鍛練を積みましょう
書きたいことは沢山あります。大筋の展開は決めました。何章に分けようか迷っています。時間がありません
グリーズリーの寝床に腰をおろしリラックスする。なかなか奇妙な絵面である。敵から身を隠すような巣穴ではなく、少し奥まった木の根元に寝藁が敷いてあるだけという感じの寝床である。そんな寝藁の上に小鳥がちょこんと座っている。
体長は20㎝位になった。さっき巣穴を抜け出した時から既に倍増している。魔獣の成長力の高さには驚かされる。冒険者をしていた頃も魔獣の幼体に遭遇することは極めて稀であるが、おそらく、この成長力のせいだろう。
幸運にも、何日か分の食料を確保できたが、今後のことを考えると、自分で狩りをしなければいけない。木の実等森の恵みでも食料にすることは可能だが、やはり効率良く魔素を取り込み、手っ取り早く成長する為には、狩りをする必要があるだろう。
とりあえず現状把握。脳内にステータスボードを描いてみる。
種族: ジリ(???)
名前: ヴィータ(前世)
二つ名: 不可避の弾丸
討伐ランク: F
体長: 20㎝
体重: カボチャ1個分
性格: 温厚
こんな感じかな(笑)もちろん二つ名は自分で決めるものではないし、討伐ランクは愛嬌だ。そして種族も不明だ。砂漠の鳥ジリは、動物であって魔獣ではない。ジリは人間と同じように魔獣化しない。もしくは、とてもしにくい動物だと考えられている。そして羽の色も一般的なジリは、雛の時は茶色。成体になると茶褐色に他の色が混ざる感じだが、自分の羽は綺麗な白である。
もっとも、魔獣に限らず動植物は、魔素の濃度などの環境で多種多様な成長を見せるため、未発見の種類であってもなんら不思議ではない。
グリーズリーを一撃で葬ったドロップキックは一撃必殺の強力な攻撃だったが、森の中で狩りをするのに、助走の必要なドロップキックは有効ではない。
体をおこして、鍛練をしてみよう。まずはサイドステップ。生き抜くためには、なるべく攻撃はかわしたい。いくら強靭な鱗があるとはいえ、ブロック主体では怪我をする恐れもある。狩りを成功させても怪我を負えば、一転狩られる側となり、格好の獲物だ。
予想通り、瞬発力はなかなかある。前後のステップは瞬間移動並みに速い。鉤爪の形状からか、サイドステップは最初はうまく行うことが出来なかったが、鍛練を重ねると様になってきた。
体を動かして再認識したが、やはり最大のストロングポイントは脚力と鉤爪だ。前方に蹴り出すと共に、片足を上げて、鋭い鉤爪でアタックする。実践を想定して動きを何度も繰り返す。冒険者の経験を生かし、様々な魔獣を想定して動きを繰り返した。
集中して鍛練していたため、気が付くともう暗くなりかかっていた。グリーズリーの結界の中とはいえ、実際に魔術による結界ではなく、単に俺の縄張りに入るな!程度の警告のようなものなので、完全に暗くなる前に、今朝倒したグリーズリーの元へと向かう。万が一を想定して警戒しながら進んだが、他の魔獣に遭遇することもなく、今朝倒したままの姿で、グリーズリーは横たわっていた。やはり、結界はある程度有効なようだ。肉を食る。体に魔素がみなぎる。まだ、数日分の量はありそうだ。ねぐらの近くに持ち帰って、他の肉食獣を呼び寄せてしまう可能性を考え、残りはこの場に放置してねぐらに帰ることにした。そもそも、このグリーズリーは3メートル近い体躯があり、このまま運ぶのは不可能だ。
まだ数日分の食料はあるとはいえ、数日後には自ら狩りをしなければならない。この体で実戦はグリーズリーを倒しただけで、しかもあれは事故のようなものだ。冒険者の経験から素早いステップで攻撃をかわして、鋭い鉤爪で攻撃するスタイルは有効だと思われたが、いかんせんサイズが足りない。魔獣の回復力であれば、致命傷を与えて倒しきらなければ、回復されてしまう。やはり魔法かな。
読んでいただいてありがとうございます。なるべくこまめに書きたいです




