始まりの始まり
仕事の同期鈴奈から発せられたこの言葉
「そうだよ、この町唯一の走りやチームHeresyのメンバーなんだー」
俺はHeresyに聞き覚えがあった、とても身近で関係の深いあの人から。
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「Heresyどこかで聞いたことがあるんだ、だけど誰から聞いたのか思い出せない」
車の話をする人の顔を思い浮かべた
チューナーのケンヤそしてとても身近な父親の顔を
そしてハッとした、まさかという思いが頭をよぎった
「ごめん鈴奈少し席外す」
鈴奈はまるで答えを知っているかのようにこう言った
「お父さんに電話?いってらっしゃい」
なぜ鈴奈に俺が父親に電話すると分かったのか疑問に思ったがそのまま席を離れた
久々に実家に電話する父はとっくに定年しており家に居るはずだ
「はい、もしもし秋名です」
母が出た
「もしもし?いきなり電話してごめん俺だよ、いろは」
少し驚くような声が聞こえた
「どうしたの?こんな時間に」
始業時間前の7時半だから申し訳ない
「父さん起きてる?代わってほしいんだけど」
受話器の向こうで母が父を呼ぶ声がする
「どうした?何かあったのか?」
なぜか父の口調はこの電話が来るのをわかっているような、そんな落ち着きが感じられた
「父さん、Heresyって知ってる?」
フッという鼻の音が聞こえた
「知ってるも何も、父さんが若いころに走り屋やって頃のチームだぞ?」
やはりそうだった
「そうだ、鈴奈元気か?同じ会社だろ?まだ小さかったもんな二人とも」
頭にはハテナマークが乱立している
「俺会社に入って初めて会うはずなんだけど」
幼い時の記憶をたどっても、少女なんて思い当たらない
「それもそうか、2つ3つだもんな」
そんなときの記憶なんてあるもんか!!
「向こうは、向こうの親から聞いてるからわかってるみたいだぞ?」
本人から聞いたことない!!
「鈴奈はHeresyに居るらしいぞ、車買ったら入ってやれ」
思い出した、まだ父のZを買ったことを報告していない
「父さん、俺車買ったんだZ34ケンヤのとこで」
受話器のスピーカーでやっと聞き取れるほどの小さな声で、父の笑う声が聞こえた気がした。
「そうかならいいじゃないか入れば」
父は簡単に言うがなぁ・・・・
「そろそろ始業だから、また電話する」
父の分かったという返事を聞いて電話を切った
自分のデスクに戻り鈴奈に声をかけた
「鈴奈、俺のこと知ってたのか?」
と聞くと鈴奈は申し訳なさそうな顔して答えた
「黙っててごめんね、知ってたよ。パパから聞いてたから」
俺の親はそんなこと一切言ってない言ってたとしても、幼すぎて記憶に残ってない
「なぁ今度Heresyはいつ集まるんだ?」
鈴奈はいつもの笑顔で
「今日集まるよ、君が朝流してきた峠の頂上に」
頷きその後はいつものように、仕事して退社した。