店主の悩み 剣
今回はコミカル要素ありません
我輩はカイ シンク
あべこべ武装店の店主にして鍛冶師である
最近の冒険者は困ったさんが多くなったと思っている
特に剣が欲しいと言ってくる客が多い
売るのは別に良いんだよ
確かに魔王を倒した勇者が使ってる剣を作ったのは我輩だ
だから我輩が作った剣はどれも凄い性能だと思われても困る
ろくに剣を確かめないで買って行く冒険者がクレームをつけてくる
剣は確かめて買うもんだろうに
特に見た目が良いからだけで買って行く奴
馬鹿じゃないのか?
死にたいのかとすら思ってしまう
最近はこんな奴だらけで困ってしまってる
こんな奴にはなまくらかネタ武器で十分だ
勇者が剣を注文した時は素晴らしかった
よく切れる
曲がっても折れない
手良く馴染み滑らない
それ以外要らない
良くわかってる勇者の注文は嬉しかったよ
年甲斐もなく二日も徹夜するぐらい頑張ったよ
出来た剣は飾り気が一切なく片刃でかなり分厚いが良く切れる剣が2本
注文は1本だけだったが試し切り用に1本作った
取りに来た勇者を店の裏にある射撃場に連れて行く
藁を巻いたちょっと太めな丸太を切らせてみた
見事に両断してくれた
腕がない奴は両断出来ず途中で刃が止まるが勇者の腕は確かだった
台にのせた剣をかなり重いハンマーで叩かせた
曲がったが折れなかった
勇者はかなり喜んでくれた
勇者は代金を払おうとしたが我輩は受け取らなかった
理由を聞かれたが魔王を倒す事が代金だと返した
勇者は泣きながら必ず倒して帰ってくると約束してくれた
半年後倒して帰って来た時は勇者と酒場でどんちゃん騒ぎしたよ
そして国中に噂が広がり剣を買いに来る客が増えたがろくな奴はほとんど居ない
勇者みたいな客がまた来ないかな?
それまでにネタ武器作って遊んで居よう
剣を求める客への店主の愚痴