第28話 奴隷とモフモフに
「じゃあまず服とかを買おうか。」
「え、奴隷に服を与えるのでしょうか?この人数だと安くは無いと思うのですが…。それにそれぞれ着替えはあると思いますし…。」
元王女の言葉に他の2桁年齢の奴隷達は同じ考えだと頷く。
「ん?まあ主人によるんじゃないか?犯罪奴隷以外は酷い扱いされてるのは見たことないぞ?」
「いえ、私達は殆ど身落奴隷ですし…。」
「でも犯罪奴隷ではないだろ?俺がいいって言ってるんだからいいんだよ。細かい事は気にすんな。」
幼い奴隷達以外は驚いた様子だ。幼い奴隷はまだよく分かっていなさそうだな。
「かしこまりました。ご主人様。」
!!!いいね!ご主人様!男の呼ばれてみたいランキングベスト5(自己ランキング)に入ってる呼ばれ方だ。
満足しつつも歩みを進めていく。
「それに奴隷紋に家紋入れて貰ったからな。追い剥ぎとか迫害も少ないだろ。セクハラ含めて、そういうのに遭ったら報告しろよ。相応の報いを受けさせるからな。勿論その場でやり返してもいいぞ。」
俺は笑顔で話をする。
俺の笑顔の中の黒さに気が付いたのは元王女と護衛騎士と狸人族のお姉さんだけだな。
「ご主人様、平民街には向かわれないのですか?」
「うん?ああ、平民街は食べ物買ったり買い食いするのにはいいけど、服は富裕街のほうが質がいいからな。異論は認めないぞ。」
またも驚かれるが、俺の言葉に誰も声を出せないでいた。
異論は認めない、とりあえず使えば奴隷の場合は従うしかないからな。話を強引に進めたい場合は便利だな。
「着いたぞ。」
俺はナナとリリアと散策した日に買い物に来た服屋に着いた。
「ご主人様ここは他の店よりひと回り大きくありませんか?」
狸人族のお姉さん奴隷が俺に問いかける。
「選べるのは多い方がいいだろ。」
「いらっしゃいませ。レオフリート様。本日もご来店ありがとうございます。」
「ああ、今日は後ろの使用人になる者達に服を買いたくてな。それぞれ1人ずつに店側から服一式を2セットずつ選んでくれ、あとは全員に自分で5セットずつ選ばせる。それと今店にある加工前の色付きの布を全色約50㎡ずつ買いたい。俺は他に用事があるから3時間後にまた来る。布は無ければ後日取りに来る。」
「かしこまりました。布もすぐ用意出来ますので問題ございません。」
「ありがとう。お前達、今お前達が聞いた通りだ。3時間以内に上下の服、下着、靴下、靴を5つずつ選んでおけ。値段は気にしなくていい。異論は認めない。遠慮していると感じたらエロい服を俺が選ぶから全力で選べよ。じゃあまた後でな。」
そう言い俺は他の買い物に向かう。
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奴隷side
◇狼人族親子◇
主人が借金を残し、私達を置いて他国へ逃げてしまった。置き手紙などもなく借金の催促に来た金貸し屋が家に来た。
何も蓄えもなく、返す当てのない私は借金奴隷になる事を決めた。娘を1人にさせるわけにもいかず、親子で奴隷になるしかなかった。
娘を守るためなら何でもするつもりだ。だが、出来れば身体を売るような行為はしたくない。そこは買われる側の運があるかないかだ。
私たちが入ってからすぐ、奴隷が急激に増える事が増え、そして減っていった。
近くで戦争があり、兵士の一部が逃げ出してきたらしい。聞こえてくる話によるとドラゴンが戦争に使われたそうだ。
中々強い兵士も流れてきた噂が流れていたのか、普段と違い男の奴隷がよく出て行くことが多かった。
この国で少し前にダンジョン型鉱山が近場に発見されたらしく、いくら掘っても半年後には掘った穴ごと全て埋まり、鉱石類もまた取れるそうだ。
多分大半はそこ用の奴隷だろう。男が選ばれる理由は大体力仕事か護衛だから。
その為閑散期が奴隷商に訪れる。他とは安いとはいえ借金奴隷は安い訳ではない。でも買われないと家族奴隷として買われる事が出来なくなってしまう。
セット奴隷は借金奴隷は2ヶ月、身落奴隷は1ヶ月しか猶予がない。
