第37話 美しい花畑と美しい笑顔
翌日目が覚める。早くもなく遅くもない時間だ。
「ご主人様、朝食の準備が出来ています」
マリーエルが呼びにきてくれた。
「ありがとう、すぐ行くよ」
俺は服を着替えて部屋を出る。マリーエルが待っていてくれたみたいだ。
「じゃあ行こうか」
マリーエルと共にリビングへ向かい、朝食を食べる。
朝食後、ポルーチェにイースト麦の種を貰う。
俺は部屋に戻ってから農業用の亜空間でイースト麦を育てる。特に難しい育成方法ではないのでサクサク量産する。
ついでに米も量産しておこう。輸入品がいつ途切れるか分からないし。
時間魔法で時間を進めて育ててストレージに入れる。それを繰り返す。
その後錬金術でイースト麦粉と精米を生成して俵を作りそれに入れる。イースト麦粉は持っていた紙袋を加工する。
俺は地下倉庫にそれらをいれる。その後地下倉庫に時間魔法と結界魔法で生物以外の時間を進まなくさせる。
冷蔵庫が備え付けられていたので、その性能を良くしておこう。
魔心石への属性付与は基本魔法しか出来ない為、魔法陣の付与で冷凍庫を作り、冷蔵庫の温度も一段階下げる事が出来た。
魔心石に空気中の魔力を吸収する魔法陣も付与する。
良い感じに出来たな。前世くらい性能が良くなった。
色々いじっていたら大分時間が経ってしまった。
昼食を食べると部屋に戻り、ルクヴァン宛に手紙を書く。
とりあえず新しく販売して欲しい商品があるから貴族メインで商売してる商会の人も交えて話がしたいと書いておくか。
「お兄ちゃん、遊びに来たよ!」
ノックと共にリリアの声が聞こえる。
「いらっしゃい」
俺は部屋のドアを開けて招く。ナナとリリアが部屋に入る。
「あっ、お手紙を執筆中だったんですね。お邪魔しちゃいましたか?」
特に邪魔とかじゃなかったが上目遣いはずるい。
「そんな事はないよ、急ぎではないからね。それにもうほぼ書き終わったから」
「そうでしたか。それは良かったです」
リリアはホッとした表情をする。
「レオ、使用人達が付けているものは魔道具か?」
ナナがそう聞いてくる。
「そうです!お兄ちゃんの魔力を強く感じました!私達も欲しいです!」
リリアも追撃してくる。何となく良い感じなシチュエーションで渡そうかと思っていたがまあ良いだろう。
「ついてきてよ」
王都でリリア達とデートした時に母さんが育てていた綺麗な花を見つけたので買っていた。育てたらたまたま種が出来たので量産しておいた花畑の亜空間を開く。
「綺麗な場所ですね…」
「ああ…メア母さんが育てていた花だな。周りにも様々な花がある…」
2人を連れて中に入ると2人はそう呟く。
そこで俺は前世の指輪ケースを元にしたものを取り出す。
「「?」」
2人は見たこともない箱に疑問符を浮かべる。
「少し早いけど、2人に渡しておくものがあったんだ」
俺は箱を開けつつ言葉を続ける。この世界でも婚約者や大切な人に指輪を渡す習慣があるため2人は驚いている。
「流れで婚約者みたいなだったけど、はっきり言葉に出して伝えるよ。俺は2人を幸せにしたい。成人したら結婚しよう」
俺は2人を見て言葉を待つ。
2人は驚き、お互いを見てから俺を見つめ直す。目には涙を浮かべている。
「はい、レオお兄ちゃん…」
「ありがとう…レオ。私達もレオを幸せにしたい。お互い幸せになろう」
2人は笑顔でそう答えてくれる。風景も相まっていつもよりとても綺麗に見えた。
そして俺はその言葉に安心する。
ナナとリリアの手を取り指輪を左手の薬指にはめる。
ほぼぴったりだったため詰まることもぶかぶかでもなかった。指輪はナナとリリアの魔力を少し吸収し、装備者の登録を行い指にぴったりな大きさになる。
俺たちは暫く花畑で夢のようなひと時を過ごした。
俺達は部屋に戻る。
お互い恥ずかしさが少し出てきて、3人とも少し頬が赤い。
「わ、私達は屋敷に戻りますね!」
「ああ、俺も一緒に行くよ。まだうちでも夕食は作ってないだろうし今日はそっちで食べるよ」
「じゃあ一緒に帰ろう、レオ」
俺は奴隷達に今日の夕食はいらないと伝えて、そのまま泊まってくるかもしれないと伝える。
俺達は屋敷に着く。調理場に顔を出すとメニューを考えている最中だったようだ。
料理長に話をつけ、夕食を共に作る。
半分を切った龍肉をふんだんに使った肉づくし料理だ。龍肉は旨いのにクセがなく脂もそこそこあるのに食べ易い。最高級の肉と称されるだけはある。
料理長も2度目の龍肉料理なのでそれに合う付け合わせの野菜やスープを作ってくれる。
俺はリンゴを煮始める。バターはあったので錬金術で塩分を取り除き無塩バターを作るなんぞ造作もない。
パイ生地の作り方はがっつり検索で調べた。一から作るのは流石に苦労したが、前世のものにかなり近づけたと思う。
そう、作るのはアップルパイである。
オーブンは無いので釜に張り付いて様子を見ながら焼く。一度失敗したが、2度目は上手くいく。あとは沢山作るだけである。
リンゴの砂糖煮はあるので料理長に煮て貰いながら、俺はパイ生地を量産する。
それらが出来上がると焼き始める。
うん、今回も大丈夫だな。このまま全部同じように焼こう。
俺は料理長と共に焼く。肉料理を作るより神経を使うが2人いれば沢山作るのも楽だった。
今回も屋敷の使用人の分も作る。奴隷達用にもしっかり作っておいた。
そして夕食。
「帰る前にまた新しい料理が食べれるとは思わなかったわ〜」
「うん、今回も美味いな」
「本当にね。リンゴの砂糖煮をまた火にかける発想は凄いわ」
「お兄ちゃん!美味しいです!」
「本当に美味いな。ありがとう、レオ」
「ガツガツ」
「モグモグ」
それぞれから感謝の言葉と行動を貰いながら俺も食事を終える。
久しぶりのパイ生地のサクサク感がたまらなかった。焼き立ては本当に美味い。
その日は父さんの屋敷に泊まりナナとリリアと共に寝た。




