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着替えてこい

突如アキバに現れた恐竜もどき。

さらに一部の兵士による反乱。さてさてどうなる。

恐竜もどきと戦っているメンバーも心配だが、まずは、パジャマ姿の亜沙美を何とかしないといけない。


兵隊たちは手に手にハッキング用の腕輪型プローブを持っている、彼女にマーカーを取り付けて、身元を調べるつもりだろう。

俺を狙うよりは、パジャマ姿の女の子の方が狙いやすいのだろう。

弱みを握って、こちらのシステムを手に入れようとしているらしい。

誰かに吹き込まれたのか。

彼女が可愛いから手を繋ぎたいだけでは無い様だ。


あの恐竜もどきは見たことがあるし、戦隊ヒーロー(バイト君たち)や他のチームでも対応出来るだろう。


亜沙美ちゃんの腰に手を回す。

「きゃー。パパったらーぁ。」


肩に担いで全速で走る。


奴らは追ってくるが、さすがに銃では攻撃してこない。先回りしたりして、追い詰める作戦の様だ。


威嚇なのか、時々足元に着弾する。


「止まれ~え。亜沙美ちゃんに当たったらどうするんだよ~。」


いや、撃ってくるのお前らだろが。


「いや~ぁ! 担がれるのはいや~ぁ。お姫様抱っこして~ぇ。」


そんな場合じゃないのだが、奴らから隠れるタイミングで、お姫様抱っこに切り替えた。ついでに俺のブースターベルトも亜沙美ちゃんの腰に付ける。


「えへへぇ。」


亜沙美ちゃんは暢気(のんき)に喜んでいる。

全く緊張感が無い子だ。


ブースターが無くなって速度が落ちた俺たちは兵隊さんに取り囲まれた。


「その子をこっちに渡せ。ダメならお前でもいい。最新装備情報を渡せ。ぜえぜえ……。」

「ぜえぜえ……。」

他の兵隊さんたちも、ぜえぜえしている。

訓練していてもブースター付きの走りに対抗するのは大変らしい。


俺たちは取り囲まれた。

亜沙美ちゃんを降ろす。


「もお、終わりなのぉつまんな~ぃ。」


おろすときに、腰に付けたブースターのスイッチを切り替えた。タイマーのカウントダウンが始まる。


「10、9、8、7……。」


ベルトがプルプル震えだす。

「え?」

「装備し直してもどってこ~い!」


亜沙美ちゃんが空高く打ち上がった。


白く尾を引いて消えていく。


何か言ってるのかもしれないが聞こえない。

軍の若手にすっかり取り囲まれていた。


「なんてことを!」

「せっかく可愛い子だったのに」

変な人もいた。

「それ、ただのヤバい人だから」 


飛んで行った亜沙美ちゃんも、限界まで飛べば、このエリアから離脱出来るはずだ。

そこまで行かなくても、飛行中に解除ポーズ取れば良いだけの話だ。


手順を踏まずに、無理に機械を取り外したり解除すると死亡はしないが、システムが壊れるか、数時間は目が回る状態になる、仮想酔いが発生してしまう。

それは、攻撃で相手を倒して退場願っても同じことがおきる。


俺は念を込める(というプログラムを起動させた)

