ガネッテ
吹雪はいずこ、とは上手い表現で、どこにもないのです。そこにあるのは靴と、ヘアバンドです。雪を解かすこともできません。なぜなら私が居るからです。筆を持っている為です。
私は貴女を愛している。
あめが甘い。陽に照る座いすに後ろ髪照り下に下す。
ああ。雨が降ればあめは床伝いあし伝いもも伝い一伝い雨が降れば。
青空に助けを求めるキジ7羽。雲におおえばあめ甘し。
大好きだよ。その折りがし。
しき布を折りたたむ。日の許、床の許。火事を起こそうとすると、やんわりくもり出す。
愛している? 愛している?
愛している? 愛している?
さびしい時ってどうしている? 屋根を数えるの。一羽二羽って。そこにわたしは居なくて、見つめていると雲が重なってわたしがそこに居る。ほら。こうやって。さびしい時ってどうしている? こうやって。
甘く、かしこく、避けて、入れるの。ほら、甘い。大地をかんでいるみたいよ。明日の? うん。昨日の? うん。今の? ううん。わたしの? ううん。あなたの? うん。
夕日にとびこんだ蛙がボールペンで切る。痛い。痛い。暗い。浅い。満ち。浅く。
キスって美味しいね? キス? うん。お魚? そう。飲み込むと美味しいの。筆で書くより美味しいんだよ。日に照るよりあたたかいんだよ。
どこへ行くの? 明日々へだよ。ここには無いの? そう。無いの。
手へふれて。どこへも行かないと手へふれて。どうして? あなたが行く方は間違っている。どうして? 一緒に居るよ。
日はあたたかいふれているよりもあたたかい。ももが切れている様だ。
愛している? 愛してる?
愛している? 愛してる?
口がかわく。人差し指を親指で繰り返し、小指へゆく。あなたはだあれ? 頑張っているの? どうして? キスしているのに、此個に居ないみたい。キスをしているのに、明日を視ているみたい。此個に居るのに、此個に居ないみたい。
雪は解けました。なぜなら私が居るからです。この机上に、空論が渦巻きます。それを解いてゆけば長い黒髪です。愛している、とはなんて近しいものでしょうか。罪に似付かわしくないものでしょう。