第20話 秘密バレと新料理?
父さん達と朝練をしていると息を切らした兵士のような人が屋敷の門に来ていた。この領地では見ないような装飾の施された鎧を付けている。
「あれは…」
父さんは気が付いたようだ。母さんとルル母さんも父さんに続き門番に話をしている兵士の所までいく。
俺とナナとリリアもついて行く。
「あ、朝早くに申し訳ございませんが、き、緊急のご連絡です。」
「落ち着きたまえ、それでは伝わるものも伝わらんよ。」
緊急と言われているのに父さんは落ち着いている。流石である。
「はい。…ふぅ。申し訳ございません。ご連絡申し上げます。隣国であるサガルアナ国とタクナーリマン国との戦争で龍が使われたそうです。」
「な!?それは本当ですの!?龍の使役など成功しない筈では!?」
「は、はい!使役したのはサガルアナ国で、最初は言うことを聞いていたようだったのですが、途中で暴走したようで両国の兵士は壊滅。龍はこちらの国へ向かったと、派遣されていた調査兵が王都に出来る限り速く伝えに来ました。それで龍が来なかったかの確認と、来るかもしれないということをお伝えしに参りました。」
母さんとルル母さんが驚き焦っているようだ。
俺たちには心当たりがある。父さんが兵士に問う。
「その龍はどんな龍だったのかね?」
「全長25〜30mで銀色のようで輝いていたそうです。半月ほど前の事だそうです。」
あぁ、やっぱりか。ナナとリリアは俺と顔を見合わせる。
「あぁ、その龍なら心配はいらないよ。もういないからね。」
!?父さん!?秘密じゃなかったの!?
俺もナナもリリアも驚く。
「え?そ、それはガルブレッド様が討伐して下さったと!?」
兵士は目を輝かせる。ドラゴンスレイヤーがまたドラゴンを倒したと思ったからだ。
「いや、俺じゃなく息子が倒したんだよ。はっきり言って危なかったな。息子がいなければここにいなかったかもしれん。」
と、父さん!?これはまずい。死んでいたかもしれない発言は本当にまずい。あっ、母さんが困惑の表情であっけらかんと話す父さんを見ている。逃げなきゃ…
俺は後ずさる。ナナとリリアも不味い気がしたのか共に下がり始める。
「ナナ、リリアちょーっとお母さんとお話ししましょうか?」
はぅぁ!?母さんに気を取られすぎてルル母さんの視線に気がつかなかった!
「ガル、レオ。私達に話さなきゃいけない事がありそうね。」
はぅぁ!?完全に気付かれた!隠蔽使って隠密行動とっていたのに!?
困惑している兵士に母さんは
「ガルも言っている通り問題ありませんわ。王宮には問題無いとお伝え下さい。」
そう言い門を閉める。
こちらを向いたであろう母さんの顔が見れない。
「じゃあ屋敷に戻りましょうか。たっぷりお話ししましょうね。」
恐怖、それ以外の感情がない。
ナナとリリアは悪くないが、買収されたことに対してルル母さんに怒られていた。
俺と父さんは3時間程説教をくらう。朝兼昼ご飯を食べたあと、父さんは追加で1時間怒られたそうだ。
母さんは怒らせないようにしよう。俺はそう誓う。
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王宮
「何!?ドラゴンが近づいている!?急ぎ連絡せよ」
王が調査兵の報告を聞きヴァルダイル家に使いをやる。
使い帰還後報告を受け、
「は?心配いらない?もう倒された?ドラゴンスレイヤーでなくその息子に?領地に残っているのは三男だろ?」
「真実は分かりませんが倒したのであれば素材を持っているでしょう。称号も可能であれば見せてもらえれば確実かと。」
王が困惑し、宰相が答える。
「そう…だな。確か今年はパーティに出席するそうだな。」
「ええ、三男の息子と第二夫人の娘2人を連れて参加するようです。商売前に献上品を送りたいと連絡を頂いていました。」
「商売の物となるとドラゴンの素材では無さそうだな。そこは残念だがわざわざ献上するとなると気になるな。」
「ええ、なんでもルクヴァン商会が慌しく動いていたらしいです。噂ではその三男が発案者らしいです。」
「ほう…。今年から学園の最低年齢制限を無くす方針だったな。入学するように言っておくか?」
「そうですね。第七王女様が聡明な為早めに入学させる為に、若者の成長を少しでも早める政策として出しましたが、変につつかれない為にも良いかもしれません。同い年ですし仲良くなれば下手に他国へは流れないかと。爵位を与えても金を積まれれば他国に流れる可能性がありますからな。」
