幕間:約束へ向かう朝
第一部・終幕
――夜明けを迎える者がいる。
長い夜を越え、彼は“約束”へと歩き出す。
これは、すべての始まりへと続く朝の物語。
"彼女"から贈られたブラックダイヤのネックレスが、朝日に淡く揺れた。
まだ眠りの中にいるフェリシアの人々は、この光がいずれ“終わり”を照らすことを――知らない。
知ることはない。
サラは気づくだろう。
気づいてほしくは、なかった。
草花は朝日に染まり、あまりにも美しく咲き誇る。
農道は黄金の光に包まれ、この残酷な朝を、まるで祝福するかのように道行きを彩る。
その中を、一人歩き、彼女を迎えに行く。
彼女が涙を流すと知りながら。
彼女を、孤独にすると知りながら。
願わくば、キミともっと世界を見て歩きたかった。
キミが見る世界を、キミの隣で見ていたかった。
――これは、我儘だろうか。
朝日が昇りきり、家々から朝食の香りがフェリシアを包んでいく。
それは一日の始まりであり、彼女の――短く、そして長い旅路の始まりの朝。
彼女の家の前に立ち、哀しみを隠すように、笑顔を浮かべる。
笑顔で、自分を染め上げる。
――行こう。
ドアをノックすれば、彼女の両親が笑顔で迎えてくれる。
覚えてはいないだろう、“あの時”と変わらない笑顔で。
「おはようございます。サラを――迎えに来ました。」




