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寝床を確保したい

読み返して、誤字脱字等は随時訂正しております。拙い文章ですが、よろしくお願いします

 魔法の練習を始めてから3日経った。思った通り、魔獣の体は魔素の扱いが容易なのか、風刃も随分と様になってきた。体長も1メートル位になり、体を覆う純白の羽も鋼のように鋭く、目の後ろから首筋にかけては、光の加減によっては蒼にも見える黒い羽に変わっていた。


 午前中日課となった鍛練を終えて、グリーズリーの死骸の元へと向かう。2日前から森の中を少し詮索してみたが、どうやら広大な森のようだ。至るところでアナナスの実が落ちているので、狩りをしなくても、十分に生きていけそうだ。


 アナナスの木は、魔素を十分に摂取すると実をつける。これだけ至るところでアナナスの実を見かけるということは、おそらく大きな魔素の流れがこの森の下を通っているのだろう。このアナナスの木は、魔素の量に比例して成長する。成長するにつれて、地中深く根を伸ばし魔素の本流付近まで根を伸ばした大木は一際大きな実をつける。そして完熟したその実は別名“天使の実”と呼ばれ高価で取引される。


 天使の実は、魔素を多く含み、多くの薬などの材料として重宝される。また、それ自体が万能特効薬であり、食べると千切れた腕も生えてきて、不老長寿になるという眉唾な噂も巷では多く聞かれる。味も相当美味とされているが、王都の中心に屋敷が建てられる程の価格で取引されるため、実際口にした人の話は聞いたことがない。


 一攫千金を夢見る冒険者にとって正に天使の実と言いたいところだが、実際、冒険者内では“悪魔の実”と呼ばれていた。完熟した実の放つ強烈な芳香は、魔獣を凶化させてしまう為だ。凶化した魔獣は身体強化され、理性を失い、それこそ死ぬまで襲ってくるのだ。よっぽど手練れの冒険者でない限り、制限なく襲ってくる凶化した魔獣を相手にして、無事に実を持ち帰る事など不可能に思えた。、一般的な冒険者であれば、悪魔の実の匂いがしたら、その場を立ち去るのが普通であった。


 グリーズリーの死骸の辺りにも、アナナスの若い実が落ちている。おそらく、グリーズリーもこの実を食べていたのだろう。残っていたグリーズリーの肉は全てたいらげ、午後からは本格的に森の詮索に出掛けようかと思っていた。寝床の近くでも、小動物を見かけるようになったので、結界の効果が切れてきているのだろう。安全な寝床を探さなければ。


 辺りを警戒しながら、森の奥の方へと進んでいく。魔獣の体になってから、魔素を敏感に関知できるようになっていた。魔法な訓練をして如実にその効果は体感できた。心眼の領域はこんな感じだったのかもしれないな。索敵能力は確実に前世のそれを上回っているので、不意討ちを食らう機能性は限りなく低いと思うが、どんな魔獣が生息しているかも解らないので、慎重に進む。1時間ほど進むと、周りに充満している魔素も随分と濃くなってきた。思っていたよりもずっと広大な森林のようだ。


 小型の魔獣は見かけるが、特に戦闘になることもなく進んだところで、大型の爬虫類の魔獣を発見した。リザードライナスだ。硬い鱗に体表を覆われていて、巨体に似合わず瞬発力のある厄介な相手だ。討伐ランクはDの魔獣である。丁度狩りを終えたところなのか、獲物を食べようとしているところだ。まだ此方に気づいていないので慎重に側面に回り込む。リザードライナスの5メートル程の距離の木の陰まで回り込み、右手で逆手に剣を構える(実際には翼なので)イメージで左半身に構えて、そのまま木陰から左前に1歩踏み出すと同時に、翼を右下から左上に振り上げ、衝撃を飛ばすイメージで風刃!蹴り出した一歩が思いの外大きかったので、リザードライナスまでの距離はおよそ3メートル。こちらに気が付いたリザードライナスは、威嚇を込めて上体を起こす。そして鱗のない腹に風刃が命中し、リザードライナスの体は左上段から、袈裟に切られたように切断され鮮血が飛び散った。


 不意討ちとはいえ、苦戦することなく勝利することができた。風刃も腹から背中の鱗まで切断しているので威力も十分だ。そのまま食事を済ませ、寝床を探すために更に奥へと進んでいくと、少し大きめのアナナスの実が落ちている。色も、小さな若い実は緑色なのに対してこちらは、少し黄緑色のような色合いである。魔素が濃くなって、アナナスの木も成長しているのだろう。食事を終えたばかりなので、お腹が空いているわけではないが、食べてみるとその濃厚な味に驚いた。若い実とは比べ物にならない量の魔素を含んでいて、力がみなぎるのを感じる。


 目を凝らすと、辺り一面至るところに落ちている。我を忘れて夢中で食べていると不意に右の鍵爪が地面に食い込む。抜こうと思い力を入れると左足も沈み始める。周りを見るとゆっくりだか確実に中心方向に向かい沈んでいる。脱出しようともがけばもがくほど、中心方向に沈んでいく。蟻地獄だ。何とか必死に脱出を試みるが足が完全に地中に沈んだところで、急激な力で地中へと引っ張り込まれて体は完全に地中に引きずり込まれてしまった。

読んでいただきありがとうございます。

仲間とか目的とか順番出てきます。

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