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5話:暗殺傭兵隊隊長(アニ神)

ソエルドール公爵家から馬で半日きたところに、ディルナさんの仲間が居るという暗殺傭兵隊の本部に着いた。正直公爵家よりもでかい。



ディルナさんと会話していて分かった情報は多い。


・ディルナさんは暗殺隊の副隊長。


・暗殺隊の本部には結界が張られていて、強力な魔術師などが居なければ破壊不可能、外部からの侵入を防ぎ、内部から出ることさえも許されない。許可が無い限りでれない様になっている。


・10歳以下は暗殺見習いとして入隊しなければ殺される。


・暗殺隊は貴族を毛嫌いしているらしく、ソエルドール家の名を名乗ると殺されかねない。


・暗殺見習いとして入隊するならば、10歳まで本部をでる許可は下ろされない。


・ルールを破った場合は処罰を下す。





_______________

______________________________







「ほら、ついたぞ坊主」


「ぬむぅ~?」


僕はディルナさんに抱きかかえられながら本部内を移動し、隊長と呼ばれる人物の部屋の前に来ている。入隊できるのは隊長が認めた者だけで稀に居るのだが、僕の様な子供は小さい頃から暗殺者としての技を刷り込んで暗殺隊として使用できるために良く入隊するそうだ。逆に、大人などは暗殺者としての技術が元からあり、尚且つ信頼できる者でなければその場で殺されるか返されるかどちらかだそうだ。


―――コン コン コンッ


「ディルナです」


『入れ』


中から渋い声が聞こえ、ディルナさんは抱えていた僕を下ろしてアイコンタクトで『静かにしている様に』と伝えてきた。


「失礼します」


ディルナさんの口調が敬語になり、やや緊張がみえる。僕はというと、こういう場面には慣れているもので、どうってことはないのですが、流石に能力が全て軟弱な子供である僕が軽率な行動をすれば殺されかねないだろう。


僕はディルナさんの背後にしっかりとつき、入室する。


「依頼は完遂できたのか?」


「はい、......一部例外を除いてではありますが、公爵両人の暗殺は完遂して参りました」


「例外?処でその女子はなんだ?」


お、女子......。一応僕は男なんですがねえ。まあ女に見えるっちゃ見えますけども......。


「ソエルドール公爵家第2公子キイリスと言うそうです。私としましては、キイリスは殺すには惜しい人材だと思いましてお連れして参上したまでで御座います」


「ほう、殺すには惜しい、......か」


殺すには惜しいって......僕って何かやったっけな?たしかに魔力だけみれば凄いかもしれないけど。ん?そうか。暗殺隊には魔術師が少ないのかもしれないな。そう解釈すれば僕が『惜しい人材』となるだろう。しかもディルナさんはちゃっかり『女』から『男』に訂正して話しているし(笑)


「キイリス、といったな?貴様は何故ここに着たか分かっているか?」


こ、子供に話しかける態度じゃなーいッ!威圧半端ないぞ!普通の子供は泣くぞ!まあ、僕はなれてるんですけどね。さて、可愛く行きますかぁ。


「ぱぱとままがしんじゃって、きらいで、おじたんがすきだからです!」


ディルナさんの背後から出て、天使の微笑みをかけながら挙手で元気に答える!これ最強!乱用注意報がでても良いくらいに可愛いということは、公爵家の鏡の前で何回か試して分かっていることだ。大半の大人はこれでやられるだろう。


「ふむ、貴様は親が嫌いなのか?」


......さて、なんて答えるのが正解だろうか。隊長らしき人は心が読みにくい。とりあえずニコニコしてスルースキル発動!ふはは。


「......」


「......」


「ディルナ、少しの間退室してくれ」


「わ、分かりました」


で、でぃるなさーんッ!行かないデー!コノ人怖いよぉー!たすけてよ__バタン__......ま、とりあえず、うるうるしとけば大丈夫っしょ。


「さて、小僧」


「なぁに?おにーたん」


「仮面を被る必要は無い。素で喋ろ」


「ッ」


な、なんだコノ人!めちゃ怖い!急に何故威圧してくる!ちょ、殺気がすごい。それにこの口調......――僕が猫被っていることを知っている様な感じは、......あれ?結構まずくない?この状況。


「猫被る必要は無いと言っているのだ。殺すぞ」


「......」


「自己紹介だ。俺はガゼール。ガゼール隊長だ」


従わないと殺されそうだな。この場しのぎでも良いから何か案は、......あぁッ~もう!面倒だ!暴露しちまえば良いんだろ?こら!


「......元ソエルドール公爵家第2公子キイリス」


「小僧、貴様は何故、自分が此処に着たか分かっているか?」


「僕の予想で宜しいのであれば御説明しますが」


「かまわん」


ど~にで~もぉ~ナーレーヨー。


「現在、暗殺隊は魔術師が少人数しか居らず、結界の維持が危うくなっている可能性が生まれ、魔力量の多い僕が結界内に存在する事によって結界の維持が幾らか長くなり、僕を魔術師として育てれば結界硬度の上昇が見受けられる。それを踏まえて、僕を此処に連れてきたのだと......」


「否、暗殺隊の魔術師は現状では足りている。貴様がいなくても維持はできるであろうが......なるほど。結界硬度の上昇としても貴様の利点がうまれるのか」


......ん?"としても"?って他に僕の利点があるのかな?


「結界硬度上昇と維持以外での僕の利点はあるのでしょうか?」


「......貴様の動きを見ていれば剣士であることくらい分かるわ」


なるほど、たしかに僕は<剣術lv2>がある。それを見抜くって......隊長さん何者!


「それで、僕の処置はどうするのでありますか?」


今一番気になるのはここだろうに。もったいぶらずに教えてくださいな。正直、殺すとか言われたら抵抗できそうにないな。武器もないし、魔術なんて教えてもらってなかったから何も出来ない!


「......そうだね、キイちゃんは暗殺見習いじゃなくて、私の秘書になりなさい」


「......は?」








こうして、4歳半の秘書がうまれるのであった―――。




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