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番外編:静かな声の先に
ここまで読んでくださりありがとうございます。
サラの“沈黙の祈り”は、きっと誰かの心にも響くと信じています。
作品を見つけてくださった皆さまへ、心からの感謝を。
――どれだけ魔力を込めても、誰かに届く確証なんて、ない。
呪文を唱え、結界を張り、風に祈っても、世界は沈黙したまま。
返ってくるのは、自分の呼吸だけ。
でも、やめることもできなかった。
ファルは言った。
「それでも、あなたは呼ぶんでしょうね。
誰かの声が届くって、信じている人だから」
(……信じてる? そんなもの、もうとうに消えたと思ってたのに)
けれど、夜の帳が下りて、焚き火の光が弱まっていくと、
遠くで鳥の声がする。
それだけで少しだけ、胸の奥が温かくなった。
「私の声も……どこかで誰かに、届いてるのかな」
誰も答えない。
でも、沈黙の向こうで、確かに何かが揺れた気がした。
――それで、十分だ。
明日もまた、呼び続けよう。
届かなくても、届くと信じて。
この声が、誰かの夜をほんの少しでも照らせるように。




