あなただけは
いよわ様の楽曲、わたしは禁忌の二次創作小説です。自己解釈マシマシなため、苦手な方は閲覧注意です。
わたしは禁忌 https://youtu.be/al263xnknLE?si=bsN_fOa6UvbIgFt8
いよわ様YouTubeチャンネル https://youtube.com/@igusuri_please?si=mlBIvrXbkrF9EXxs
この小説は、いよわ様の二次創作ガイドラインに則り、作成されています。
https://note.com/igusuri_please/n/n03cf704465bf
あぁ、寒いな。あまりにも寒い。
もういっそ、太陽が落ちてくればいいな。それで少しはマシになるだろう。
私は死んだ。もういつから死んでるのかもわからずに、幽霊としてここにいる。 この体になってから、色々不便になったものだ。せっかく死んだのだから行きたい場所にすぐ行けると思ったのに、この街の外に出れない。たぶんそういう決まりなのだろう。
私は退屈で退屈で、あくびを咀嚼しながら、彼と泣きながら歩いた、この道を歩いてる。 すると街の影から次々と黒いものがボコボコと溢れ出てくる。おそらく私と同じ、幽霊なのだろう。
一つ私と違うのは、影の外へと出られないこと。暗がりの奥には、いつもヤツらがいる。 ヤツらは口々に
「なぁ、こっちへ来い。俺らの仲間になろうぜ。」
「お前だけズルい代われ代われ」
「代われ代われ」
そう叫ぶ。ヤツらが言うには、私は禁忌に触れたらしい。でも、そんな事私からしたらどうでといい、むしろ鬱陶しいことだ。だから私は暗がりの奥は歩かない。
こんな時にはいつも
「でもそこは動けないほど冷たいだろう?そこから先には行けないだろう!」
「ざまぁみろよ!」 と言ってやる。何があっても、この日常は渡さない。
それは、生前付き合っていた、彼との日常。と言っても、私の姿は窓や鏡に映らないし、もちろん彼は幽霊になった私を見ることはできない。ある一つの方法を除いて、彼に干渉することはできない。
それでも、彼の側にいる時だけは暖かい。それは、まだ彼が私を忘れていない証だ。その時だけ、私はほんのちょっぴり、幸せを感じるのだ。
しかし、やはり時折感じてしまう。ここで彼と共に暮らせたなら、どんなに幸せだろう、と。もし、彼をここに引き込むことができたら。彼に触れ、連れていってしまうことができたなら。
けど、できない。あなたがそんな顔で泣くから。私のことを想って、泣いてくれるから。 そんな時、辺りに声が鳴る。
「お前の仲間にしようぜ」 気づけばここはもう影の中。黒い幽霊達は溢れ、次々と叫ぶ。 「ガマンは無理だろ?ホラ、触れ」
「触れ触れ」 「触れ」
私は目の前の彼に手を伸ばす。紛れもなく、ここへ引き込むために。
でもさ、やっぱりここは暖かいんだ。惜しいほどに。
それに比べれば、こんな寒さが何だってんだ。
すぐさま手を引っ込めて、一番近かった幽霊に噛みついた。
あなたにたくさん悲しい思いをさせてしまった。だったら、あなただけは、守らなくちゃいけない。守らなくちゃ、意味がないだろ。 もう一度会いたいけれど、どうかここで私に合うのはやめてほしい。ここは動けないほど冷たいから。
あぁ、寒いな。
でも、よかった。