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二度目の人生は異世界で幸せに  作者: 夜ペンギン
幼少期〜学園までの道のり〜
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第5話 魔法訓練

 

 魔力の感知に長けている母がいない為、体内の魔力を動かす練習をしている。塊全てを動かすのは凄く難しかった為、塊を小さくちぎってから、身体の中を巡らせる。

 慣れて来たらちぎらずに一部を細く伸ばして身体の隅々まで巡らせるようにしている。


 そこそこ頻繁に父が俺の部屋の様子を見に来るのだが、もう少し父に甘えた方がいいだろうか?

 母がいなくなる前は母に甘えていた。兄達にも絵本や英雄物語の本を読んで貰ったりして、文字を覚えた。


 いや、嘘である。文字は日本語だった。

 英語系のカタカナ語も頻繁に見かけた為、女神フィルピスと女神ファメールの先輩であるこの世界の創造神は、日本を元に世界の原型を作ったのだと確信した。

 多分教会で個人証明を見れば確信出来るだろう。ここまで日本語や英語が多いと、能力値が意味不明な単語で示されているとは思えない。


 話がそれたが父にも甘えておこうか、領地経営の仕事の一部を見れば何か手伝える事があるかもしれない。


「父上!」


 リビングで休憩をしていたガルブレッドにリビングに入りつつ話しかける。


 リビングに入る前から此方を見ていたのは気のせいか?

 リビングに入る直前まで魔力操作の練習をしていたけど、気付かれたのだろうか?


 疑問に思いつつも、「いや、父さんは武人だし生物の気配に敏感なだけだろう。」と結論付ける。

 流石に教えてもいない魔力操作を行なっているなんて気が付かないだろう。隠蔽するように小さな塊で、ゆっくり魔力を動かしてるしな。


 母さんじゃあるまいし。


「どうした?レオ」


「父上がどんな仕事をしてるのか気になって、見学させて欲しくて。」


「おぉ!そうかそうか!レオは後継ぎでは無いから本格的な仕事は教えなくてもいいと思っていたが、興味があるなら見るか?まあ書類仕事がメインだがな。はっはっは。」


「ありがとうございます、父上!」


 結構嬉しそうだし、やっぱり寂しかったんだな。家族が3人も同時に家から出た訳だし当たり前か。


 それからは父さんの仕事部屋に3日に一度入り書類仕事を様々な位置から眺めていた。本を読みながら。


 おっ、こんな展開なのか。


 しばらくしたら父親の仕事を眺めることは殆どなくなっていた。

 しょうがないね。特に困ってそうではないし、結構楽そうだもの。

 少し本で調べたら教会で作る個人証明(ステータスプレートと呼ばれているらしい)で戸籍管理を行なっていて、協力して貰いつつ税を納めてもらっている為、不正は起こりにくいそうだ。


 魔法便利すぎかよ。


 俺のそれ以外の日は大分忙しい。ルル母さんはエルフの血が入っているらしく種族的に魔法に長けている。その娘達も言わずもがな魔法に適性が強いのだろう。魔力操作をしていると居場所がバレやすいのである。


 母さんもエルフの血が入っているから敏感なのは分かるけど、あれは異常だろう。

 3歳になる前、アル兄さんの部屋は屋敷の角部屋なのに対角線上の庭の端で少し魔力操作をしようと動かした瞬間視線を感じ、その方向を見たら母さんが驚いた顔をして此方を見ていたのである。


