出張勇者~異世界へ邪神倒しに出張してきます…が、なんか雲行きが怪しい~
「部長、ちょっと異世界から仕事の依頼入ったんで、明日から半年程出張してきます!」
「そうか、気を付けて行ってこい。死ぬんじゃないぞ」
今思えば、このやり取りも慣れたもんだ。
最初は病気を理由に長期休暇を取って異世界へ召喚されていたが、さすがにこれが続くと会社も俺をクビにした方が良いと判断したらしく、クビにされたくなかった俺が仕方無く「異世界へ出張する」と言ったのが始まりだった。
その時はバカかアホか気でも触れたかと周りから散々な言われようだったが、しびれを切らしたのか異世界の召喚士達がこちらの応答を待たずに強制召喚をしたので、部長の目の前で転移してしまった。
後から聞くと強制召喚は相当魔力を消費するにも関わらず行ったのは非常に切羽詰まっていたから、らしい。
半年程で無事に魔王を倒し、元の場所へ転移してもらったら、それはそれは心配されて
「お前の話を信じなくて悪かった、無事で良かった」
と部長に涙ぐまれた。
度々召喚されるので俺がいない間分の給料は長く貰えないが、異世界からのお土産を渡すと会社から文句を言われなくなったので、堂々と異世界出張をしている。
特に怪我が一瞬で治るポーション系は人気だ。
他にも異世界出張をしている者がいるらしく、SNSで異世界の写真撮って人気爆発中の勇者や、政府公認勇者なんてのもいるくらいだ。
中には帰って来なくなった者もいる……が、亡くなったのか向こうで生涯の伴侶を得たのかどうかは分からない。何故なら困っている異世界は一つではないのだから。
……そろそろ転移の時間だ。俺の今度の出張先の異世界はどんな所だろうか……?
……
…………
………………
おお、視界が揺れる揺れる。
転移ってのは何回やっても慣れないもんだ。
「あの、あなた様は勇者様で宜しいでしょうか?」
「あ、はいはい勇者出張で来ました、カズヒロと申します。魔王を倒せば良いんですよね?」
「……す、すいません!こちらの手違いで魔王より格上の存在である邪神が出現したという御報告が遅れてしまいまして……!」
あれま。
こりゃあ半年では帰れそうにない。
…部長、会社の皆、すまん。
半年後の俺が帰ってやるはずだった仕事を代わりにやっておいてくれ。
無事に帰れたらその分ポーションがぶ飲みしてでも働くからさ。
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「あいつ半年経っても帰って来ないぞ……。何かあったんじゃ……?」
「大丈夫でしょう、多分。
いつも誤差一ヶ月二ヶ月はあったでしょ?」
「う、うむ。そうだったな……あいつは良く働くヤツなんでな、いないと仕事が滞っていかん」
「じゃあ俺の分の仕事増やして良いですよ。一応あいつのダチなんで」
「もう振り分けてあるぞ」
「マジっすか」
「その代わり立山がいない間の給料は割り増しされてただろう?」
「そういえば増えてました!臨時ボーナスかと思ってましたよ」
「ふ、気付かないように仕事を増やす俺の手腕に驚くが良い」
「さすが部長!!出来る男!!」
「はっはっは、さあ仕事に戻れい!!!」
「……実は部長って私達以上に立山君の仕事やってるんだよねぇ。知ってた?」
「えっ、嘘~!?知らなかった!部長ばっか楽してると思ってた~!」
「立山君のお話聞いてたら異世界ってすっごく大変でしょー?怪我まみれで帰って来た時なんか救急車呼ぶところだったじゃない。あんな大怪我がポーション飲むだけで治ったのにはびっくりしちゃったけど。
部長それ以来張り切って立山君の仕事の三分の一やってるって話よ」
「一人で!?ひぇ~っ、部長に気に入られてるもんねぇ立山君」
「でも異世界の話聞いたら誰だって思うわよ。私達がこうして平和に過ごしてる中、立山君は化け物と戦ってると思うとねぇ…」
「う、和宏君……」
「あ~っ!美希の心配性戻ってくるからこの話止めよ!」
「やーん、ごめん美希!美希が立山君の事気になってるの分かってたのに!きっと大丈夫よ!彼結構鍛えられた良い体してるし!?」
「それフォローになってないよ!」
「…… ……和宏君……大丈夫かな……?」
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ついに、邪神を倒した……倒した、よな?
