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 私、御多分に漏れず、前世の記憶が甦りました。良くある。良くある。と思えたのも、一瞬でした。

何故なら、現世の両親が人のものを全て掠め取ってやろうという醜悪な顔で、私を助けてくれた聖女のような女性に盗人な視線を向けていたのです。

 思い返せば、私が死にかけているのも両親の杜撰さからです。残念、無念です。ここは今生の両親とは心の中で縁を切っておきましょう。本当に運が良かったのです。善良で、素晴らしい治癒能力を持ったお隣さんが越してこなければ、私はこの世にいなかったでしょう。

 どうやら訳ありのような若夫婦は、この辺りでは見かけない輝かしい金色の髪に青い瞳と緑の瞳のとても綺麗な方達でした。こんな貧しい農村でも、真面目に働かない者達が住む区画にいるような人達ではありません。何かから逃げて来たのでしょう。それが、この力を狙われてでは無いと良いのですが・・・。嫌な予感がします。

 はい。私に特殊能力はありません。脇役、いや脇役よりもまだ遠くにいる、存在しているという描写も無い人物でしょう。そこは自信があります。それは別にいいので、置いておきましょう。死にかけていたのでしっかり認識していなかったのですが、若いご夫婦にはこれまたとても可愛らしい娘さんと息子さんがいたのです。

 もう天使のように可愛らしい姉弟です。


「マノン」

「ヨハン」


 ハンスさんとマリアさんがそれぞれ名前を呼んで抱き上げています。

 え?

 私、これ知ってるよ。うーわー。前世ありだけじゃなく、ゲームの世界にも入っていましたか。うわー。私、悪役。しかも、残念な終わりです。この両親に育てられたら仕方が無い部分はあるよね。多分、ほとんどお隣さんに育てて貰ったんだろう。それで羨ましさが大爆発か・・・。よしよし。前世の自分を撫で、これからの計画を立てますよ。

 まずは思い出す所から。ゲームの中の私は悪役令嬢ならぬ、悪役の幼馴染という感じですね。常にヒロインであるマノンとヒーローであるヨハンをピンチに陥れる役。可愛いし、格好良いし、能力もあるし、両親も素敵だし、言うこと無いですよ。どうして自分は恵まれないのかという嫉妬でしょう。そこで、なんやかんやとありまして悪役一家の終了と、ヒロインとヒーローは両親の仇でもあるこの国さえも打ち破って、祖父母のいる隣国で幸せになるって話でした。

 このゲームは主人公の選択が出来て、それぞれ五人ずつくらい最終的に結婚する候補者がいる形になっています。大ハーレムエンドもあるので注意です。これは凄いですよ。十人全員を恋人とする形になるんでしょうかね。ゲーム中では総友情エンドと謳っていましたが、巷では大ハーレムと言われていました。この難易度が一番高く、次にハーレムエンドが続きます。ノーマルは独身で旅に出るものでした。一応、バッドエンドもあって国に使い潰されるものとなっています。

 私はマノンとヨハンに辛い思いをさせたくないので、両親の死を見せず、家族全員での幸せを目指しますよ。そのためにも早めに色々な準備を始めたいと思います。

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