第27話 奴隷とモフモフ
へぇ、ここが奴隷商って場所か。
たしか奴隷の種類は、
・借金が払えなくなって落ちる借金奴隷
・犯罪行為、犯罪未遂、盗賊の称号持ちがなる犯罪奴隷
・他国からの密入国で落ちる身落奴隷
だったかな?
犯罪未遂による犯罪奴隷と身落奴隷は滅多にいないそうだ。まあそうだろう。
犯罪未遂で捕まるなんてそんなにないからな。犯罪の予知が出来るやつなんていないだろうし。
盗賊の称号についてだが、悪意を持って人を殺さなきゃ盗賊の称号は出ない。悪意の判断は神基準だが、戦争が無くならないって事はそのあたりは盗賊の称号の出現トリガーでは無いのだろう。
でも人を殺して物を奪い盗ると盗賊の称号がでる。賭け事をした決闘などでは出ない。
うーん、国家と少数や個人の違いでは無さそう。
略奪とかも関係ないだろう。
あれか?サイコパスってやつが殺すとなるのか?快楽殺人鬼みたいなやつ。
世間一般的な盗賊行為の他に盗賊の称号が出るのは、快楽殺人鬼。
その線が正しいかも知れんな。
ただの殺しは出ない。だから神がチャンスを与えてくれている、情状酌量の余地があると判断される事はある。
でも快楽殺人鬼の場合は神でも許さないだろう。ただ秩序を乱すだけのやばいやつだもんな。
身落奴隷だが、密入国するのは既に犯罪を犯した盗賊持ちか、金はないがどうしても国境を越えたくて越えたがバレて捕まってしまった者のみだ。
盗賊持ちは犯罪奴隷になるし、金がない場合は身内を借金奴隷として売るか、身内のために自分を借金奴隷として売るから普通密入国なんてしない。
身落奴隷は実質終身奴隷に近いからな。リスクがデカすぎる。
身落奴隷は借金奴隷よりも保証が少ない。
犯罪奴隷は完全にゴミのように扱われるが、借金奴隷は最低限の衣食住と賃金は保証される。
賃金を借金返済に使うことで奴隷から解放されるのだが、様々な理由から借金奴隷が解放を望む事は少ない。
身落奴隷はその最低限を下回るのだ。生かしていれば問題ない。そういう契約である。もう最低限が最低限の仕事をしていないね。
まあ国からしたらどんな事をするか分からない者に自由になる機会を与える方が脅威だからな。それに犯罪奴隷と同じで解放される事はない。
このあたりが身落奴隷が少ない理由だろう。
それでも密偵などが顔バレしないように密入国することがあるので、完全にいない訳ではないが。
店の前で奴隷商の大きさに驚きながら奴隷について思い返していたが、流石に行動し始める。
店に入ると店員が俺に気が付き声をかけてくる。
「いらっしゃいませ。レオフリート辺境伯様。」
流石に驚く。数日前の出来事を知っているのもそうだが、顔バレはしていないと思っていたから。
「商人は情報が命ですので。」
俺が驚いたことからそう付け足してくる。流石に情報の源は聞けないだろうが、中々いい情報収集能力がある事は分かる。
「それでどういった奴隷をお探しでしょうか?」
「掃除、料理、戦闘のいずれかが可能な女性の奴隷を探している。種族や奴隷の種類は問わない。」
「かしこまりました。連れて来ますか?それとも直接ご覧になりに行かれますか?」
「え?自分で見て決める事も出来るの?」
「はい。全ての客にこういった対応をする訳ではありませんが、悪い噂のない方には提案させて頂いてあります。」
まあ成り立ての当主だし、辺境に住んでたから情報なんてないだろう。それなのに提案してくれるのはありがたい。
「じゃあ、直接見に行ってもいいかな?」
「かしこまりました。ではこちらに。」
そう言って俺は裏に通される。
「こちらは犯罪奴隷を収容している牢です。おすすめ出来る方は正直いませんね。今いるのは称号持ちしかいませんので。」
「じゃあ次をお願い。」
次のスペースに移動する。
「こちらは借金奴隷の女性専用スペースです。」
俺は犬が狼か分からない耳と尻尾を持つ奴隷を発見する。興奮しないように顔には出さない。あ〜モフモフしたい。
「こちらの人達は?」
「この奴隷達は夫に借金を残され借金の肩代わりをさせられた23歳の妻と7歳の娘です。家族奴隷としてセットでしか売れませんので少々高めの1,200,000ベールです。」
