。

子供の高い声、言葉は古語なのか?

・・・子供の使う言葉ではない。


隣に眠っていた三夜がいない。

何か通り過ぎた、

庭から声がする。

誰かいる?

月に浮かびあがったその人は、

・・・三夜だけども、

様子が違う。

月を背にしゃんと姿勢よく立ち

こちらをしっかり見て、

・・・。

三夜をかたどった影は、私に言った。

けのたまあり、

たつとききたり、じゅんびせよ。"


言い終わると、踵を返し、同じ言葉を繰り返し、

奥の宮の方へ走って行った。・・・


走って行く三夜を呆然と見送った。

・・・。

その場にくたり と座り込んだ。

庭は、静かに静まり返る。

・・・っ。


・・・足音がしていない事に気づいた。

しばらく、そのまま。

呆然と、影のなくなった月を眺めていた。


神託?・・・なのかもしれない。


どのくらいかして、

とっつ。とっつ。

廊下の奥から三夜が歩いて帰ってきた。

うつむいて、ふらふらと

・・・目が開いていない。眠っている?

何故か話しかけてはいけないと思った。

とっつ。とっつ。


座り込んだ私の横を通りすぎ布団へ倒れこんだ。

倒れこんだ布団から香の香りが舞う。

すーと鼻を突いた。

三夜を起こさないよう、隣へ潜り込む。

寝息をたてる三夜の顔を撫でた。

頬が冷たい。

泣いていたのか、涙の後がついている。


翌朝、

三夜は、膳を食べ終わると、

何事もなかったかのように、

"ゆきにあえる"と、嬉しそうに言った。

私も何事もなかったかのように振舞った。


昨晩の事は、三夜に伝えない方がいいと

確信めいた何かがある。


奥の宮へ戻ってしばらくして、

子を宿した事に気づいた。

お腹は、たいして大きくなっていないが、

2度目のお産は早くなる、らしく?

お産の宮へと移った。

三夜は、寂しそうにしていた。


三夜があまりにも気落ちするので、

子が産まれるまでは、

満月が明けて下弦までの間、

奥の宮へ帰るよう迎えが来た。


お産の宮では、ゆきと静かに過ごす。

三夜は、宴だ。

ちくちく痛む胸に、よちよちと歩き始めた

ゆきを抱く。あたたかい。


十月十日とつきとおかより早く、

小さな女の赤子を授かった。


次の、次の満月が明けたら、

奥の宮へ歩き始めたゆきと、赤子を連れて

3人で、戻ると伝令がきた。

・・・次の次・・・。

宴の灯りは、相変わらず灯っている。

ちくちく痛む。

じーじーと蝉が騒ぐ。


三夜は、私たちを今度も、

受け入れてくれるだろうか?


空は澄んで綺麗な月が赤子とゆきの頬を照らす。



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