第22話 王様と謁見と…
3日後のパーティに合わせて貴族がほとんど集まる為、その前日に謁見があると伝えられた。
そう、俺のだ。龍殺したからな。流石に呼ばれるか。
問題はいくつかあるが、一つは可能性でしかないから置いておこう。
残りの問題でまずそうなのは、実際に倒したのはお前じゃないだろ奴が出てくる事だ。
俺がただの平民ならまだしも貴族の子供。確実に父さん達に迷惑がかかる。
嘘を見抜く魔道具を都合よく王家が用意してくれていればありがたい。
だがそれを用意されるとまた別の問題が発生する。
加護の数を聞かれれば確実に騒ぎになるだろう。親に迷惑をかけるよりはマシだが俺がマジで面倒な事になる。
いや間接的に親にも迷惑がかかるか。
さて、ステータス自体に家族以外に鑑定で覗けないよう闇魔法で【罠】を使った。ついでに魔力を半分吸収させるようにもしたから、覗こうとする不届きもの、敵対する可能性のある者は確認出来そうだ。
さて、ほかに準備出来る事はあるだろうか。
明日謁見だ。事前に謁見の仕方も聞いた。割とややこしくなくて安心した。創造神の意向が組み込まれているかもしれない。世界共通らしいし。
うーん、いや、もう考えるのやめるか。なるようになるだろ。
報酬貰える話になったら俺の姉妹に婚約を持ちかけさせないようにして貰おうか。
金払うより楽だし受け入れて貰えるだろ。無理ならパーティで殺気を放ちまくるしかなくなるな。
そう考えながら眠りにつく。
次の日
「謁見頑張れよ。ドラゴンぶった切ったって聞いた時は驚いたけど、昨日の手合わせの実力で納得したわ。また頼むぞ。」
「緊張するだろうけど頑張ってね。レオ。僕もまた頼むよ。父さんとは違ったパターンで面白いからね。」
「お兄ちゃん気をつけてね!」
「レオなら心配ないと思うけど気をつけて。」
兄達から見送られる。
「レオ、あんまり変なことしちゃダメよ?」
ルル母さん、俺のことをなんだと思っているのかな?
「じゃあいってくる。」
そう父がいうと母さんと俺と父さんを乗せた馬車が王城へ向かう。
「私は別室で待機してるけど、献上品を渡すのは別でやってくれるはずだからとりあえず謁見をしっかりやりなさいね。」
「分かったよ、母さん。」
そして特に会話はなく、俺は窓の外を眺めながら王城へと向かう。
父さんと母さんと俺は王城の前で手続きをして中へ入る。父さんまた握手してたな。
母さんは別室で待つ事になるので別れる。
「レオなら心配ないと思うけど気をつけてね。」
「言われた事をして聞かれた事に答えるだけだから大丈夫だよ。あっ、これ母さんに渡しておくね?」
そういうと直径10センチ程のガラス玉と耳栓らしき物を母さんに渡す。
「レオこれは?」
「俺の身体に魔法をかけて目で見た物をガラス玉に、聞いた事をこの耳栓をすれば聞けるように作ったんだ。試作品だから感想を聞かせて欲しいんだよね。」
「レオ…凄いものを作ったわね…。良いわよ、別室待機なんて暇なだけだからね。」
「いやメアそれは許容して良いものなのか?」
「良いじゃない?別にバレなければ戦争とか変な事に使われないでしょ?レオは覗きなんてしなくても、女の子に頼めば大体は見せてくれるしそんな事に使う必要ないもの。」
「あぁ、戦争とか覗きに使えるのか…。家から出ないで動物か魔物を使役させて、楽して安全に素材を見つけられればと思ったんだけど。うーん、個人用になるかな?」
「そうね、レオ。これは世に出すと犯罪が増えそうだからやめておきなさい?多分これだけの機能だと魔力消費は多そうだしね。」
「1分で大体10万くらいだね。」
「王城で働いている魔術師でも一握りしか使えないわね。レオ、レベルも上がったんだろうけど、私でも30万ちょっとしかないわよ?普通の魔術師は生涯で10万いけば良い方ね。レベル上げが基本の冒険者はもっと高い人はいると思うけど。」
「え!?それ母さんも凄いよね?流石母さんだね!」