ふむ…詳しい事情はどうでもいいけど買っていいかな?秘密を守ってもらう上で契約が可能かだけ聞くか。
「えっと…」
「これは失礼致しました。私マルジークと申します。」
「ありがとうマルジークさん。それで契約魔法の内容は相手が了承したら何でも契約可能なのかな?」
「契約魔法の内容は主人となる方が一方的に決める事が出来ます。奴隷で有り続けろなど、奴隷期間が延びるような内容だと称号が出てしまう事があるのでお気をつけ下さい。」
「そうか。」
なら問題ないかな?契約魔法はお互いに了承しないと成立しない代わりに、内容によってはずっと残り続けるからな。流石闇魔法。
俺は牢にいる親子に話す。
「俺は情報を漏らさない使用人を探していてね。もし、奴隷でいる間と奴隷から解放された後も俺や家の秘密を漏らさないと契約してくれるなら買いたいんだけどどうかな?あっ、あと俺の家族や友人に危害を加えないって事もかな。」
「えっ?契約魔法の内容は構わないのですが…かなりの金額だと思うのですが買って頂けるのでしょうか?」
「うん、問題ないよ。マルジークさんこの人達を買うよ。他も見せてもらっていいかな?」
「かしこまりました。」
マルジークは近くの従業員に声をかける。
「お待たせしました。では次は身落奴隷のスペースへ案内致します。」
「あれ?いるんですね。」
「最近隣の国々が戦争していましたからね。一部の領民や兵士が流れて来ましてね。衛兵は大忙しだったらしいですよ。こちらもあまり高く売れない身落ち奴隷は抱えたくありませんでしたが…。」
まあそうだろうな。スパイの可能性が無いとは言えず、死を覚悟で情報を流す可能性もあるからな。
高くないと言っても平民では気軽に買える値段ではないが。
「おすすめとしては流れてきた兵士で女性が2人います。ペア奴隷を望んでいますので値段もかなり低くなっており100,000ベールです。契約内容が守られるかは分かりませんが…。」
ん?外見に闇魔法で幻影を軽くかけてるな。
俺は幻影を無効化するように目に光魔法をかける。
お、2人とも凄い可愛いな。少し鑑定してみるかな。
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メリアーノ・リィグ・ベルワール Level 21
エルフ族 年齢 15
能力値
生命 1300/2300
体力 340/840
耐久力 625
速さ 420
力 1030
魔力量 580/580
適性魔法(Level)
基本
生活魔法(6) 水魔法(3) 風魔法(4)
木魔法(4) 無属性魔法(7) 創陣魔法(1)
ユニーク(Level)
スキル(Level)
魔力操作(4)
魔力感知(1)
剣術(7)
弓術(4)
格闘術(3)
敵対感知(3)
称号
護衛騎士
加護(祝福度)
武闘神の加護(3)
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おお、エルフか。道理で美人な訳だ。
闇魔法を使ってるのはこっちじゃないが、年齢の割に結構強いな。
次はこっちだな。
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マリーエル・ルーツ・サガルアナ Level 3
エルフ族 年齢 10
能力値
生命 520/650
体力 220/430
耐久力 160
速さ 200
力 105
魔力量 2025/2515
適性魔法(Level)
基本
生活魔法(7) 火魔法(3) 水魔法(6)
土魔法(3) 風魔法(7)
ユニーク(Level)
氷魔法(8) 闇魔法(3) 光魔法(6)
スキル(Level)
鑑定(4) ユニーク
アイテムボックス(6) ユニーク
魔力操作(9)
魔力感知(8)
敵対感知(7)
称号
努力家 元王女
加護(祝福度)
魔法神の加護(7)
商業神の加護(6)
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魔法使ってるのはこっちだな。ん?
元王女?兵士じゃないのか?サガルアナって例の戦争してた国だよな?
サガルアナって名前があるって事は元王女で間違いない?