少し日が経つと久しぶりの来店があった。女性奴隷を求めているらしい。多分そういう目的なのだろう。
獣人族全般はそう言った目的にあまり好まれない。
牙はあるし、他の人族と違い激しいのだ。
奴隷を買う人は大体主導権を握られるのが嫌いな為必然的に買われない。
と、思ったら買い手が直接見に来ていた。この店の店主は酷い買い手には直接見に来させない。つまりこの買い手は悪い噂は無いのだろう。
ていうか子供だ。娘より少し年上だろうか?多分貴族の子供だろう。
契約魔法をかけさせてくれれば私達を買いたいらしい。内容は全く問題ない。
でも買えるのだろうか?貴族の子供でも流石に私達の値段は安くはない。
…買えるそうだ。親からお金を貰ってもポンと出せる金額じゃないだろう。多分相当上の地位の貴族だ。
本当にいいご主人であればずっと庇護下にいるのが良いかもしれない。解放されるまでは短くない期間だろうし、解放後職につけるかも分からない。
買われてから少し時間があったが、ご主人が待つ部屋に連れて行かれる。
?他の奴隷が多い。同じ部屋に向かっているようだ。
まさか全員同じご主人に買われているとは思わなかった。
ここまで大金を子供が一人で使うなんてありえない。この子供の親である貴族は何をやっているのだろうか。
服屋に連れて行かれる。全員服を選べとの事だ。しかも富裕層用の店だ。
段々と頭がこんがらがる。お金がある家の子供だとは思うが使う金額も、奴隷に対する扱いもおかしい。
遠慮もするなと言われた。試されているのだろうか?店側にも2セット選ばせていた。しかも店側は私達にあい、尚且つ良い服高い服を選んでいるようだ。
遠慮したらエッチな服を選ぶとも言われた。子供が使う言葉ではない気がしたが考えるのをやめ、娘と共に買いたい服を選んだ。
◇元王女と護衛騎士◇
国が戦争を仕掛けた。父である国王は何を血迷ったのだろう。
確かに向こうの若い王に私の母を含めた妻達を全て寝取られたとはいえ直接的な攻撃はまずいだろう。
私専属の護衛騎士のメリアはドラゴンを魔術師50人で使役したという情報を伝えてくれた。
ドラゴンの参戦で戦況はこちらに大きく傾いた。
だがそんなに戦争は甘くはない。
向こうの伏兵が使役している魔術師とその護衛達に奇襲をかけ、部隊は壊滅。
ドラゴンは意識を取り戻すと怒り暴れ狂い、向こうの軍、王都、城を焼き壊したそうだ。
多分向こうの軍、王族は壊滅的だろう。もしかしたら私と国を捨てていった母も死んだかもしれない。
裏切られた気持ちがあった私は悲しい気持ちにはならなかった。何とも言えない気持ちだった。
ドラゴンの暴走はそれだけでは終わらなかった。
こちらの国に使役されていた事が分かっていたかのように真っ直ぐこちらに向かってきたそうだ。
軍は向こうの国と同じように燃やされ、城にまで近づいてきていた。
メリアは私に逃げるよう進言してきた。王女としては間違いかもしれないが、愚王の道連れ、尻拭いは勘弁だ。
私とメリアは急ぎ国を出る為闇魔法で幻影をかけ、変装しつつ国を出る。魔の森方面が国を出るには近い為そちらを選ぶ。
途中大量の魔物に出くわしアイテムボックスに入れていなかった物を捨てるようにメリアと逃げる。馬も食われてしまった。
盗賊に襲われてしまった。食事を取ろうとしていたところだったのでアイテムボックスも見られてしまった。
幻影は解いていなかったので、あまりいい顔の女性ではなかった為アイテムボックスの中身を全部出さないと殺すと言われてしまった。
急ぎだった為あまりお金を持っていなかった。それに中金貨一枚と中銅貨四枚だ。
流石に国境越えをしようとしている人間が中銅貨四枚が全財産とは言えない。中金貨一枚と食糧の2/3を取り出し渡す。
幻影で良くない顔をしているとは言え女である事に変わりはない。私達は近くのアジトに連れて行かれる。
夜食事をし始めたタイミングで隙を見て、私とメリアは魔法を放ち急いで逃げる。
幻影魔法でサガルアナ国に向かう人影を目立つように2つ放つ。
私達は急いでニトバール国に向かう。追手はいなさそうだ。上手く撒けただろう。
だが国境を越えるための資金が無くなってしまった。
