エピローグ☆再会
満開の桜が咲き誇っていた。
二年が経って、その間どんなに想っても祐二には会えなかった。
「京子、大学は楽しいかい?」
昨夜、兄貴が微笑んで聞いた。一度無くしたものが私の元に息づいていた。両親も多少ケンカを交えながら仲良く過ごしている。
もうひとつの時間軸の私は毎日気をはって生きていた。でもここでは安心感と幸福感でいっぱいだ。
「美咲さん、新入生勧誘、気を入れていくよ」
先輩たちがはっぱをかけてくる。
「はい」
返事を返しながらも、弱小サークルに、みんな見向きもしないだろうとたかをくくっていた。
「超常現象研究会?」
「はい?」
「まーた、マイナーなとこにいるんだね」
「ほっといてくださ・・・」
相手の顔をまじまじと見つめる。
彼はパイプ椅子を引き寄せて座ると、入会希望の用紙を催促するように手のひらを上下させた。
「何?なんか顔についてる?」
「目と鼻と口が」
ははははは。と彼は笑った。
「せっかく再会出来たのに、それはないでしょ?京子姉さん」
「だって・・・」
自然と涙がこぼれた。
「今まで何してたのよ?」
「俺は15年前に戻ってたんだ。ちょっとくらい待っててくれてもいいじゃん」
「じゅうごねん・・・」
「オヤジは飲んだくれで暴力振るうまんまだけど、母さんを俺が守ってるから俺は施設には行かなくて済んだんだ」
「あなたはタイムトラベルもできるのね」
「違うよ。気づいてないの?京子姉さんと俺の二人が揃って初めて発動する能力で、一回こっきりのスペシャルだったんだよ」
私は絶句した。
「何々?タイムトラベル?15年前?」
先輩が好奇心むき出しで聞いてきた。
「あ、やっぱその手の話好きですか?・・・実は美咲さんとそういう『ごっこ遊び』いつもやってるんですよ」
「何?知り合いだったの?」
「そーそー」
笑いながら祐二は用紙に記入を終えると、「ちょっと借ります」と言って私を連れ出した。
「とりあえず、今から二年、大学の先輩後輩から再スタートってことで」
「うん」
「なんか、『姉さん』って感じじゃなくなったなぁ」
「そういう祐二もなんかしっかりして見える」
「前は俺、そんなにしっかりしてなかったの?」
くっくっく・・・。
よく笑うなぁ。
ま、いいか。
私は幸せな気分で祐二と手を繋ぎ、桜並木の下を歩いて行った。