番外編:星を見上げて〜2000の瞬きと共に〜
“誰かの祈り”が届いた夜。
風が流れ、光が揺れる。
これは、サラの言葉を聞いた後――
ひとり森に佇む、ファルの小さな独白です。
夜の森は静かだった。
葉を揺らす風の音が、微かに囁きに変わる。
空を見上げると、星が滲んでいた。
かつて、あの光を“祈り”と呼んだ人がいた。
けれど、祈りなど届くはずもない――そう思っていた。
(……違ったな)
遠いどこかで、あの少女が夜空を見上げている気がした。
まだ弱く、迷いながらも、まっすぐに進もうとする瞳。
彼女の言葉は、風を伝って、確かにここまで届いている。
「……ありがとう」
誰に向けたわけでもなく、自然に零れた言葉。
この胸の奥に、長く眠っていた何かが微かに熱を持つ。
それが“希望”という名のものか、“記憶”という名の呪いか、
自分でも分からないまま、ただ空を見続けた。
星々が瞬く。
世界は、まだ終わっていない。
そして――彼女の声が消えない限り、俺もまた歩き続けるだろう。
サラの祈りが風に乗るなら、
この物語のどこかで、きっとファルはそれを受け取っている。
そんな想いを込めた、静かな夜の一幕でした。
「黒の約束」を見守ってくださる皆さまへ、改めて感謝を。
――どうか、この二人の旅路を、これからも一緒に見届けてください。




