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第七十七話:偽りの紋
第一部・第三章最終話
――長い、長い……長すぎる夢を見ていた。
あの日、“あれ”を取りこぼしたことで、私は壊れてしまった。
……いや、きっと――最初から壊れていたのだろう。
“あれ”は私のすべてだ。
どれほどの歳月が過ぎようと、私は“あれ”を手に入れる。
もう、“あいつ”はいない。
なのに、“やつ”はまるで――。
――殺せ。
――殺せ。
――――殺せ!
忌まわしき名を持つ“やつ”を、殺せ。
さすれば、私は“杯”を手に入れられる。
“杯”に注がれた、甘美な血を。
あぁ……待ちわびた、この時を。
太陽でも、神でも、私は抱くことはない。
――蛇は、喰らうのだ。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
次回の幕間をもって第一部の全三章が幕をとじます。
来週から第二部が始まります。
楽しみにして頂けたら幸いです。