元って事は今の王家が滅んだ事になるのか?でも兵士と偽っている…。多分国が滅んだのも気が付いているはず。
人質の価値が無いとは言え、変に狙われないようにするのは当然か。
…上手く契約出来れば腕の良い門番が手に入るかな?まあ結界張っておけば良いんだけど、もしもの時用に戦闘が出来るかどうかはでかいかな。
元王女も魔法が得意っぽいから戦力になりそうだ、。
「君たちを買いたい。俺や家の秘密を漏らさない、俺の家族や友人に危害を加えない、君が死ねば彼女が死ぬ呪いを受けると契約してくれるなら買いたいんだけどどうかな?」
護衛騎士が死ねば王女が死ぬ呪いをかけると言い、君たちの情報は持っていると暗に伝える。
これで俺が買わなければ、商人に自分達の正体がバレる可能性が上がる。と思わせられただろう。
お?騎士と元王女が目を見合わせたな。元王女が軽く合図した気がする。
「是非買って頂きたく思います。」
騎士の方がそう答え、片膝を付き礼を取る。
「じゃあマルジークさん。この人達も買うね。」
「かしこまりました。」
マルジークはそう応えて近くの従業員に声をかける。
屋敷がデカいからもう少し買いたいが…借金奴隷のところに戻るか。ん?
「マルジークさん。あっちの部屋は?」
「あちらは同じく身落奴隷なのですが、集落の一部が集団で奴隷を望んでいる者たちがいます。集団の為個々で見れば安いですが、6名程いますので今は買わない方が良いかと。後1ヶ月で個々で買えるようになりますので。それに欠損があるものがいる為見ない方が良いかと思います…。」
欠損ありか。完全治癒魔法を試してみたいし買うかな。
「見てみたいのですがいいですか?」
「…かしこまりました。」
マルジークは少し驚愕と困惑が入った表情をしたが、すぐ持ち直し応える。
部屋に入ると獣人がいた。全て女性だ。
15〜16歳の右腕が無い金の毛並みの孤人族と、そっくりな顔の15〜16歳の左腕と左足が無い銀の毛並みの孤人族。
5〜6歳の黒い毛並みの猫人族と、同じく5〜6歳の白い毛並みの猫人族、黒い毛並みの猫人族と似ている俺と同い年くらいの同じく黒い毛並みの猫人族。
20歳位の少し色気のある感じの狸人族。胸大きいな。
「こちらも戦争があった国の方から逃げてきたそうで、戦争で親や夫を亡くし、龍騒ぎがあった為に逃げてきたそうです。その際魔物に襲われ欠損を負ったと言う話です。値段は200,000ベールです。」
不謹慎だがモフモフ要素も多いし、巨乳いるし買いだな。
屋敷に戻ったらすぐに完全治癒魔法をかけよう。成功する気しかしないし大丈夫だろう。
「君たちを買いたい。俺や家の秘密を漏らさない、俺の家族や友人に危害を加えないと契約してくれるなら買いたいんだけどどうかな?」
まあ契約許してもらえなくても買うけど。
「えっと…身体に不自由があるのですが皆買ってもらえるのでしょうか…。」
最年長であろう狸人族の人が確認してくる。
「うん、問題ないよ。」
「ありがとうございます。精一杯努めさせて頂きます。」
そう言い床に座った状態で頭を下げる。他の人達も同じように真似をし頭を下げる。
「じゃあマルジークさん、この人達も買います。これで充分人手は確保出来たので手続きをお願いします。」
「かしこまりました。ではこちらへ。」
待機室に通され、そこで奴隷の所有書を預かり、お金を払う。
奴隷達は着替えて軽い身支度をした後同じ部屋に通されたので、他の奴隷と顔を見合わせ、同時に買われた事を知り俺をみて驚いた顔をしていた。
子供が大量に奴隷を買ったんだから驚くだろう。安くはないからな。
その後全員に契約魔法をかける。例の2人には死ぬ呪いではなく、苦しくなる呪いをかけておいた。
まあ秘密が漏らされても殺す事はないからな。
「お買い上げありがとうございました。またのご来店をお待ちしております。」
マルジークに笑顔でそう言われ、俺たちは店を後にする。
さて、買い物からかな。




