第4話 新たな人生
俺は生まれた。あまり記憶はない。
記憶を持ったまま生まれ変わると言われていたから、赤ちゃんから魔法の練習をしようとしていたのに…
まあ産まれた直後とかは身体に負担がかかるかもしれなかったし、俺の性格を考えると良かったのかもしれない。
それでも、自分の記憶が曖昧でも魔力がなんかのかを確かめる為に試行錯誤はしていた。…はず。
なんとなく、身体の中を探る意識を忘れずにいた記憶がある気がするから。
そんなこんなで(何があったかあまり覚えていないが)3歳になって数ヶ月程から魔法の練習をし始めた。
魔法の練習と言うよりも魔法の練習をする為の下準備なんだけどね。
魔法を使うのに魔力というものが必要で、人であればもれなく魔力を宿しているらしい。大気中にも魔力は存在しているが、大体は自分の魔力を使って魔法を発動させる。
そして魔法を発動させる、魔法をあやつる為には魔力操作という技術が必要らしい。
その為今は自分の魔力がどんなものかを掴み、それを動かそうとしているのだ。
人が魔力を動かしているのは、そこそこ強い人は感じ取ってしまうらしい。うろ覚えだけど、0から1才の頃、身体の魔力の塊がどの辺にあるか感じ取れて動かそうとしたとき、母親が此方をガン見していたのだ。
魔法の訓練は大体5才から始めるのが普通らしいから驚いたのかもしれない。
5才以降に教会に行って個人証明の発行をするらしい。その個人証明で魔法の適性、スキルや称号、加護、自分の個々の能力値が分かる。ただ能力値に関しては目安でしかないそうだ。
その為、それ以来魔力を動かす練習はせず、魔力を感じる事に時間を費やした。…はず。覚えてないからしょうがないね。
この3年と少しで分かったことを伝えておこう。
まず俺の名前は、レオフリート・フィオ・ヴァルダイル、と名付けられた。名前は大体、発音の響きでつけられるらしい。意味のある言葉もつける事もあるらしいが。レオの名前が付いているのはきっと女神が手を回してくれたのかもしれない。
母親はナルメア・フィオ・ヴァルダイル、父親はガルブレッド・フィオ・ヴァルダイル・ナリトーヤという。
フィオはこの国の貴族である事の証明みたいなものだ。で、ナリトーヤだがこの領地の名前である。領地を治めているものの名前の最後には領地の名前をつけるらしい。
そして自分には、兄が2人、姉が1人、妹が1人いる。
三男じゃないのか?とも思ったのかもしれない。三男で間違いなかった。2年前までは。
父が戦地に行った時、助けた女性と相思相愛になり、家に連れ帰って来たそうだ。その時、娘が1人おり、お腹にもう1人身篭っていた。魔物に村が襲われた際、俺の父は戦いに行ったそうだが、その女性の旦那はその半年程前に、既に亡くなっていたそうだ。吊り橋効果?なのかその女性は父の事を直ぐに好きになったらしく、父は父で女たらしなところがあるらしく、母は諦めていたそうだ。
そして、この家に来てからすぐ産まれたのが妹である。
兄達は1ヶ月前に王都に向かって母親と共に出発した。1番上の兄は10才になった為、学園に入学するそうだ。入学する学園はこの国最大の学園で、貴族の家の後継ぎは成績に関係なく入学出来るらしい。羨ましい限りである。
まあ頭が悪すぎると退学させられるらしいし、頭が悪いことがバレると貴族の面子に関わるから、家で出来る限り勉強させるのが普通だが。
そして兄達は頭が良い方らしいので、両親は心配はしていなかった。
2番目の兄は9才だが同じ学園に入る予定なので、1番上の兄と一緒に一足先に向かうそうだ。
まあ、うちの領地は田舎で王都までかなり距離があるから往復するのにも金がかかるしな。
入学金や教材費もかなりの額がかかる為、今のままだと俺と姉と妹は学園に入れない。
父の領地経営の手腕にかかっているが、父は脳筋気味なので、義母に期待するしかないかもしれない。
いや、村出身だと領地経営は厳しいかもしれないな。何か手を考えておかないと…
異世界の学校とか気になりすぎて行けないのは嫌だしな。
ちなみに1番上の兄の名前は、アルフリート。
2番目の兄の名前は、クリスフリート。
2人目の母の名前はルル。
姉の名前はナナ。
妹の名前はリリア。
である。
住んでいる屋敷の従者の名前の紹介は割愛するが、老執事の名前がセバスチョンで、「おしいっ!」と思ってしまった。
その息子はセバスチャンらしく、老執事と名前を交代してくれと、最低なことを思った事は内緒である。
とか思い出に浸りながら考え事をしつつ、魔法の訓練を行なっていた。
次回は魔法特訓予定じゃよ