三回もパワーアップしやがってさすが邪神……死ぬかと思った。
まぁエリクサーは勿体無くて使わなかったけど。
瀕死になったら使ってたかもだけど、異世界へ何度も呼ばれてその度に強くなってるからな、俺も。
そしてたっぷり一日休んでから国へと戻った。
「「「「勇者様ばんざぁあああああい!!!!クレム王国のカズヒロ様ばんざぁあああああい!!!!」」」」
国が揺れていた。むしろ世界が揺れていた。
なんせ邪神と来たら全世界にしもべを送って侵略しようと画策していたらしい。
それが大元である邪神本体を倒した後に全てが忽然と消えたので、つまりは世界中が知っているという事になる。
「「「「勇者様ばんざぁあああああい!!!!クレム王国のカズヒロ様ばんざぁあああああい!!!!」」」」
それにしてもクレム王国のってのを随分強調してくるな。これはもしかするともしかするか?
「勇者様!!!有難う御座います勇者万歳!!!!さあさ、凱旋パレードですよ勇者様!!!!」
「あ、悪いんですけどそろそろ帰してくれませんか?一年も掛かっちゃってるんで向こうの会社に心配掛けてると思うんですよ。
報酬は邪神割り増しで各種ポーション100本とエリクサー10本、それと各種魔法のスクロール100枚、小魔石1000、中魔石500、大魔石100、特大魔石10と魔道具がー……」
「勇者様、そんな野暮ったい事をおっしゃらず!!!!あの邪神が倒されたんですよ!?!?他ならぬ勇者様の手によって!!!!
そのあなた様が楽しまなくてどうするんですか!!!!」
「そうですぞ!!!ささ、王がお呼びです勇者様。馬車へお乗り下さい」
異世界の最後、一番面倒なのがこれ。
一番の障害がいなくなって嬉しいのは分かる。が、あわよくば国の貴族や重鎮に据えようだの誰それと結婚だの異世界へ縛りつけようとしてくるんだよなぁ。
そりゃあ勇者がいれば魔物からも守って貰えるし勇者を召喚した国は勇者が国にいる限り他の国から侵略もされないだろうし、子供が出来りゃその子供も勇者のような力を手にするかもしれないし?
けど俺はそういうの興味無いんだよなぁ。異世界は異世界でしかないし、地球がやっぱ一番好きなんだよな。
早く帰って皆に異世界の報酬配らないと。
「俺は元の世界に大切な人達がいるので帰ります。もう他に強い魔物はいないので後の問題はこちらの世界の人々の仕事ですよね?
今すぐ報酬を用意して俺を元の世界へ転移させてください」
さっと目を反らす大臣や神官達。
おや、これはこれは。
「まさか報酬も用意していなければ、元の世界へ帰す方法も分からない、考えていない、帰すつもりがない……訳ではありませんよね?」
目を合わせない。
周りの人々がだんだんと歓声ではなく困惑によってざわついている。
「え、勇者様帰っちゃうの……?」
「我が国は安泰のはずでは……?」
「勇者様はクレム国の守り人でしょ……?」
なんて声が民衆から聞こえて来るがスルーする。
「もしそうであれば……」
「いやいや勿論ちゃんと考えてありますぞ勇者様!!!とりあえず城へ来てください!!!」
ふむ、ここでは都合が悪いらしい。
このまま動かないのもありっちゃありだが、乗ってやるか。
「分かりました。城に報酬が用意してあるんですね?こちらも仕事なので報酬を頂けませんと割に合いませんのでくれぐれも宜しくお願い致します」
「は、ははは……分かっておりますとも、ささ!それでは参りましょう」
さあ、何が待ち受けているのかな。
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「おお勇者よ、よくぞ邪神を倒してくれた……!!!褒めてつかわす」
「は、有難き幸せ」
王族や家臣や大勢の騎士達がずらりと並び、俺にプレッシャーをかける中、一人王の前で跪く俺。背後にも多分腕が立つであろう騎士10名が武器を構えて俺の退路を断つかのように仁王立ちしている。会社の圧迫面接より質悪いぞこれ。
嫌な予感しかしない。
「そなたにはこの国の全ての者が感謝しておる。よって男爵の地位を授けよう!!!光栄に思え」
アウトその1キター!