「うーむ。娘達には自由に恋愛をさせてやりたいが…。」
「別に何もいう必要はありませんよ。本当に優秀であれば王女様から友人として近づくでしょう。」
「そうだな。そういう方針でいくか。…顔を見るのが楽しみだな。」
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怒られた次の日、母さんに
「心配させたお詫びに龍肉を使った料理を作りたい」
と頼む。
母さんは優しい顔をして
「良いわよ、料理長に話をしにいきましょうか。」
そういうと共に調理場まで行き
「夕食を俺に作らせるから手伝ってあげて。」
と母さんがいう。
「一応味見はさせていただきますよ?」
「構わないわ。」
料理長とそんなやりとりをし、母さんはいなくなる。
「よろしくお願いします。」
俺はお辞儀をする。
「そんな事を使用人にしないで下さい!それで包丁などは大丈夫なんでしょうか?」
「問題無いと思いますよ。剣と長さは違っても、そういう物の扱いは慣れてますからね。」
「では、私は何をしましょうか?」
「材料の用意をお願いしてもいいですか?玉ねぎ、パン、卵、牛乳、小麦粉、調味料類、トマト、ニンニク、ワインをお願いします。」
「かしこまりました。」
「肉料理は2種類作りますが、それ以外はいつも通りお願いしていいですか?」
「かしこまりました。お任せ下さい。」
そう言い俺は作業に入る。
とりあえずどんな味か見てみるか。
俺はドラゴン肉を一部出し、一口サイズのものを2つ切り、塩胡椒を振り焼いていく。
料理長を呼び2人で味見する。
「「う、上手い!!」」
思わず2人で叫ぶ。
語彙力が無いのでアホみたいな感想しか言えないが、肉の甘味、油加減、とろけるような舌触り。うますぎる。
感動して固まっていたが、ハンバーグ作りに取り掛かる。
まずは材料全てに生活魔法の【除菌】をかける。
氷魔法で氷と冷水を用意する。
風魔法で周りに飛び散らないよう注意しながらミンチにしていく。
それを用意した氷水でボウルに入れ冷やす。
その間にパンも粉々にしパン粉を作り牛乳に浸す。
卵、肉、牛乳とパン粉、刻んだ玉ねぎ、塩、胡椒を混ぜ合わせ、1人分ずつハンバーグを形作る。風魔法で中の空気を抜き、表面を滑らかにする。
あとは焼いて行くだけだ。そして焼き終わったものは皿に乗せ、用意しておいた時間停止機能付きのガラスで作ったドームカバーを被せる。お?湯気も止まるのか。面白いな。
全て焼き、少し厚めに切った塩胡椒をしたステーキも焼いて行く。こちらも焼いたものはドームカバーで時間停止だ。
トマトから種のみを錬金術で取り除き、ストレージの種フォルダに入れる。大量のトマトをペースト状になるまで潰し、混ぜる。皮は美味しく頂きました。それをフライパンに残った肉汁とワイン、細かくした少量のニンニク、水と塩と胡椒を少々加えて煮込んでいく。
ソースはこんなもんで大丈夫かな?うーんまあいいだろう。
これで完成かな?
再び料理長を呼び、2人で一口分のハンバーグをソースをつけて試食する。
「「うまい!!」」
甘味を感じ、肉汁たっぷりのハンバーグに酸味の効いた風味豊かなソースが中々合っている気がする。うーんうまい。
「私はレオフリート様の事をまだ侮っていたのかもしれません。まさかこんなに美味しい料理をお作りになるなんて…。それにこの…」
料理長はドームカバーに目をやる。
「ははっ、ありがとう。この蓋はこれからも使っていいよ。まだいっぱいあるしね。今回のレシピも置いておくよ。改善点とか味の向上は任せたよ。」
「ありがとうございます!それで、料理は作りすぎではありませんか?」
「いやいや、美味しかったからね。父さんと母さんはおかわりすると思うんだよ。」
「なるほど。それでも多い気がするのですが…。」
「残ったら屋敷の使用人達で食べてよ。この蓋が有れば温かいまま食べられるしね。」
「!ありがとうございます。レオフリート様。」
少し涙目になりながらも感謝してくる。
あぁ、ドラゴンの肉なんて一生で食べれるか分からないもんな。使用人でも食べられるとなればこの反応は当たり前か。
その日の夕食は家族に絶賛されたのはいうまでも無いだろう。父さんは2回もハンバーグをお代わりしてたな、ステーキも1回おかわりしてたし。母さんとルル母さんも両方1回ずつお代わりしてたのはびっくりした。
使用人達の分も1.5人分ずつは残ったはずだし、新しく作りにいかなくても大丈夫そうだな。




