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打ち切り作  作者: 新藤陽人
第一章 二人の出会い編
6/13

幕目 動き出す悪意

ようやく敵らしい敵が出てきます

タルミア皇国 タニアの街


何処の世界にも光があれば影もある

それはこの街とて例外ではなく、表の綺麗な景観からは考えられないほどに荒んだ裏の世界


「あの女は取り逃がした、違約金なら払うし命を求めるならこの首を持っていけ」


酒場の一角でテーブルに座る山賊の男が目の前に座るフードの人物に話す

その後ろでは部下らしき四人の男たちが如何にも不本意と言った表情で待機している


それは目の前の依頼主に不満がある訳ではない、余りにも不可解な現象が起こったからだ


「随分と潔いね、弁明の一つくらいはあると思っていたんだけど」

「これでも長いことやってる、小娘一人連れてこれないでいるのだからな」

「―――それで、君たちはどんな邪魔を受けたの(・・・・・・・)?」

「っ⁉まさかあんた、知っていたのか」

「いいや、ただ予想はしていたかな」

「否定はしない、だが話した所で信じられるとは到底思えない」


あの時フィアナを誘拐しようとした彼らは何故か付近の湖に飛ばされていた

それから目の前にいる依頼主から教えられていた自宅にも近づいたが結果は同じ

現代の科学技術では到底考えられない状況になり山賊のリーダーを務める男はこの依頼を降りる事を選んだ


「僕が知りたいのはまさにそこなんだよ、君たちはどうして彼女に近づけなかったのかな?」

「信じるのか?」

「勿論、君たちが話してくれるならもう一度チャンスを上げようじゃないか」

「・・・分かった」


背後から感じる部下たちの気持ちをあり自身の体験した内容を依頼主に伝えていく

話している賊自身が信じられない体験であった為全てが性格とは言えなかったがこれも仕事だと割り切り語る


「以上だ、これ以上関わればただでは済まないと判断して撤退を選んだ」

「君たちの選択は正しいよ、万が一にもあの家に入り込めたとしても五人全員が死んでいただろうから」

「やはり相手に心当たりがあるのか」

「話してくれてありがとう、約束通りもう一度お願いするよ・・・でもその心はいらない(・・・・・・・・・・)

「何を、言って・・・なっ⁉」


フードの男の目が一瞬光を放ったかと思えば山賊のリーダーを背後から刃が襲う

それは背後に待機していた部下の一人によるもの

一人ではない、背後に居た四人全員の目は明らかに正気の人間では無くなっている


「貴様、おれの部下に、何を・・・」

「簡単な〈洗脳〉だよ、本当は君にも掛けるつもりだったんだけど詠唱なしの魔術じゃ精神力の強い人間には聞かないんだ。だから適当に依頼してみたんだけど予想以上の獲物を釣って来てくれたみたいだ」

「何を、言っている?」

「東方の国では【海老で鯛を釣る】という言葉あるらしい、まさしく今回みたいな状況だね・・・いや、君ら如きに海老は勿体ないね」

「ぐっ、タダで死ぬなど思わぬことだ‼」


腹を貫かれているにも拘らず恐ろしい速さで放たれる一閃

訳の分からない状況だったが明確な事が一つだけある


「貴様は今ここで死ね‼」

「威勢が良いね、けどその程度じゃ掠りもしないな」


渾身の一撃だったにも拘らず全く急くことなく交わして見せるフードの男

攻撃を躱された山賊のリーダーは腹部の痛みもあり地面に倒れこむことしかできない


「貴重な情報には感謝を・・・〈その魂を穢し汚され泥となれ、魔と人の融合、死者であって死者ではないこの世の紛い物、グール〉」

「(なんだ、この嫌な物は。俺が俺でなくなるっ)」


フードを被った男が詠唱した魔術が発動する事で山賊たち五人の肉体を悍ましい闇の魔力が覆いつくす

洗脳されている四人と違いリーダーの男だけは消え入る意識の中で自身に怒っている変化を感じて恐怖に陥れられる

最初に変質したのは腕、そこから少しずつ広がっていき最終的には男たちの精神すらも変質しその人格は完全に消滅した


「何とか間に合いましたね、死者を魔術で操るゾンビと違って生者を変質させるグールにすることが出来たのは幸いでしょう」

「・・・ご命令を」

「まずは仲間を集めなさい、方法は分かるはずです」

「承知しました、数はどの程度でしょうか?」

「そうですね、あの方も目覚めたてでは本調子では無いでしょうから軽めに・・・五百体ほど集めてください」

「承知しました、それではこれより行動を開始します」


そう言って去るリーダーだった男の後ろに部下であった者たちが続いていく

人であって人でない者になり果てて尚変わらない関係にフードの男は嘲笑を隠せない


「さぁ、貴方さまのお力を私にお見せください




偉大なる【魔術王】ティルス=ノーグ」



戦闘はまだしばらく先です

お待ちください

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