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魔法を使ってみよう

まだプロローグ的な感じです。次くらいから、冒険しだします。過去と現在が混在するの好きなんですが、多分読みにくいですね。ごめんなさい。そのうち慣れます

 魔素の濃い森の至るところで、弱肉強食のドラマが繰り広げられるなか、森の端に近い巨木の根元は場違いな寝床の主が、場違いな穏やかな朝を迎えていた。グリーズリーが自らの縄張りを誇示する為につける、木の傷の中心にあるその寝床には、体長40㎝に僅かに満たないほどの鳥型の魔獣が目を覚ます。


 魔法のことを考えていたら眠ってしまっていたようだ。魔獣がしのぎを削る森の中で、たいして警戒もせずに眠ってしまうとは…我ながら不用意だ。命の重さがあまりにも軽い自然の中では、僅かな気の緩みで簡単に命を落とす。生まれたての小鳥であれば認識していない可能性もあるのだろうが、元冒険者の経験と勘を活用しなければ今日にでも人生が終わってしまう。気を引き締めて、とりあえず食事を済ませ一通り鍛練を重ねる。


 昼過ぎになり、改めて魔法の訓練を始める。前世では魔術に適性がなかった為、実際に自分で使ったことはないが、訓練はしていたので基本からやってみる。


 魔素の満ちたこの世界では、空気中にある魔素に干渉することにより様々な現象を引き起こす。その結果を魔術もしくは魔法という。どちらも、起きる結果は同じなのだが、自分の体内にある魔素を主に使って現象を引き起こすことを魔法。周りにある魔素を使って現象を引き起こすことを魔術という。


 人間が使うのは魔術。魔獣が使うのは魔法。という感じだが、どちらも体内の魔素を使うし、周りの魔素も使う。割合の問題だけで同じことである。人間が魔法のように、周りの魔素に関係無く現象を起こすためには、体内の魔素の量が全然足りない。逆に魔獣は、流動的な魔素を分析して、干渉するという熟練の技が必要な魔術は使えない。


 訓練を開始したが、そもそも前世では覚醒していなかったので、魔素に干渉する感覚が掴めない。心因的な原因で覚醒していなかったことを考えると、魔獣の体になっても魔法を使えないことは十分に考えられたが、大丈夫のようだ。狙った現象はおこせていないが、体内の魔素を放出して周囲の魔素に干渉している。この感覚は前世で未経験のものなので、制御は判らないが、出来ることは間違いない。


 暗くなるまで訓練を続けたが、未だに何かの現象を発生させるには至っていない。今晩もグリーズリーの肉を食べると、身体中に魔素がみなぎるのをいつも以上に感じる。魔法の訓練によって、感覚が過敏になっているのだろう。魔素がみなぎったところで、風の刃を飛ばすイメージ。鳥なので本当はないが、両手で剣を持ち、斬撃を飛ばすイメージで魔素を放出する。

 (風刃!)……………!!

 見えない刃か放たれた感覚があり、2メートル程先の木の幹に僅かに傷を残す。なるほど、掴んだ。もう一度試してみる。(風刃)………パキッ(風刃)……パキッ

 狙った現象は起こせている。ただし実戦で使えるレベルではないが、今は関係ない。僅かかもしれないが、確かな成長を喜ぼう。


 この世界の魔素の種類は3種類だと提言したのは他ならぬヴィータの母親である。ヴィータの母は天才魔術師であった。彼女は魔術を研究してその結論に至ったのだ。彼女は今後の魔術の発展のために大属性は3種類だと、絵の具を使って説明した。赤、黄色、青で色々な色が作れるように、魔素も火、水、土のみで、合わせることで、風や雷のような性質を持たせることが出来ると。


 この発表は魔術を大きく進歩させるはずだった。しかし、そうはならなかった。彼女は教会によって捕らえられ、帰らぬ人となってしまったのだ。

 教会はそれぞれ精霊を信仰している。中でも風の精霊を信仰する教会は大きな力を持っていた。彼女に信仰を批判する意思などなかった。ただ、人々の生活が豊かになればと、魔術の研究に没頭し真理に辿り着いたのだが、信仰対象が否定されたと危機感を感じた風の精霊を信仰する教会の幹部は、彼女を神を冒涜するものだとして捕らえ、真理を闇に葬ってしまったのだ。


 こうして、孤児となったヴィータの面倒を見たのも教会だった。冒険者の街で孤児は珍しくない。彼は母親も教会も恨むことなく、幼少期を過ごし冒険者の道に進んだのだった。

読んでいただきありがとうございます。

なるべくこまめに更新したいと思います。

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