第21話 初めての王都
王都出発前日の夜俺の部屋に父さんがくる。
「レオ最近盗賊が領地の出入り口で死んでいたり、街中で死体が見つかったんだが何かしらないか?ていうかお前だろう?」
「父さん、それが誰の仕業であれ、盗賊がいなくなるのはいい事じゃない?出入り口で死んでたってことは盗賊の出入りを許さない結界があるのかもしれないね。」
「はぁ…。言いたくないのか言いたいのか分からんな…。だが、そんな結界を張った者には感謝だな。」
「そうだね父さん。おやすみ。」
「ああ、おやすみ。」
やっべぇ、流石にバレたか。領地の全部を調べ回るのはアホみたいに時間かかったけど、後悔はしていないぞ。
領地の安全の為だからな。父さんがいない間に変な事をする奴は少なからずいる。適当に悪は殺されるって噂が流れれば上々だな。
結界はやりすぎだったかもしれないが。
次の日。
もう出発かぁ…。行くの嫌だなぁ…。嫌な予感するし…。はぁ…。
「そんな顔しないで元気出しなさいレオ。王都は広いし凄いわよ〜。冒険者ギルドは森やダンジョンのそばにある所より大きくはないけど、中々大きいわよ。ちなみに美人や可愛い子が多いわ。」
「母さん、母さん達より上は中々いないと思うけど…。」
「あら?嬉しいこと言うわね、レオは。」
「じゃあそろそろいく「待って下さい〜」」
馬車に乗り出発しようとすると、ルクヴァンが走ってくる。意外とはやいな。
「はぁ…はぁ…間に合って良かったです。」
「どうしたの?ルクヴァン。」
「いえ、ドラゴンをレオフリート様が倒したと噂が流れておりまして、多分事実だと思いこちらが必要になる可能性がでると思ったので急ぎ作りました。」
「それは…礼服?レオが謁見する可能性があると思うの?」
「念のためでございます。使わないかもしれませんが、レオフリート様のアイテムボックスがあれば邪魔にはならないかと。こちらはおもちゃの販売祝いとお思い下さい。」
「ありがとう、受け取っておくわね。レオ。」
「ありがとうございますルクヴァンさん。」
アイテムボックスに礼服をしまう。
「足を止めさせて申し訳ありませんでした。ではお気をつけて。」
「感謝する、ルクヴァン。ではセバスチョン出してくれ。」
そう言うと馬車が進む。
「確かに有り得ない話では無いわね…。レオ、ドラゴンはアイテムボックスに入ったまま?」
「うん。ちょっと減ってるけどほとんどそのままだよ?」
「ならいいわ。もし呼び出されたら多分出せって言われるから準備しておいてね。」
「はぁ…。」
「さっきと同じ顔ね。レオも何となくそんな気がしたのかしら?」
「まあね…。後悔はしてないけど。」
そんな話をしながら森を進む。出てくる魔物は嬉々としてナナが倒して行く。レイピアは中々使い勝手が良さそうだ。
レイピアはアルメラという金属で出来ているそうで、鉄より頑丈で魔力が流しやすく、属性付与が簡単に出来るそうだ。
刃の部分にアルメラが使われていれば、切れ味は属性付与をしなくても魔力を流す事で格段に上がり、刃こぼれもしにくくなるらしい。
ナナのは総アルメラなので、鉄製の完全上位互換だろう。父さん幾ら使ったんだ?