「ふふっ、ありがとう。レオはもっと凄いと思うけどね。創造神の加護はあんまり知られてないけど、能力値が上がりやすいって聞いたことがあるわ。あんまり持ってる人いないんだけどレオを見れば多分事実ね。」
「そうだったんだ。」
「そろそろ行こうか、レオ。」
「そうね、立ち話しすぎたわ。じゃあ頑張ってね。」
「うん。」
そうして母さんと別れ、父さんは先に広間の貴族が集まり並ぶ場に向かう。俺は待機室に通され、使用人に身なりを整えられ待つ。
時間になり、すでに閉められた広間の扉の前にいく。
「敷物の切れ目まで進み膝をつき臣下の礼をとりお声かけがあるまで顔を上げないようお願いいたします。では…」
そう言いわれ扉が開く前に、俺は自身の魔力に隠蔽をかけつつ遠視遠聴の魔法を自身にかける。
顔をあげないよう少し下を向きつつ、言われた位置まで行き礼をとる。
「面をあげよ。」
そう言われて顔を上げる。
ひげもじゃジジィが王かと思っていたが、意外とダンディタイプの王のようだ。茶色の髭も整えると中々かっこいいんだな。
隣にいるのは宰相って役職の人かな?あの人も確か偉いんだよな。
20代くらいの男もいるけど結構若い女性や女の子が並んでるな。娘と息子か?息子の割合少ないけど子供とか連れて来てるのか?謁見で子供を連れてくるのはあまり無いと思うんだが…。
それに息子っぽい1人とどこかで見た事あるような…。目が合うと少し表情が変わる。それにその隣の金髪の女の子も…。あっ。
「あっ!」
声に出したのは俺ではない。その女の子だ。だが俺も驚いた目をしてるだろう。見覚えがあるのだから。
「どうした?フィリア」
王がその女の子に話しかける。近くに行き、小声で何かを話す。息子の1人に目をやると王に向かい頷く。
「ほう…。彼が…。」
王はそう呟いた。そして続ける。
「さて、レオフリートよ。面倒な話は省いて単刀直入に聞こうか。嘘はつくなよ?嘘を見抜く魔道具があるからな。」
王の前にあるあの水晶がそうか。確か中のモヤが青から赤になると嘘判定なんだっけ?形は盗賊を調べるやつと似てるな。
「領地近くの森に現れた龍を倒したと聞いたが誠か?」
「はっ。確かに私が倒しました。」
水晶が青から変わらず、その様子に貴族達がざわつき始める。
「では、1人で倒したというのは誠かね。近くにお主の父親もいたが。」
「確かに1人で倒しました。」
水晶はやはり青から変わらない。貴族達のざわめきも少し大きくなる。
「静まれ。魔道具があるため疑ってはいないがその龍の一部でも見せる事は可能かね。」
「この場が汚れてしまうと思いますが宜しいでしょうか?」
「構わん。」
「では。」
そういうと俺は少し下がりストレージから龍の首と胴体を取り出す。
危ねぇ、広間の幅ギリギリだったな。
「!?こ、これは。アイテムボックス持ちか!それにこの龍はジュエリードラゴンの成体か!?」
広間のざわつきもやばい事になってるな。
「静まれ!」
動揺しつつも王が叫ぶ。その言葉でざわつきも静まる。
「陛下もう閉まってもよろしいでしょうか?」
「あ、ああ。構わん。」
俺はストレージにしまう。
「ふう…。未然に国の危機を取り除いてくれた事を感謝する。レオフリートよ。」
「いえ、この国の貴族の子供として当然の事をしたまででございます。」
1番は家族の為だがその気持ちもなくはないので水晶も変わらない。ふぅ。
「それで聞きたい事は他にもあってな。ガルブレッドよ、前に。」
「はっ。」
「4年前お主の領地で行われた作物がよく育つ方法があったな。そしてそれはうまく行き、領地の問題を解決したと。それを我らに伝え、実際救われた他の貴族の領地も少なくないだろう。」
「…。」
父さんは声がでない。俺もまさかその話題が今話されるとは思わない。
「ここまで言えば言いたい事は伝わりそうだな?その試み、助言したのはレオフリート、其方の息子であろう?」
!?なぜその事がバレる!?
