抗争、騎士との戦い
ビルの中は今、阿鼻叫喚の戦場と化していた。そんな中、一人の騎士が戦場を駆ける。
彼はビルの中を駆け回り、目的の人物、否、人外を探す。
何処だ、何処に居る。奴は何処に潜んでいる?・・・あの吸血鬼達は何処に居る?
探して、探して、やがて騎士は地下訓練場に辿り着いた。
広い、訓練の為の広大な空間。その中央に、彼等は居た。
真祖の吸血姫とその眷属。二人の吸血鬼が、其処に居た。
「ようやく、見付けた」
騎士は獲物を見付けた歓喜に嗤った。
・・・・・・・・・
「よう、やっと来たな。騎士」
俺は騎士に不敵な笑みを向けた。騎士も俺を見て嗤っている。獲物を見付けた獅子の瞳だ。
「ようやく見付けたぞ。吸血姫とその眷属」
奴は最初から、俺達を狩る対象としか認識していない。奴等にとって俺達は悪だから。
なら、そんな奴の横っ面を全力で殴り付ける。それだけだ。
「さあ、来いよ騎士。お前の正義など鼻で笑ってやる」
「アルフ=マルクト、俺の名だ。地獄への手向けに覚えておくが良い」
アルフと名乗った騎士は俺に向け、十字剣を構えて突貫する。とてつもない速度。人間の出せる速度では無いだろう。・・・しかし、俺には見えている。
俺は十字剣を正面から砕き、そのまま騎士の顔面を全力で殴り付けた。
騎士は思いっきり吹っ飛び、壁に叩き付けられる。
「ば、馬鹿な・・・。何故、十字剣に触れてまともで居られる?何故、加護を受けている筈の俺に触れられるんだ?」
「生憎と、弱点ならさっき克服した」
がくっと崩れ落ちる騎士。どうやら気絶したらしい。同時に、俺の無線機にユウトの通信が入る。
『敵は粗方殲滅した。これからどうする?』
「了解した。俺はこれから敵の本陣を叩く」
「・・・了解」
俺は通信を切ると、そのまま訓練場を去った。