そして1日目の野営は、訓練の時と同じように作る。一応階層を増やし、セバスチョン、メイド、子供、親達の階層を作る。料理は屋敷で作ったものを、俺がアイテムボックスという名のストレージに大量に入れてきたので楽である。
野営とは思えないとお褒めの言葉を母達から頂きご満悦である。早く野営用ベッドを用意しておかなきゃな。いっその事家自体を収納しておくのもいいかもしれない。
2日目は街の宿屋により、念のため食材を購入。
3日目は次の街で宿屋。
そして4日目の昼、王都に着く。
「うちの領地と変わらない大きさの防壁だね。」
「城壁はもっとでかいけどな。」
笑いながら父さんが答える。ナナとリリアはワクワクしているのか落ち着きがない。
まあ、俺も窓から顔を出すほど興奮しているが。
そうか、田舎から上京する人の感覚ってこんな感じだったのか。
貴族特権なのか長い列とは別の入り口で王都に入る。
門番は父さんに握手を求めていた。まあ王都を救ったイケメンドラゴンスレイヤーだもんな。
まあ俺もドラゴンスレイヤーになったが。
馬車は城の方向に進んでいく。北に貴族街があり、南に平民街があるそうだ。
平民街も貴族街もかなり人が多い。貴族街は平民街に比べれば少ないがそれでも多かった。
父さんは辺境伯なのでより王城に近い位置に屋敷がある。
「父さん。領地の屋敷より大きいんだね。」
「既にあったやつを貰っただけだ。正直ここの維持だけで配布される資金の大半が消える。正直もう少し小さくしたい位だよ。」
「あら、いいじゃない?冒険者の時と違って勝手にお金は貰えて家に住めるんだから。領地経営は少し面倒だけどね。」
「「父さん、母さん!」」
屋敷からイケメンが2人やってくる。まさか兄さん達か!?父さんに結構にてる。間違いないな。
「アル!クリス!1年ぶりだな。元気だったか?」
「うん!大分領地経営について分かってきたよ。クリスも領主代行として一緒に勉強してるから安心だしね。」
「アル兄さんはあんまり覚える気ないでしょ?大変なんだよ?」
「まあアルもクリスも頑張れ。一応代行としてセバスチャンに任せて来たから、戦力の一つとして頑張ってくれる時が来るさ。」
「父さんも他人使い荒いね…。」
「セバスチョンも苦労してるんだね。」
セバスチョンは肯定するように頷く。
「ま、まあ人には向き不向きがあるからな!」
父さんは逃げるように会話を終わらせる。
「アル兄さん、クリス兄さん久しぶり。凄く凛々しくなってるね。」
「レオか!うんうん!久しぶりだな!ナナも久しぶり。リリアははじめましてだな。」
「レオも大きくなったね。ナナ久しぶり。リリアははじめまして。」
「はじめましてアルフリートお兄様、クリスフリートお兄様。リリアです。」
「あまり覚えてないけどお久しぶりです。アルフリートお兄様、クリスフリートお兄様。」
「ははっ、家族に対してはそんなに固くならなくていいよ。うちの家族は自由にがモットーな感じがあるからね。」
「そうだぞ。むしろレオは久しぶりの兄貴に対して気楽に接せるのが凄いわ。父さん似だな!」
「それは兄さんもでしょ…。貴族との挨拶とか結構ハラハラしてるんだよ?」
「まあ積もる話は中で話そうか。レオは今日の夕方は例のやつ頼んでいいか?」
「マジで言ってるの?父さん。子供使いが荒いよ。」
「ははっ、むしろ嬉しいだろう?結構楽しそうに料理してたってシーカスに聞いたぞ?」
確かに楽しかったけど、表情まで見てたのか料理長…。
「はぁ、分かったよ父さん。馬車だったし、戦闘はほぼナナだったから疲れてないしね。料理長の所までは一緒にお願いね。」
「なんだ?レオは料理も出来るのか。やるなぁ!」
そんな事を話しながら屋敷へ向かう。使用人に迎えられ、俺は料理長と共に調理場へ向かう。手順は前回と同じように料理長に伝えて、同じように作っていく。
「う、うまい!」
「ドームカバーはこれからも使っていいからね。横流しとかダメだよ?レシピも口外禁止ね。」
「そこまでして下さるのですか!ありがとうございます!必ずお約束は守りますとも!こんな料理はじめてですし、そのレシピを教えて下さるだけでなく、こんな便利な物まで頂いて…。恩を仇で返すような真似はこのクーツ絶対致しません!契約魔法を使っても構いません!」
「いやいや、そこまでしなくていいよ。これからもよろしくね。」
「はい!これからもヴァルダイル家の料理人として恥じぬよう精進していきます!」
「ははっ…。」
料理人はみんなこんな感じなのだろうか?いや、うちが特別なんだろうな。類は友を呼ぶって言葉もあるし。
同じように大量に作り、使用人で後で食べていいと言うと泣いて喜ばれた。
そんなこんなで兄さん達にも好評で予想通り、前回と同じようにお代わりした父さん達と、兄さん達は3回両方お代わりしていた。
それでも使用人達の分は1.5人分ずつ残るように料理を準備した俺の計算能力と使った労力を褒めて欲しい。
そして次の日、王城から使いが来た。