 まだ未熟とはいえ結構隠すように動かしたはずなんだが…


 笑顔で手を振ると、母さんも笑顔で手を振り返してくれたが…

 あれは一種のホラーである。


 それと、魔力を持っていても魔法が使えるかは別らしい。

 沢山の修練か、天性の才能がモノを言うと本に書いてあった。

 女神様様々である。沢山の魔法が使えるように願った為、魔法を使う素質はあるはずだ。


 ていうか母さんの趣味なのかもしれないが、魔法に関する書物が多い。ありがたいが、本棚の10分の1しかない武術に関する書物をみると父さんが可哀想だと思った。


 居場所バレの俺は大体姉に捕まり、色々と遊んでいる。かくれんぼは負け、追いかけっこは執事とメイドに怒られてドローになる日々が続いている。


 ある日、姉さんとの遊びに飽きて来ていた俺にナナ姉さんが聞いてきた。


「最近レオからもやもやしたのが出てる気がするんだけど大丈夫なの?」


 びっくりした。本当に。

 最近は魔力操作で魔力を大小思うように動かせるようになり、かなり上達したと自画自賛していた為、魔法を使う基本である魔力の放出の練習をしていたのである。

 でも、ナナ姉さん、ルル母さんがいるし、父さんも多分魔力操作を感じ取っていそうなので、かなり慎重に練習していたはずだ。


 近くにいるとはいえ、まさか姉さんが気がつくなんて…

 隠し切れる気もしないし、特にバレても問題は起きなさそうなので姉さんに正直に答える。


「魔力操作の練習をしているんだ。」


「魔力操作?もう魔法が使えるの?レオ凄い!」


「まだ魔法は使ったこと無いよ。魔法って変に使うと危ないって本に書いてあったから、上手に使う為の練習しているんだ。」


 ナナ姉さんは目を輝かせている。いつの間にかハイハイして来たリリアもいた。メイドも共に俺の部屋に入って来ていて驚いている。

 いつ入って来たのか分からなかった。子供のハイハイは視界に入っていないと気がつきにくいけど、このメイドは音も気配もせずに部屋にいた。

 ホラーである。


 そして少し後悔したが、5才になるまで1年と少しだし、今ばれても問題ないだろうと思考を止める。


「レオ!私も練習したい!魔法使いたい!」


 姉さんももうすぐ5才だし、ちょうど良いのかもしれない。


「分かったよ。ナナ姉さん。じゃあ一緒に練習しようか。」


 それからは殆ど毎日ナナ姉さんと自分の魔力を感じることと魔力操作の練習をした。ナナ姉さんは魔力操作が難しいらしく、コツを聞かれて本に書いてあったことを伝えたが、あまり分かっていないようだった。

 色々考えた結果、きっかけ作りの為に姉さんの魔力の塊を少し動かしてあげたら、びっくりしたのか身体を跳ねさせ少し赤くなっていたが、


「ありがとう…なんとなく分かったわ!」


 と、言ってくれて嬉しくて深くは考えなかった。

 そういうやりとりをしていると、いつも通りいつの間にかメイドと共に来ていたリリアが抗議していたのか、バシバシ叩いてきた。

 同じように、少し魔力を動かしてあげたら、嬉しかったのか、ガシッと腕に抱きついて来てくれた。可愛い妹である。


 それからも、ナナ姉さんが文字の勉強してる時以外は、3人+メイドの4人で集まり部屋で魔力操作の練習である。

 メイドのマリアさんには「父さん達を驚かせたいから秘密にしててね」と笑顔で言っておいた。

 まったりと自分のペースで魔力操作の練習ができ、姉と妹と共にいるこの時間が幸せだったからだ。

 本格的な訓練に入ると姉と妹との時間が少なくなるからね。


 リリアが俺の真似をして、そこそこ難しい魔力操作をしているのは気のせいだろうか?

 …気のせいだと思おうか。


 ある日食後にルル母さんが驚いた顔をしてナナ姉さんとリリアを抱きしめて喜んでいた。

 父さんはそちらを見て、なぜか驚いた顔をし、俺と見比べていたのはどういう事だろう?

 父さんの仕事室にはいつも通り3日に一度は行っているし、コミュニケーションは前世よりもとっていると思うのだが…


 まあ、悲しい顔はしてなさそうだし深く考えなくていいか。



 それから俺は4才に。ナナ姉さんは5才になった。



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