第1話 人生の最後
いつも通りの日常。
仕事での自分のミス、後輩のミス、自分のミス、上司の説教、自分のミス…
飲食店に寄れば店員の注文ミス、倒れる水入りのコップ、態度が引くほど酷い店員、熱い料理で舌を火傷したり…
家に帰れば10日に一度は様々な角に足の小指をぶつけ、テレビの録画を忘れて絶望したり…
ここでは語れないほどの不運、不幸。
いや、他の人達と比べればまだマシな人生なのかもしれない。小さな不幸ばかりだからな。
ゲームをしたり、漫画や小説を読んだり、1人で自然を楽しむ為にキャンプをしに行ったり、様々な趣味を楽しみつつ生きてきた。
まあやりたい事は大体金がかかるから、手を出せないものも多かったけどもな。
仕事が忙しく、しばらく趣味に走れない日々が続いた時は反動で大量に金を使ってしまったが…
それでも、大きな怪我や死に至る病気になった事がない事はささやかな自慢だった。
だが、社会人3年目になって色々と悟り、慣れてきた飲み会の帰りに事件が起きた。いや、個人的には事件だが客観的に見れば事故だな。
そう、今やいつ起きてもおかしくない交通事故だ。
幸い趣味の中には武道や武術に関するものもあった為、そこそこ身体は丈夫だった。
酒もかなり飲んでいたし、急な事もあり流石に無傷とまではいかないまでも、多少の受け身をとれたおかげで腕が変な方向を向いてしまい、身体を強く打ち付けた以外には命に別状は無いだろうと確信を持って言えた。かなり痛かったけど。
夜中で暗かったが、自分をはねた車はガードレールに突っ込み止まっていたので、運転手に通報して貰えれば良いだろうと思い、あまり動かないことを意識しつつ呼吸もかなりゆっくり行う事を意識していた。あばらが折れていたらかなり痛いだろうからな。
「ぐがぁっ!?」
唐突に来た激しい痛みに声を上げてしまった。
呼吸が苦しい。辛い。痛い。痛い。痛い。
折れた腕なんて比にならないくらいの激痛。身体が、いや細胞がバラバラになるような感覚。あまりの痛みに意識がなくなる直前、赤か白かよくわからない光に包まれた。
まったり投稿予定