しかも男爵って貴族でも最下位の地位じゃないか。勇者だとしても異世界人、貴族出身でない者にはこれで充分だろうってか?
「私の身に余ります故、謹んでお断り申し上げます」
はい、勿論断ります。即答!!
この国に縛りつけようという魂胆が見え見え過ぎて片腹痛いわ。
「ふむう、勇者は謙虚であるな。普通一般市民は貴族にはなれないものだぞ?」
残念そうでもないという事は断られても別に構わないと。この後が本命なんだろうなぁ……ああ気が滅入る。
「ならそなたには褒美として我が娘との結婚を許そう、美しい我が娘には言い寄る者も後を立たなくてなあ……」
「謹んでお断り申し上げます」
これはアウトその2だな。勿論即答だ。関わりも少ない王族の娘とかどんなに美人でもいらない。取り入る気満々の娘とかだったら尚更いらない。なんかギラギラしてるし。いらない。
「なっ……我の娘が気に入らぬと申すのか!!!」
「私には元の世界で大切な人がいます。ので結婚は申し訳ありませんが出来かねます」
嘘だけど。向こうの状況を知らないこの世界の人には本当かどうかは分かるまい……あ、悲しくなってきた。
気があって側にいてほっとするような彼女欲しいなあ……。出来れば料理も上手いと嬉しい。
「む、それでも構わんではないか。こちらにも嫁を作るが良い、ほれ娘よ」
そして王の側の椅子に座っていたきつめな美人の王女が側に近付き、俺の腕を組み胸を押し付けて来た。
これはアウトその3。
女で落とそうとするやつだ。
「私と結婚出来るなんて勇者様は幸せね」
「腕を離して頂けますか、王女様?私には決めた方がいるのです」
「まぁ、一途なのですね。素敵ですわ。私にもその愛向けて下さらないかしら……」
そう言ってキスをして来ようとしたので素早く腕をほどき、距離を開けた。
「な、無礼な!!!王の前ですぞ!!!跪くのです!!!」
高圧的だな!大臣おい。
王女もすげぇ顔で睨んでるし。
家臣も騎士も視線がキツい。面倒臭い。
あのまま跪いてたらキスされて結婚を受け入れたとかなんとか言うんだろう。
「申し訳ありませんが、私はこの世界のどなたとも結婚は出来ません」
「私の胸を触っておいて……酷い、もう他にお嫁に行けません!!!」
両手で顔を覆ってメソメソと泣く王女。てかさっきの睨み顔見たからな?
どうせ嘘泣きなんだろうが、周りが殺気立っている。やれやれ。
「勇者よ!!!我が娘を汚しておいて結婚を破棄などさせんぞ!!!そなたの意地汚さにはガッカリよ、報酬は没収とさせてもらう!!!」
アウトその4と5。
強制結婚。プラス報酬踏み倒し。
汚すって何だ。そもそもそっちが俺の腕汚してんだろうがゴラァ。腹黒女の胸とか柔らかくてもなんか生理的に無理だわ。
しかも報酬元から払うつもり無かったんだろうなぁ……ここへ来る前めっちゃ目が泳いでたし。
邪神を倒せるかどうかも信じてなかった可能性もある。
確かにあいつは強かった……異世界を幾度も出張していなければ倒せなかったな。出張様様だぜ。
「そうですか。では元の世界へは……?」
「帰す訳にはいかんな。お前には死ぬまで子供を作って貰わねばならん。そしてその力を子供に受け継いでこの国に尽くす義務がある。それが召喚された勇者の宿命よ」
おおついにぶっちゃけました王様。もうお膳立て済んだから良いやみたいな?