「驚いてある顔を見ると図星か?」
「し、失礼致しました。陛下の仰るとおりで御座います。」
水晶は青から変わらない。嘘ではない事が分かると再びざわめきが生じる。単純計算で俺が当時4才である事は誰にでも分かるからだ。
「なぜこの結論に至ったかで言うと勘だな。ガルブレッドは戦闘特化だからな。始めはお主の妻かと思ったが、その時は学園に通う息子達と共に王都にいた。ならば誰がその新しい発見をし、お主に伝えたか。お主の第二夫人の話もあったが、その者が知っていればエルフの住む土地ももっと豊かであろう。今は豊かになったがな。ならば誰がその事に気がつく事が出来たか。消去法で残るのはお主しかおらんのだよレオフリートよ。」
「それで、また別件で悪いが、1週間程前の夜に王都近くの30名程の盗賊を討伐したかね?」
ここでその話題がくるのか。やばい、やっぱりあの時の女の子と男だったか。立派な馬車が近くにあったから貴族だとは思ったがまさか王族とは…。
水晶がある事が裏目に出るなんて…。貴族じゃなくて王族に目をつけられるのは吉か凶か…。
「はい。確かに討伐致しました。」
貴族達からの言葉は聞こえない。驚きすぎているのだろうか?
「ふむ。その事について気になる点はいくつかあるが、我が息子と娘がその時襲われていてな、護衛も殆どやられていたらしいがそこに助けに入り助けてくれた事を感謝する。それを含めた報酬に変えんといかんな。私が報酬を言おうか。」
王がそう言うと宰相は溜息をつく。
報酬の値上げか、助かるな。金はいくらあっても良いだろう。
「お主に辺境伯の爵位と報酬金大金貨5枚と王都に屋敷を渡す。それに加えて西のダンジョン都市の更に西にある火龍の火山及びその周りの魔の森を領地として与える。」
?????
「へ、陛下。その報酬は少しおかしくはないでしょうか?」
そう言うのは腹黒貴族などではなく、父親だった。
俺もそう思う。龍殺して爵位もらうのは何となくあると思った。4才の頃のやつも出されるとは思わなかったが。
でもいきなり領地はやり過ぎだろう。ていうか火龍の火山ってなんだよ。あ、金はそのままでいいぞ。
「ふむお主の言いたい事は分かるが、あの辺りの魔物は強くてな。冒険者の一部は相手を出来るだろうがそれでは開拓は出来んからな。あの付近の素材は珍しい物が多く、薬の材料も多数ある。一代で開拓全てが終わるとは思わんが、強い魔物が近くに出ないように、多少住民が住める程度まで開拓してくれればいいのだよ。」
「それは…分かりました。」
おい、父さん。やばい土地だって聞こえなかったの?一瞬考えたときに、息子ならドラゴン倒せるし余裕っしょ、みたいな事考えなかった?考えたよね?
「それでだ。流石に10にも満たない子供にそこまでやれとは強くは言えんからな。来年王都の学園を受験してもらう。足りない知識や新しい繋がりはそこで持てるだろう。実技は問題無さそうだからな。勉学も怠らんように。」
「陛下、まだ私は8才なので来年になっても受験資格は無いのですが…。」
「今年から受験資格の最低年齢は無くした。あまり周知されていないが、貴族や情報に敏感な商人辺りは知っているから来年辺りからは優秀な者が早めに集まるだろう。」
「かしこまりました。ご期待に応えられるよう精進します。」
「うむ。ではこれで謁見を終わる。」
王が告げると宰相が続ける。
「では、順に退出する様に。ガルブレッド殿とレオフリート殿は献上品があるとの事だったな。別室で待機しているように。」
広間から皆がいなくなったあと、父さんと俺は
「「はぁ…。」」
同時に溜息をついた。
敬語とか王宮マナーとか知らんから異世界って事で勘弁してな。
はぁ〜異世界便利。