俺の体は、ドロッとスライムのように溶け、地面に消えた。


「何度見ても気持ち悪いわね、それ。」

「お、戻るの速いな」姿の見えなくなった俺が言う。


「かたづけるわよ、パパ。」

「パパじゃねえし。」


対人戦闘用のグローブを付けて格闘する。

攻撃が上手く入れば、エリアから強制解除させられる。

解除ポーズで、離脱しようとしているのがいるから、パンチして強制解除させる。

しばらくピリピリしびれて動けないか、装備が壊れるだろう。元々がゲームのシステムを流用してるからな。

ピリピリは攻撃を受けた時の振動だろうし。なぜか装備してたユニットも使えなくなる。

続きをやりたきゃチャージ(課金)しろって事なんだろうな。


しかし、キーの操作無しで、エリアから脱出するための解除ポーズって誰が考えたんだ。変身ポーズの逆をする感じか。


亜沙美ちゃんは

「きもいからぁ」

って言いながら兵隊さんの鳩尾(みぞおち)辺りにキックを決めている。


蹴られた方は

「ごちそうさまで~す。」と言いながら吹っ飛んで行った。


着替えてきた亜沙美ちゃんは、

ライトブルーのセーラーっぽい服に濃い青のチェックが入った同色のミニスカート。

足も同色で(ひざ)まで有るブーツ。頭には大きなリボンと、一体型サングラスみたいなゴーグル。

足や腰、腕にも装備は付けているが、戦闘する服には見えない。


いや、昔のアイドルがこんな格好で戦っていたから真似したって言ってたな。アニメのヒロインだったかもしれない。


時々パンツが見えるが、「パンツじゃないもん、スパッツだから大丈夫だもん。」という答えが返ってくる。


ほら、向こうのビルから戦闘風景を実況してるVRチューバーがいるぞ、この一帯は侵入禁止処理してあるはずなのに何でだ。

また、亜沙美ちゃんのパンチらまとめサイトとか出来るぞ。


変な恐竜が出現するくらいだから、どっかに裂け目でも有るのかもな。


戦いながら、こんなこと考えられるおれって凄いかも。


戦っていると、あまり聞きたくない人物の声が聞こえてきた。

「一班は俺と一緒に反乱分子の鎮圧にあたる。それ以外のメンバーは恐竜退治に迎え。」


結構な人数を引き連れてやってきたのは中尉どので、俺の兄だ。俺のことを嫌ってる。俺も嫌いだ。


たとえ嫌いでも兄と会話くらいはする。大人だから。


「ふん。お前もよくトラブルに巻き込まれるもんだな。見たこと有る恐竜だが、お前分かるか。」


「ああ、ゲームセンターの古代エリアで戦うやつにそっくりだ。ただ、向こうは単体で出現するがこっちは団体ですからね。」


「ハッキングか?!」


「いや、内部の誰かが情報を漏らしたんだろ。軍のありさまを見ろ、軍の内部から漏れたんじゃないんですかね? そっちの取り締まりは大丈夫なんですか、お・に・い・さ・ん」


「ふん、それはこっちで調べるさ。ちゃんとな。」


「現実空間に逃げたり、倒されて現実空間でビリビリしびれてる兵隊さんの対応は」


「向こうは不本意ながら警察にまかせてきた。副官が対応にあたってるだろう。」


「そうですか。せっかく一般人を侵入禁止にして、サイバー空間の防御演習をしているエリアに、こんな大がかりな攻撃をしてきて、一般人も一部とはいえ入り込んでる状態は異常ですよ。

予定外に建物も壊れてるし、建物のVR表示を元に戻す費用は、軍で持ってくれるんですよね。」


「さあな。実行犯と直属の上司は処罰されるだろうが、後は調査次第だろう。修復費用は特別予算から出るだろうがな。後は役人が入れ替わるくらいだろ。」


「おにいさん、は。軍より政治家の方が良かったのでは。」


「誘いはあるが、この仕事が気に入っているのでね。

ほう、そろそろ戦闘は終わりそうだな。」


「へいへい、そうですか。」


レッド達の戦隊ヒーローチームや、他の会社のメンバーは戦いなれているから次々倒していたけど。


軍のメンバーは火力が大きすぎてビルはバンバン壊すし、誤射も多い。戦車やランチャー車持ってきてもな~。味方の方がライフルの玉とか戦車に当たらないように気を使ってる。


「当然討伐費用も出ますよね。」


「それは出ないかもな、元々訓練だ。たまたまそこにいたメンバーが自分を守って戦った。建物は災害として直すが、討伐費用や、手当は無し。政治家の対応はそんな所だろう。」


「いやいや。それは無いですよ。」


「お前が、俺は政治家向きだと言うから、政治家の対応を言ったまでだ。

だいたいお前が家業を継げば金には困ってなかったはずだがな。」


ぐうの()も出なかった。

あとがき

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