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本日2話目
MOB討伐しながら進もうと思ってるけど明らかに進路直線上だけMOBいないんだが?
誰か来てて狩っていったとか?
ふむふむ?
目に見えるところまでは沸いてないね。
暫くは沸かないってことかなー?
では、後ろからついてってIDまでの快適な旅といこうか、トオルくーん。
「よしトオルこのまま、MOBいない位置を走り抜けるぞー」
「走るの?わかった」
とはいえ、途中で鬼の沸き直ししたら泣いちゃうので……
「トオルは前の方にMOB見つけたらすぐ声かけて。俺は後ろを重点的にみるからー。おれが脇道にそれろって言ったらそこにMOBがいてもそっちに行ってくれ。言ってることわかるか?」
「うん、わかるわかる。あ、でねリョータ。めっちゃ前の方でMOBに追いかけられてる2人いるよ」
ん?んん??
前方は俺も確認したけど、もしかしてあの豆粒みたいなやつですかね??
ほ、ほええぇぇ。
どんだけ目いいんだ、この子。
「MOBは何匹だ?」
「5匹だよー。あっ、6匹になった」
おいおい、走りながらリンクさせてるのかよ。
VRMMOでいったらトレインっていうノーマナー行為じゃねーか。
トレインってのはあれな。
予定してないMOBをつってしまって、ターゲット切るために走ってるうちにどんどん他のMOBを釣る・リンクさせるという、まあ目をつけられるという感じの。
6……6匹かぁ……まだ助けられるか。
「よしっトオル助けに行くぞ、走れっ!」
んー?俺にも見えたなー。男女の二人組か……
割とすぐ追いついたなって思ったら男の方が一発ずつ攻撃入れてるな。
「ツカサ!おれにヒールするなよ!ヘイトがたまってそっちにMOBが向いてしまう!俺のミスだ。俺がゲームオーバーになればリンクは切れてこいつらは元いた位置に帰っていく!」
ツカサと呼ばれてた子、躊躇することなくヒール詠唱しながら走ってるけど?
「やめろっていってるだろ!二人ともゲームオーバーになるだろ!?」
「いいわよ、別に。なるなら一緒にゲームオーバーがいいもの」
わぁー。
これこれー、俺の思ってた主人公のゲーム!
女の子もかわいいなー。色白の黒髪ロングって最高やん?
……
助けるのやめたくなってきた……
でもいってる場合じゃないよね。
こいつら足止めちゃって戦闘態勢に入ってるし。
「おいそこの二人。助けてやるからおれの指示に従え」
「!!!お願いしますっ」
男にお願いされても嬉しくないが?
「そこの男は左端の1匹を。トオルは出来るだけすぐに目に付いたやつを倒してくれ!女はHPへったやつのヒールだ!女に向いたMOBはおれが処理する」
トオルさんならほぼワンパンだからいけるっしょー。
問題はトオルさんがワンパンだからおれもそれを期待されちゃうよね?
こちらにMOBすり抜けてこないでくーださいっ。
おーおー、さすがトオル。
殴った先から倒していく。
我が軍は圧倒的だな。
よしっ、こちらにこず全滅。
俺もツカサと呼ばれた子の前に片手には剣、片手は伸ばして女の子を守ってますよーみたいな絵がとれたから満足です。
VRMMOならではの構図だよな、うんうん。
「ありがとうございます!本当にたす」
こいつもしかしてバ……いやそれよりも!
「待て。ここで話すのはまずい。安全なところまで走るぞっ!」
「あ、それならこっちです!」
んー?
なんか明らかにMOBがいない広場があるが?
そこに向かってるみたいだな。
ふぅふぅ。
トオル以外はみんな息を切らせてますが……
トオルは立派ですね!
とりあえず、情報収集だな!
「ここは安全みたいだけどどこだ?」
「ここはIDの入り口の手前の部屋です。先ほどはありがとうございました!」
ふ、ふーむ?
こいつシステムを知ってるのか?
「そうなのか。どうしてあんなにMOBを引き連れていたんだ?」
「あのー、僕とツカサは……あ僕はレンジといいます。この子はツカサ、僕の血盟です」
「俺はリョータ、こいつはトオルだ。それで?」
「はい、僕らは初日にできたラグナロクというギルドに入っていて、そのギルド員が昨日ここを見つけて、今日はみんなで行こうってことになりました」
あー、ここで強制ログアウトさせられた奴がいるのね。
「それでMOBはこういう聖域の部屋にいくとターゲットが切れるってVRMMO経験者さんがいっていたので全員で最短ルートを走って目指してたんです。前面にいるMOBだけみんなで集中攻撃して、それにリンクした遠いMOBはそのままトレインして進んでたと思います」
ほほー?
1人みつけたわ。
おれ以外の経験者。
「それがどうして2人だけでトレインしてたんだ?」
「はい、僕たちはかなり後ろの方から走ってんですが、1匹リンクしちゃって僕とツカサで倒したんです。その間に置いてかれちゃって」
あほか、それ引っ張っいく予定通りのMOBじゃねーか。
「ここにいるとギルド員がリンクさせたの切れてMOBがここに戻ってくる、それはまずいと思いながら、次から引っ掛けたMOBは無視して走ってたんです。ですが、リンクがきれなくて、もしかしたらこの建物のMOBはリンクがきれないのかも知れません」
ん?それって
「それってもしかしてじゃなくて」
「はい。俺たちはここに走ってくるまでターゲットが切れて戻ってくるMOBとすれ違っていません。ということはMOBを抱えてたらこの部屋に入れないのかもしれません。先行したギルド員は多分きっちり倒したんだと思います」
だよなー。
トオルくんが規格外だからゴリ押ししようと思ってたけど、初見ではっちゃけすぎたわ。
VRMMOにおいて、最初からハードモードなんてやったらお客さんつかないから、最初の最初はどんなやつでもクリアできる設計だもんなー。
俺もその判断ミスした経験者とやらを笑えんな。
スタートダッシュがいかに大事かという点に重きを置きすぎて俺もその経験者も全滅を…
「てことは、そのラグナロクはゲームオーバー出た…よな?結構なMOBを抱えてここに到着したなら。ギルドリストどうなってる?」
その可能性に気がつかなかったのか、レンジくん慌ててるなー。
「あっ、みてみますねっ……え、えーっと、20人全員……あ!よかった!います!」
まじかよ。
20人もいたのかよ。
え?そんなギルド勧誘とかしてたんだ。
俺らが飯くってる間にかなー?
ま、まあ?
ギルドにはしばらく入る予定はないし?
トオルと頑張っていくし!!
「本当にありがとうございました!お礼に今日ご飯ごちそうさせてください!」
あ、こいつ言いおった……
「言っておくが俺らはかなり食べるぞ?」
今おれかなり悪い笑みしてんだろうなー。
トオルが食い溜めできるのかは知らんが今日は全力出してもらおう。
「はい。あなたたちは正しく私たちの恩人ですから、今日冒険が終わってしまわなくてよかったです」
おや?答えたのはツカサちゃんの方かー。
「頑張って稼いでくれ」
俺は知らんからなっ!