別の顔
「なぁ今度Heresyはいつ集まるんだ?」
鈴奈はいつもの笑顔で
「今日集まるよ、君が朝流してきた峠の頂上に」
頷きその後はいつものように、仕事して退社した。
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退社した時のそのままの足で、ケンヤのショップに行った
「いつもの峠に走りに行くセットアップしてくれ、ノーマルより少しドリフト寄りで」
ケンヤは難しそうな顔して
「すぐにできるもんか」
だが、顔を変えこうも言った
「時間有るんだろ?現地で足回りだけでセッティングする」
今まで付き合ってきたが、ケンヤの事を頼もしいと思ったのは初めてだった。
一旦家に帰り服を着替えた
「少し興奮してるなぁ、俺何でだろ」
ケンヤから連絡があった
「頂上で待ってるから、来い」
あいつからの連絡は大概命令調で何とも言えない
車に乗り頂上へ向かった。
「遅い、何してた?」
んんん?
「あの~ケンヤさん連絡受けてから5分たってませんよ?」
はぁという顔をして
「3分で来い3分で」
はい、出ました。ケンヤの無茶振り、中学の時からこんなことを平気で言う。治ったのかと思ったのに
「おい、始めるぞ」
という声に
「おう」と短く答え
走っては調整し走っては調整しを繰り返しをした
「こんなもんだろう」
と言って車から降りたとき
不意に、数台が登ってくる音がし始めた
ケンヤが「FDを先頭にランエボ GTRにシルビアが続いて来るぞ」
ケンヤのエキゾーストだけで車種を判別するチート能力が発動した
「相変わらずみたいだな、その耳は」
当たり前だという顔をして笑っていた
頂上に登って来たのは、ケンヤの行った通りの車だった
そしてFDから降りて来たのは鈴奈だった。
「いろはくんお待たせ、じゃあ走ろっか」
この時見た笑顔は会社でも見たことがないくらい、輝いていた。