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「マノン、ヨハン。お父さんとお母さんに迎えに来てもらいに行くからね」
ゲームが始まったようです。きっかけも知らなかったので、早めに準備していて良かったです。本当は始まる前に隣国に逃げたかったのですが・・・。多分ハンスさんとマリアさん、隣国から駆け落ちしてきたのかなー。そうなると戻りにくいよね。戻れないよねー。始まってしまったものは仕方が無い。やりますよー。
「お姉ちゃん、どっか行く?」
「おねちゃ」
「そうだよ。三人で行くよ」
「どっち行く?」
「いきゅ」
ええ。両親の最悪なお陰で、権力と甘い汁を吸うのが好きなこの国にマリアさんが連れて行かれ、ハンスさんが助けに行きました。私の生みの親は勿論、ハンスさんも謝礼はたっぷりとはいかないまでも貰ったようです。救出に子供達を連れて行けばいいのに、隣の家に預けていくとかやばいよね。よく見て、目を見開いて、よく聞いて、聞き耳を立てるように。
失敗ですよと大声で叫びたい。そのお陰でまだ小さい二人を連れて脱出です。こっそり、愚痴を言わせて貰えれば、栄養足りてないんですよー。ふらふらのほそほそです。二人の可愛さを保つためには、これしかなかったので後悔はしていません。ご心配なく。二人はつやぷりです。
本当に二人は聞き分け良くて色々助けて貰っています。何せ、こんなに小さいのに二人とも聖騎士の力と、聖なる力を使えるんです。驚きで腰を抜かす所でした。うっかりお父さんでハンスさんの聖騎士の力を継いだマノンと、お母さんのマリアさんの聖なる力を継いだヨハン。二人はそれだけではなく、もう一方の力も使えるんです。わお。それ、最強。
その力もあったためか、前世では私たち家族に虐げられていた二人ですが、身に纏うものはボロボロで、全体的に薄汚れていましたが私ほどからからのよれよれではありませんでした。今はご飯もまあまあ食べれているので、中々力が発揮出来ていると思います。頼りにしてまーす。
だから、まだ片言での意思疎通でもしっかり隣国まで歩けます。行こうと思っているのは他国としては一番近い、東にある隣国で、私が聞ける範囲ではまともな国らしいのです。ゲームでも大丈夫でした。二人の両親が駆け落ちしてきた事実はありますが、実力主義で、風通しが良く、真面目に働けば何とか食べていけると聞いたので、マノンとヨハンは余裕で生活できるでしょうし、私も何とか。また、そこで名を上げてハンスさんとマリアさんに迎えに来てもらおうと画策しています。後は両祖父母も御存命だと思うのです。何とかとりなして、逆にハンスさんとマリアさんを迎えに行ければ良いかなとも思っています。きっと、子供を人質にとられているか、お互いが枷になって動けない状態なのでしょう。頑張って力を付けて連絡できるようにしたいと思います。うーん。ハンスさんとマリアさん、ちょっと純真過ぎて心配なんですよね。後はうっかりと思い込み。能力はあるのですが、余り深く考えていない感じがするので両御両親に期待している所です。きっと、心配しているでしょう。考え事はここまで。
さあ、出発です。