密入国をするしかないだろう。
私達は呆気なく捕まってしまった。戦争の情報は漏れていたらしく、かなりの衛兵が待ち構えていた。
流石に犯罪奴隷になるより、身落奴隷の方がマシだと思った私達は武器を捨て投降した。
牢に入れられたあとメリアはかなり謝ってきたが、兵士のフリをした方がいいと思った為やめさせた。
次々と元私達の国の兵士が男用の牢に連れられている。女性の兵は私達以外あまりいなかった。
いい顔では無い私達よりも他の奴隷が売れるのは当たり前だろう。俗物貴族らしき者も見にきたが興味がなさそうに去っていった。
まともな貴族は男性牢に連れて行かれていたし、それ以外は中に入ってくる事は無かった。多分今の貴族は権力と金を積んだのだろう。店主も少し嫌そうな顔をして対応していた感じがした。
それから暫く買い手は来なかった。男の兵士は全て売れたようだ。
出来ればメリアとは離れたく無い。一人で知らぬ人間の奴隷にはなりたくない。
そんな時買い手が来たようだ。女性奴隷を求めているとの会話が聞こえる。
そして少しすると私達の牢に来た。
自分と同い年くらいの子供だ。多分貴族の子供だろう。
私達の顔を見ると、少し驚く。驚くほど酷い顔にした覚えはないのだが…。
そして少しの間の後、契約魔法と呪いをかけさせてくれたら買いたいと言ってきた。
その言葉に私もメリアも驚く。もしかしなくても元王女の称号がバレている。
多分買われなければバラされるかもしれない。契約内容には別に不満は無かった。
むしろ当たり前の内容だろう。秘密の多い貴族は少なくない。
呪いに関しても別に契約魔法に反しなければ死なないし、情報を漏らす先は無い。
奴隷になっても問題ないだろう。メリアと私はお互い同じ気持ちのようだ。
メリアが応え、主人が決まった。
その後着替え、ご主人が待つ部屋に通される。
?人が多い、獣人が特に。欠損持ちの獣人もいる。私達は奉仕専用で、獣人達には雑務を強いるタイプなのだろうか?
その後呪いもかけられたが、この呪いは死に直結する呪いでは無いのは分かる。これでも闇魔法は鍛えている。
信じているのか、ただの脅しだったのかは分からないが突っ込みはしない。私達にとっては条件が緩和され良い結果なのだから。
え?服屋?奴隷に?ここはいわゆる富裕層の使う店では?全部で7セット服を買わせる?奴隷に対する扱いではないのでは?
もしかしていいご主人に買われた?何も言われず呪いは緩和してた。いい服も買って貰える。いやまだ分からないけど、よく分からない。混乱してきた。
メリアもよくわかっていないようだ。同じく混乱している。私が奴隷になった事にかなり負い目を感じていたし、今この状況について行けていない感じだ。
遠慮したらエッチな服を選ばれるらしいのでメリアと共に全力で選ぶ。
でも、どんな服を選ばれるのか少し気になるのはメリアには伝えないでおこう。
◇獣人集落の生き残り達◇
村の若い男と強い女性たちが徴兵された。国に属している以上しょうがないだろう。王が妻達を寝取られたからという理由という噂が流れていた。そんなバカな事はないだろう。
夫達は獣人族の戦闘能力を買われて最前線で戦うらしい。
…夫達が死んだとの報告を受けた。もう何も考えられない。
村の長や年寄り達は残された子供達をどうするかを考えているそうだ。
私は立候補する。夫ももうおらず、子供もいない。何かにすがることしか生きていく自信がないからだ。
夫や村の人たちが守ろうとした命だ。何をしてでも守ろう。
ドラゴンが王都に現れたらしい。城も焼かれ王が死んだとの情報が流れた。
その時私の中にあったであろう王への憎しみは無くなった気がした。
ドラゴンの出現で行動範囲を変えた魔物が大量に村に現れた。
戦える人はもう村にいない。私が戦おうとすると周りの年寄り達から若者のリーダーになり、隣の国に逃げろと言われる。
密入国をすれば奴隷になるかもしれない。でも生きていれば必ずいい事はある。そう言い魔物に向かっていく。
1人、また1人と目の前で見知った顔が倒れていく。