相変わらずメソメソと嘘泣きする王女、怒りを噴出する大臣or騎士。王妃は空気。
「勇者を城の地下牢へ連れていけ!!!!」
しかも監禁する気満々とかもうアウトなんてものじゃないじゃないですかーやだー。
「大人しくしろ、我々に逆らわなければ沢山の女を抱いて子供を育てるだけで良い一生を過ごせるんだ……一般市民にゃ夢のような生活だろう?」
ガチャリと手錠を嵌め、勝ち誇った顔を見せる騎士達。
…………さて、ここまでされて黙ってちゃ、勇者じゃあないよな?
「帰す気もさらさら無く、無理やり監禁して子供を作る道具のような扱い。
これがこの国の総意という事ですか」
「ふん、この国に必要なのはお前の力だけだ」
お?言ったな?
そうかそうか、それじゃあ
「そんな腐れた国、無くなっても良いですよね?
ー出て来て良いぞ、邪神さん」
―ズオォオオオォォォオオオオオオオ……!!!
途端、城が揺れた。
「な、なんだ!??この揺れはああぁ!!?」
「わ、分かりません!!!こんな……っひぃ!!!?」
何もない空間に、縦に大きく切れ目が入る。
大きな漆黒の腕がその切れ目を広げ、中から黒い瘴気と威圧を撒き散らす邪神が姿を現した。
『黙って聞いておれば醜い、醜い……さすがは人間』
「ゆ、勇者ぁ!!!!邪神を討ち取ったのではないのかあ!!!!」
「俺の口からは討ち取ったなんて言ってないですし」
「くそっ、我々を騙したな!!!!」
「騙したのはそっちが先ですよね?報酬しっかり払って元の世界へ帰すと言ってくれれば邪神さんだって現れなかったんですよ?邪神さんにお願いしてましたから」
『その通りだ人間共。そこの勇者に負け、もしお前達が勇者へ素直に物資を渡し、元の世界とやらへ帰してやればまだ人間共に性根の清い者が残っているとしてしばらくは見逃そうと思っていた……だがやはりお前達は穢れきっていた。
くくく……どうりで我が生まれる訳よ』
この世界、どこに行ってもこういった高圧的な人間ばかりで、旅の途中違和感感じまくりだった。
人間を襲う危険な魔物を倒すのは召喚された勇者の当たり前の仕事だと言って報酬を貰えなかった事が頻繁にあった。
最後に一気に貰えるパターン?と思って気にしていなかったが、横暴な態度は気に食わなかった。
そして違和感が疑問へ変わるのにはそこまで時間は掛からなかった。
本当に邪神がこの世界を滅ぼそうとしているとして、その理由は?
この世界に魔王をすっ飛ばして邪神が降臨したのは何故か?
それは邪神本人に聞いた方が早い……というより、人間に聞いた所で分かるはずもないからだ。
邪神を倒すのは苦労したよほんと。
こっちが人間だから聞く耳持ってくれなくて話を聞くのにはまず身動き取れないぐらいに弱らせないといけなかったし。
まあなんとか落ち着かせて話を聞いてみると案の定、魔王じゃなく邪神が出てきちゃったのはこの世界の人間の心が醜過ぎたからだという。
心が綺麗な人間がいれば殺さないでおくらしいけど、後は知ったこっちゃない。
報酬は手持ちの物と国の宝物庫から勝手に貰っていくとしよう。どうせもう使わないだろうから。
「それじゃ、俺は勝手に報酬漁ってから帰るわ。
後の掃除は宜しくな、邪神さん」
『塵も残さず綺麗にしてやろう、さらばだ勇者よ』
~~~~~~~~~~~~~~~~~
お仕事終えてみりゃ、今回の異世界出張はブラック中のブラックだったな。ワースト一位だこれ。
魔王より強い邪神を倒す時点で気が滅入ったのにその王国も他の国々も腐っていた。
邪神と和解?出来たからまぁ良かったものの、それがなけりゃいちいち国潰すのは面倒だからさっさと元の世界へ転移してたかもな。その場合報酬は手持ちの物だけという悲しい結果に終わっていただろう。
異世界によって魔王や邪神の出現条件は違う。
この世界での邪神は人間の心の穢れが世界に蔓延したのが原因で出現したが、他の異世界では魔物が増えすぎて合体して魔王になったとか、人間が世界に絶望して魔王になったとか、色々あるんでとりあえず他の勇者の経験談とか読んでて良かったな。うん。我ながら良い仕事をしたぜ。
え?人が死ぬかもしれないのに良い仕事もくそもない……?
