六男
ボンヤリしていて何を考えているのか分からない
それが彼だった
本家兄弟には、八男の他にもう一人「空間の外」で暮らしているモノがいる
六男の零螺
彼の職業は言うなれば警察官みたいなモノ
通ってもいいが、色々大変なので外にマンションを買って暮らしている
ただ、零螺は生活破綻者に近い
没頭すれば食事も睡眠も疎かにするし、面倒と思えばすぐ楽な方に行くし、此方でも食事を疎かにする
兄達が散々面倒見ていた過去
養成学校への合格&無事卒業の知らせを受けた際の一族に走った激震度合いたるや、一族史に残るかもと言われる程である
そんな彼が兄達の心配を余所に、今日に至るまで無事に生活しているのは奇跡であろう
さて、そんな彼が住むマンションの一室
黒を中心にシックにまとめられた家具
ベッドでまだ寝息を立てる零螺
ペチペチッ
そんな彼の頬に当たる肉球
零螺のペットである子猫
名前は「ちい」
ペチペチッペチペチッ
中々起きない主人への攻撃はまだ続く
ペチペチッペチペチペチペチッペチペチペチペチペチペチペチペチペチペチ…ガリッ
「いっ?!」
とうとう、肉球から引っ掻きに変更された
ちょっと痛かったらしく、飛び起きる零螺
「…痛いよ?ちい」
「みぁう」
零螺が起きて満足したらしい子猫が向かうのは餌入れの前
「はいはい、ゴハンね」
「みゃう♫」
ゴハンの用意に台所へ向かう
今日は休み
予定を思い出せば、同僚と約束がある
「(まだ時間があるから…洗濯と掃除…)」
約束までの流れを組みながら、猫缶へ手を伸ばした