もう迷っている暇はない。子供達が不幸にならないように私がしっかりすればいい。奴隷になっても周りの分まで私が休まず働けば何とかなるかもしれない。
私は子供達を連れて逃げる。孤人族のココルとリリルが大きな鷹の魔物に襲われ、腕や足を奪われてしまう。子供達は泣いてしまい、動けない。
私は回復魔法でココルとリリルの止血だけは済ませる。光魔法で全力で閃光を放ち、魔物の視界を奪う。
ココルにリリルを背負って逃げるように指示をする。酷だが、これしか生き残る方法はない。
私はメメを背中にしがみつかせ、チカとチナを両脇に抱えて逃げる。
国境を越えられたのか、衛兵に見つかる。私にはそれが何よりも安心させてくれた。これで魔物に喰い殺される事はない。
奴隷になっても私が頑張れば何とかなる。
集団での奴隷は安くなる為買われるとは思っていたが、腕や足をなくしている奴隷は買われない。
当たり前かもしれない。少し甘かった。私1人でも盗賊行為をして資金を集めて普通に入国させるべきだったかもしれない。
刻一刻と集団奴隷で売られる期間が無くなっていく。まずい。
そう思っていた時、扉が開く。買いに来た子供が見に来たようだ。契約魔法をかけさせてくれたら買ってくれるらしい。
買う?身体に不自由な者がいる私達を?お金は?貴族の子供なのか?
本当に買って貰えるのか問うと買って貰えるらしい。契約内容もほとんど無いに等しい。酷いことをされるとしても私だけにしてもらうように懇願すれば何とかなると信じて。
私は感謝の言葉を伝える。バラバラになる恐れがあったので本当にありがたい。
他にも奴隷として買われた人達がいたようだ。お金もあり、これだけ人手があればそこまで酷な事はされないだろう。
あれ?あの人どこかで…。幻影魔法がかかってる。2人とも顔がいいから変な人に買われないようにしたのかな?ここにいるみんな顔が悪くないことを考えると、ご主人はあの幻影魔法は見抜いていそうだ。
服を買ってくれるらしい。奴隷商で身体は拭くようにさせられていたので身体は綺麗だと思うが、服は着ているものと替えの服1着のみだったのでありがたい。
ありがたいが、こんないい店とは思わなかった。子供達は目を輝かせている。
凄い高そうだが、遠慮したらエロい服を選ぶと言われたらしっかり選ぶしかない。
いや、あえてそういう服を選び、他のみんなの代わりにそういう事を私のみがやるのが良いかもしれない。…経験はないが。
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俺はグルーミング用の櫛と毛に艶を与える油を買う。
うーん油あんまり良くなさそうだなぁ。石鹸も正直良くないんだよな。過去の人が残した作り方で石鹸は作られて市民にも売られてはいるけど。
いっそ作るか。尻尾も同じように艶々になるだろう。
とりあえず検索で調べた材料は市場にあるもので用意出来そうだな。隅々まで買おう。あれだけ多い人数だと減りも早いだろうしな。
液体石鹸も作ろうか。材料は…何とかなるかな?香り付けは…花屋でも行くか。
そんなこんなで買い物を済ませる。
そういえば昼食べてなかったな。屋台でも色々買うか。
そろそろ3時間経つな。迎えに行こうか。
「お待たせしました。」
「お帰りなさいませ。こちらが当店で選んだ服、彼女達が持ったいる物が彼女達が選んだ服です。布は裏に用意させております。」
「ありがとう。全部今日持って帰るよ。値段は?」
「大量に買っていただきましたので、小金貨2枚で構いません。」
「あれ?布込みの値段?」
「はい。」
「かなり値引きしてくれたんだね、ありがとう。はい代金。あとこれは今回服選びをしてくれたお礼ね。」
俺は小金貨2枚と大銀貨10枚を渡す。
「ありがとうございます。では裏へご案内します。」
俺は布をストレージに入れ、皆がまた場所まで戻り服を一度回収する。ファイルごとに入れておけば混ざらないから便利だ。
「ありがとうございました。またのご来店をお待ちしております。」
「じゃあ俺の家に帰ろうか。」
アイテムボックス持ちに驚かれながらも俺たちは家に帰る。