俺そこまで人間出来てないからね。勇者だってなんでも出来る訳じゃないっての。あそこまで腐った性根の人間達を改心させるのは無理っ!邪神さんに丸投げー。
…………あれ、最初から俺いなくても良かったんじゃね……?
ま、まあ邪神さんとは連絡先交換したから……(震)
さっ、それじゃあ手錠壊して転移魔法を構築っと。邪神さんの魔力をちょっと貸して貰ってるのでしんどい思いをせず帰れるな。
さらばブラック異世界!!!
~~~~~~~~~~~~~~~~~
「立山君!!!帰って来たかね!!!怪我は?病気は!?一年も帰って来なかったからそれはそれは心配したんだよ君!!!!」
会社の皆が俺にすぐ気付いて集まってきた。
口々に心配そうな声を掛けてくれると帰って来たなって思う。やっぱ俺の居場所はここだわ。
中にはちょっと涙ぐんでる人も……あ、俺の気になってる人だったやべ、なんか嬉しい。
「随分長かったね、本当に大丈夫……?」
「それで今回はどうだったの?」
「お土産ある??」
毎回のように異世界の話をせがまれるが、会社の仕事を止めて良い理由にはならない。
いつものように手早くお土産を渡し、話は後日の休憩時間にと断りを入れ、部長へ報告する。
「立山和宏、本日異世界出張より帰還しました。予定より遅くなってしまい、申し訳ありませんでした」
「うむ、話を聞こうか」
一年という長い期間出張していたのもあって、一週間程休んでも構わないと会社から伝達があった。
俺も疲れていたのでゆっくり休暇を取る事にする。
俺が異世界に行っていた期間、今回は特例で給料2ヶ月分を貰えるらしいのでお金には余裕がある。
むしろ異世界に行くとこっちのお金を使わないので貯まる一方だ。
「はー……やっと終わったなぁ」
長かった。一年戦い続けて来たからしんどい。
休日何して過ごそうか……と明日からの生活を思案していると。
ーピロン♪
「お?メールだ。誰からだろ」
そこには俺の気になってる人の名前と明日食事に行きませんかとのお誘いが。
「ぬえっ!?美希さん!??あの美希さ……あっ、興奮して下の名前で呼んじゃった恥ずかしい!!!あっ、幸原さんが俺にお食事のお誘い!!??夢!?!?俺邪神と戦って死んじゃったのかなあ」
『呼んだか勇者よ』
「うおっ!?邪神さんか、夢じゃないなこれ……そっちは片付きました?」
『うむ、勇者が我のしもべを全て消滅させず放置してくれたお陰で事はすんなりと運んだぞ』
「それは良かった。これからはどうするんです?」
『星の再生へと移行する。また気が向いた時は様子を見に来ると良い。次はまともな世界になっているだろう』
「はは……なら、邪神さんじゃなく創造神さんと呼んだ方が良いですね。世界再生頑張って下さい」
『うむ、勇者も達者でな。まぁ我を倒した人間が他の世界で遅れを取るはずもないだろうが』
「俺、異世界出張のベテランですからね。それじゃあ、また」
『また何かあれば我を呼ぶが良い、友よ』
はー。夢じゃなかった。
幸原さんとお食事……ちょっと待てよ?これ、デートじゃね!?!?
うわあちょっとこうしちゃいられない貯まったお金で服買いに行こう……!!!
ああ、楽しみだな。
最高の1日になりそうだ。
大分前に書いた小説を投稿も何もしていなかったので供養に。